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死神の右眼  作者: U
第2章
15/21

両親

 黒守に復讐を託された翌日、登校すると、相変わらずガヤガヤと騒がしい教室があった。

 世界で1番バカなのは中二だとよく聞くが、全くもってその通りだと思う。何がそんなに面白いのか、いつもゲラゲラと笑いあって、


 幸せな連中だ。


 その言葉にはわずかに、羨ましいという気持ちも混ざっていた。

 俺だって、出来ることならこいつらのように屈託無く笑い合って生きて行きたかった。

 もし、この復讐を成し遂げたなら、その先にこの景色は待っているのだろうか。

 いつも通り授業を適当に流して、あとはホームルームを残すのみ。

「え〜っと、では、明日の連絡事項を伝えます。」

 少しばかりたどたどしい口調で担任が話し始める。新任の先生なので、まだ生徒の前で話す事に慣れていないようだ。

「明日の4限目のホームルームでは、ヨーロピアンアートミュージアムに校外学習に行く事になりました。」


 ヨーロピアン……、アートミュージアム……?


 ーー組織が今目を付けているのは、ヨーロピアンアートミュージアムという美術館だ。


 ーー!!!!


 黒守さんが以前言っていた美術館じゃないか……!?


 どうする?馬鹿正直に言ったところで、中二病だと一蹴されるのがオチだ。


 ……まぁ落ち着け。組織が美術館を襲うにしても、人気の多い日中に行動を起こすとは考えづらい。


 しかしもし、奴らが行動を起こしてきたなら、その時はチャンスだ。


 絶対に、殺す。


 家に帰ると、珍しく母が出迎えた。

「炯人、おかえり。」

 サチの事もあり、だいぶ老け込むかと思ったが、もともとあまり若くないので少し老け込んだ程度で済んでいた。

「ただいま。」

 ご飯が出来ているとの事なので、着替えを済ませて今に入ると、これまた珍しい事に父までいた。両親が二人揃って家にいるなんて、なかなかないことだ。

「おかえり、炯人。」

「ああ、うん。ただいま。」

「この間のテストの結果、見たぞ。」

 父はまさに、時に厳しく、時に優しくといった昭和気質だった。

「相変わらず、勉強してる様子もないのに不思議なほど点が取れるな、お前は。」

 テストの勉強などまともにした事はないが、毎回校内で5位以内には入っている。

 何故かは知らない。

「……さぁ、なんでだろうね。」

 父はそれ以上その話題に興味は無かったようで、再び新聞に目を落とした。

「姉さんは、テストどうだったの?」

「えっ、ああ、うん!まぁまぁかな!」

 察するにおそらく全然まぁまぁではない。

 やれやれ、とため息をつく。

 ……ん?

 俺が違和感を覚えたのは、今の会話に父さんが関心を示さなかったことだ。

 新聞に目を落としたまま、気になる記事でもあったのだろうか。


 やがて、父さんが新聞を横に置いた。


 新聞の見出しに例の美術館が載っているのが目に止まる。

「明日その新聞に載ってる美術館に行くんだ。」


 *


 この時、父親の顔に動揺が浮かんだ事に、炯人は気付けなかった。


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