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第三十五話 肆番隊隊長メスト
肆番隊の移動都市は、壱番隊の移動都市へと進路変更している。
私の独断ではない。
しかし、肆番隊の総意でもない。
『壱番隊が逃げるようなら、追従せよ』
こめかみに手を当てるだけで、アルマ同士ならば指示が通る。
しかし今の肆番隊隊長として仕事においては、もう一つ指示系統に手順が追加される。
「──端末に追加指示を送りましたので、確認してください」
口頭で副隊長に伝える。
支給した副隊長専用タブレット端末にも必要なデータを共有させ、確認をとらせる。
これが、今の肆番隊の在り方。
副隊長を人間に変更させた時から、半年間ずっと続けてきた。
それは私の独断ではない。
しかし、肆番隊の総意でもない。
『壱番隊、進路をこちらに寄せてきました』
これは副隊長には不要な共有。
そう判断して、こめかみに手を当てる。
『進路変更なし──そのまま進行せよ』
移動都市は確実に壱番隊へと近づいている。
そのことを副隊長に口頭で伝えると、楽しそうに声を上げて笑った。
副隊長を人間にしたのは、私の独断ではない。
しかし、肆番隊の総意でもない。




