黒守の過去
自分に起きた事を理解すべく、俺は三たび、黒守邸を訪ねた。
「それにしても…ひどい有様だね。」
両腕の包帯に関して言ったのだろう。
「それほどひどい怪我では…。」
せいぜい軽度の打撲傷だ。
「やはり君の眼は…僕の眼の様に安物ではなかったね。」
「…は?」
「実はね…僕にも人が死ぬ未来が見えるんだ。」
「…!?…どういうことですか?」
「そのままの意味だよ。君と同じ様に、僕の眼にも人が死ぬ未来が見える。」
「じゃあ…安物じゃないっていうのは?」
「順を追って説明しようか。紅木家にはね…稀に僕らのような眼を持った人間が生まれるんだ。僕も君も、その一人だ。細かく言うと、紅木家の人間全員に素質はあって、特別僕や君の眼の力が強いだけなんだが。」
「じゃあ…姉さんにも素質があるってことですか?」
「ああ。だがしかし、僕らのように特別強い眼を持つ者には共通点があるらしい。」
「…共通点?」
「それは…悲しき運命を背負う未来にあることだよ。」
「僕の両親は、父の勤めていた会社がロヴェリアの圧力で潰され、それによる借金を苦に自殺した。青二才だった僕は、この眼を活かして奴らに復讐しようと考えた。でも…」
黒守さんが顔を歪ませる。
「結果として、恋人が死ぬことになった。」
黒守さんの視線の先には写真立てが置いてあったが、見るのはよした。
「でも…それじゃあなんで、僕の復讐を止めないんですか?」
「君の眼が、僕より上だからさ。」
黒守さんが自分の眼を指で指して見せた。
「眼の力が強いほど、視力に影響を与える。僕はせいぜいコンタクトレンズでまかなえる程度だ。…しかし、君の右眼は、完全に失明している。つまり、僕のとは別物だ。」
黒守さんは、新聞を広げ、一つの記事を指差した。
無人のトラックが爆発 死者多数
これは、この前の…?
「この爆発を引き起こしたのはズバリ…」
黒守さんがまっすぐ僕を指差して言い放った。
「君だ。」




