眼覚め
道路の向こう側にいた男。
人を刺した男。
ポケットからはみ出ているのは…ナイフの柄か?
男はたどたどしく走り始めた。
ナイフの鞘を放り捨て、ゾンビのような走り方で加速していく。
その先には小学生がいた。ふいに、サチの姿と重なってー
ガシャン!!
気づくと俺は、男をフェンスに叩きつけていた。
心が何かに染まっていくようで、何も考えられなかったが、その何かに操られるように俺の体は勝手に動いてー
男の首に腕を押し付ける。
「お前らは、何でそんなマネができるんだ?教えてくれよ…なぁ!!」
男はーへらへらと笑っていた。
ーーーーーーーーー!!!!!!!
男のナイフを蹴り弾き、奪う。
「答えろっ!!!!」
ナイフをピタリと首に押し付けても、そいつはへらへらと笑い続けていた。
殺す
そう決めたその時だ。
「炯っ!!!!」
ヤマの叫びとほぼ同時、後頭部に迫るバットが右眼に見えた。
体をひねって躱す。
ー!!
どこから湧いて出たのか、通り魔の仲間であろう男たちが10人ほどそこにはいた。
そして俺は背後から横腹に迫る蹴りに気づけず、フェンスに思い切り叩きつけられた。
とっさに体を庇った両手に、容赦のない蹴りが次々に飛んでくる。
「やめろっ!!」
ー止せっ!
「来るなヤマ!!委員長!!」
止めたけど、そいつらは俺を庇おうとしてー
俺の前に立ちはだかった委員長は張り倒され、ヤマは蹴り飛ばされた。
下卑な笑い声を上げながら、そいつらは引き上げて行く。
委員長もヤマも苦しそうに呻いている。その光景を見て、涙が溢れていた。
何故?
俺が不甲斐ないから?
俺が弱いから?
何も…できないから…?
だから人が傷つくのか?
…消さないと。サチを殺した奴らを…人を傷つける奴らも。
爆発音が鳴り響いたのは、その直後だった。




