41 規格外
一番楽しく書けたお話ですwww
キンガース公爵の帰還と晩餐の連絡を受け、五人は時間に合わせて食堂へと赴いた。
執事たちの案内にしたがって席へつく。しばらくすると背中側の扉が開き、キンガース公爵が入室した気配がして、五人は立ち上がり、胸に手をあてて礼をとった。
「きゃあ!! なになになにいいい!! このカワイイ生き物はいったい何なのぉ!!」
女性特有の甲高い声に五人は顔をあげる。アノスジェンは顔をあげた瞬間に顔を何やら柔らかいもので包まれた。そしてその柔らかいものをこすられる。
「やだぁ! なんてカワイイの!」
「こらっ! ディナ! やめんかっ!」
四人は美しい女性が襟首をキンガース公爵に掴まれてアノスジェンから引き剥がされるのを唖然として見ていた。
やっと視界が開けたアノスジェンの前には背中の中頃までの少しウェーブがかったピンクブロンドの髪に蜂蜜のような瞳は大きく、薄めピンク色のリップは上品で、若葉色のドレスは露出が多いワンショルダーで露出が多いのに引き締まっているので卑猥さは感じない。引き締まったウエストから形のいい腰回りに流れるマーメイドスタイルのドレスが似合っていた。
「花の女神様ですか?」
アノスジェンが思わず呟いてしまった言葉にディナと呼ばれた女性は再び興奮し、胸の谷間にアノスジェンの顔を埋める。
「いやぁ~ん! ホントに天使ちゃんだわぁ!」
キンガース公爵はもう一度ベリッと剥がして今度はアノスジェンの向かい側の席まで引きずっていった。無理やり座らせると自分は上座の席へと座った。
「みんなも座ってくれ」
キンガース公爵は頭が痛いと右腕をテーブルにつき額に手を当てる。女は両肘をテーブルに乗せて顎を置き、ウキウキした眼差しでアノスジェンを凝視している。
「アノスジェン殿。王城での晩餐以来だな。元気で過ごせていたか?」
「はい。旅路の各領主様にたくさんのご配慮をいただき、また、フオジスト王国騎士団の皆様にも心を砕いていただき、つつがなく過ごすことができました」
アノスジェンの言葉に合わせて五人でペコリと目線を下げて軽い礼をした。
「そうか、それはよかった。我が家では会って早々に騒がしくて悪いな。これが俺の不祥の娘、ディジリーナだ」
頬の傷を擦るのは、キンガース公爵は少し困った時にする癖だ。
「みなさん、よろしくね。アノスジェン様はと・く・に」
テーブルに肘をついたままのウィンクとともに語尾にハートが見えてしまいそうな言葉を言われ、アノスジェンは目をしばたかせた。
「あ、あ、はいっ! ディジリーナ様、ご存知いただけて光栄です。アノスジェン・セレアンです。こちらから、護衛騎士のニール、ヘリン、トビー、そして従者のワディンです」
四人はそれぞれその場で頭を下げる。
「みなさんのことは父から聞いています。来てくださって嬉しいわ」
今度は姿勢をあげて腕を組み妖艶に微笑むディジリーナであったが、目力がアノスジェンへのそれとまったく違っており、四人は値定めされているように感じて姿勢を正し直した。
「温かいうちに食べるぞ!」
五人は礼をとって食べ始めた。キンガース公爵はここまでの旅についての質問を満遍なくして穏やかで心温まる時間となった。しばらくしてキンガース公爵が執事へ視線を送る。
「そろそろ焼けたころか?」
一礼した執事は一旦下がり、大きなクローシュの乗ったワゴンを押して入室してきた。
「これ、私からカワイイ旦那様へ初のプレゼントよ」
ディジリーナがアノスジェンにウィンクすると執事がクローシュを開く。血の滴るレアステーキが並んでいた。それをテーブルの真ん中へ置くと皿に給仕し、メイドたちが配っていく。
「お父様と狩りで今、獲ってきたボアのステーキよ。私が仕留めたの。本当は塊焼きが柔らかくて美味しいんだけど時間がなくて調理が間に合わないって、残念。また今度それは食べさせてあげるわね」
「ボアって、魔物のボアですか? イノシシじゃなく?」
ニールが思わず口を挟んだ。
「まあ、そうだ。うちの領地の森の奥にいるんだよ。魔物って言っても普段から暴れてるわけじゃねぇ。俺らからしたらいい食料だ」
なんでもないことのように言い放つキンガース公爵はもう2枚目のステーキに手をつけていた。
「お前らもたくさん食えよ。特に騎士は食わなきゃダメだ」
すでにキンガース公爵を崇拝しているニールとトビーはメイドにおかわりを頼んでいた。
食事は賑やかに進んでいった。
「今日は到着したばかりで疲れただろう。これからの話は明日にしよう」
キンガース公爵の提案で今日のところは解散となった。
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