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死神の右眼  作者: U
第2章
16/21

前提条件

今作において「チカラ」とは、人の死を引き起こす炯人の眼の能力を指します。

 小声で談笑する生徒の声が、美術館の静かな雰囲気を害していた。

 こいつらはいつもいつも群れてないと安心できないのか。

 なぁ?ヤマ?と口走りそうになり、思わず口を押さえた。

 同じ区切りに入れられるのはごめんである。

 教師たちは生徒に、作品の鑑賞文の作成を申し付け、作品鑑賞に夢中だ。あんたらも鑑賞文を書いたらどうだ、おい。

「おい、筆進んでないぞ。」

 ヤマに指摘され、まだ自分の用紙が真っ白なことに気付く。

「委員長なんかもう書き上がってんぞ、なぁ?」

「えっ?ええ……。」

 委員長の手には模範的に綴られた鑑賞文。世の委員長とは全員こんな感じなのか?まだ時間は1時間ほど残っているというのに。


 美術品にはあまり興味がない。ずらりと並んだ胸像は、確かに精巧な作りだが、この現代そのどれもが3Dプリンターで型を起こせてしまう。only oneの価値を失ったそれらに、魅力は感じなかった。


 切れそうになった緊張の糸を結び直す。


 今日、この美術館を組織が襲うかもしれない。


 今日は勝機だ、その鼻面に傷を刻んでやる。


 ポケットの中に手を入れると、金属の質感が伝わる。黒守さんからもらった、リボルバーだ。


 いつでも来い。



 突如として、連続したガラスの破裂音が鳴り響いた。同時に美術館から明かりが消えていく。

 ーーそう、美術館の照明が全て砕け散ったのだ。

 更に採光窓に暗幕が下され、美術館は闇に包まれた。

 ほぞを噛んだ。組織の人間が何人来ようが眼のチカラで一掃できると考えていたが、チカラの発動は、対象をその眼で捉えている事が前提条件、この闇では捉えられない。

 ーーどうする?


 *


 美術館を遠目に捉えるビルの上。そこに一つの異質な人影があった。地面に伏せて、ライフルのスコープを覗き込むフードの男。

 引き金が引かれ、銃弾にライフリングが刻まれる。

 放たれた弾丸は、まっすぐ美術館の窓を貫いた。


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