第四十一話 亀裂
最初は、ただ見覚えのあるカタチだな、と思っただけ。
でもいざレイナに指差されて、ちゃんと見たカメラレンズは、いつも私を見てくれてる壱番隊のみんなの眼と同じ物だって、気づいてしまった。
「なんでそんな……」
「だって副隊長は二人もいらないもん」
「だからって……」
レイナが端末を満足気に掲げる横で、私ははたと気づいた。
この街、アルマがいない。
「レイナ、肆番隊のアルマって何してるの?」
「んー? 基本的に巡回させてる」
「巡回?」
「そう。警察みたいに、どこかでトラブルが起きてないか見て回って、必要な時だけ仲裁に入ってもらうの」
タブレット端末で肆番隊の街の地図を出しながら、レイナは青く点滅する丸いマークが動くのを見せてくれた。
「この動いてるのがアルマ。みんな白い警察官みたいな服着てるの。メストは上からポンチョ着てるけど、下は同じ制服だよ」
明るい声でわかりやすいでしょ、と笑うレイナに、私は口角を上げるので精一杯だった。
「えっと、交代制で巡回してくれてるの?」
「え? 二十四時間ずっとだよ?」
「え!?」
「だってアルマってご飯とかいらないロボットじゃん。ルート変更はランダムだけど、同じアルマにやらせてるよ」
「それって……可哀想、じゃない?」
私の気まずい声に、レイナは驚いたように目を見開いた。
「え? なんで?」
同じように驚きを返したい気持ちをこらえて、私は一呼吸おいた。
「だってアルマも私たちと同じように性格とか、個性とか、人格があるのに……物みたいに扱うのは──なんか、違うんじゃない?」
「え──でも人型のロボットじゃん」
バッサリと切り捨てるような言い方に、私はレイナと決定的にわかりあえない線引きがあると確信した。
「しかもアルマって人を守るために作られたんだから、使い方としてはあってるよ?」
「使い方って……」
「メストも止めなかったよ?」
「……肆番隊の人たちも、みんなそう思ってるの?」
「うーん、ほとんどがそうじゃない? みんな何も言わないし」
「……そうなんだね」
「ミサキって物を大切にするタイプ? なんか意外かも」
レイナはタブレット端末を小さくて細い指で操作しながら、鼻歌を歌っていた。
私だけが、胸にモヤモヤを抱えたまま。
壱番隊のみんなとも撮りたいなんて、少しでも考えたことに罪悪感を覚える。
レイナと撮ったプリクラが、手の中でくしゃりと音を立てた。




