33 謁見
投稿を間違えました。
31話も読んでくださると嬉しいです。
メイドを伴ってこなかったので、翌日の着替えも仕立て屋に頼んでいて、騎士服をピシッと着た三人と執事服を着こなしたワディンと袖の長い普段着を着たアノスジェンが仕立て屋へ赴いた。
興奮して迎え入れた仕立て屋のオーナーマダムはアノスジェンの髪を切ったり眉を整えたりと甲斐甲斐しく用意をしてくれ、1時間後に四人の前に現れたアノスジェンは見違えるような姿であった。
アズール色のフロックコートのスーツにネイビー色の刺繍、アクセントに銀糸が使われていて、ワンショルダーマントはネイビー。アノスジェンのシルバーグレーの髪に似合っている。クラバットをやめて、胸にフリルボリュームのある白シャツにしたこともアノスジェンの可愛らしい顔を引き立たせている。そこに水色の小さなシャボ。
「おお! いいとこの坊っちゃんだ!」
ヘリンがトビーの軽口に後頭部を叩いた。十二ほどにしか見えないが、本当は十八歳だと知っているので、「坊っちゃん」という言葉が褒め言葉とは言えない。それを見たアノスジェンがクスクスと笑う。
「ヘリン。大丈夫だよ」
アノスジェンはフオジスト王国に入国してから三人を呼び捨てするようにと習っていた。
「わたくしの見立て通り素晴らしい素材をお持ちですわぁ。少々痩せすぎではありますが、これから青年になっていけば筋肉なども付きますでしょう。十八歳十九歳になる頃には女性の視線がそれはそれは集まることでしょう! 五年後が楽しみですわぁ!」
アノスジェンを十二歳と見立てているオーナーマダムの言葉に五人は苦笑いで答えるしかなかった。
意気揚々と王城へ向かうと、謁見室にすんなりと通され、『婿入り』が歓迎されているようで騎士三人も心の内ではホッとしている。正面に玉座2脚の見える赤い絨毯に並び立った。
「国王陛下、王妃殿下、王子殿下、王女殿下、ご入室です」
その声に反応し、四人はアノスジェンの後で片膝を付き頭を垂れて胸に手を置いた。アノスジェンは姿勢を正して立ち、頭を垂れて胸に手をあてる。
見えはしないが前方で動きがあるのを感じる。始めは静かな動きであったが、何やら慌ただしく動いている空気になった。が、五人は顔を上げることもできず、ただジッと待つ。本当に慌ただしい音が続くのだが、動くことができない。
やっと音が収まった。小さな咳払いが聞こえた。
「あー、顔をあげてくれ」
「「「「「はっ」」」」」
四人は片膝をついたまま、胸に当てていた手を膝にのせる。アノスジェンはすぅと姿勢を正し直した。
正面の大玉座には国王陛下と思われる男性。隣の小玉座には王妃殿下と思われる女性。その反対側に立つ王子殿下と思われる男性は肩で息をしているように見える。国王陛下と王子殿下は王家の象徴である赤の混じった金髪に焦げ茶の瞳。王妃陛下は亜麻色の髪と瞳をしている。
『ん?』
何か変だが、何が変なのかはすぐに気がつくことはできなかった。五人が疑問を持ったままに謁見の儀は進む。
「遥々とよくぞ来てくれた。礼をいう。我が国はマレガード王国よりも暑いゆえ、移動も大変であったであろう。王宮の貴賓室を用意させる。ゆっくりと休んでくれ」
「ありがたきお言葉にございます」
アノスジェンが代表で答える。それからいくつかのやりとりをして、国王陛下が「そろそろだな」と首肯した。
「では、数日後には晩餐を用意する。またその時に」
「かしこまりました」
五人は再び頭を垂れた。前方で動く気配がする。しばらくして声がかけられた。貴族らしい煌びやかな格好をした男性だった。
「お部屋へご案内いたします。わたくし、総務大臣を務めておりますオリバー・スイプです。公爵を賜っております。こちらに滞在の折はなんでもご相談ください。では、こちらへ」
案内された部屋はアノスジェン用の部屋とドアつづきになっている従者や護衛部屋。部屋が豪華でこれも歓迎を感じられた。
スイプ公爵が決して頭を下げないながらも丁寧に挨拶して退室した。メイドにも下がってもらい、各自着替えた上で集合することになった。
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