第十八話 帯電する想い
その姿を見た瞬間、私の視界が滲んだ。
来てくれないかもしれないって、不安だったから。
安心したの。ちゃんと来てくれたことに。
まだギークは私の側にいるし、何も状況は変わってないのに。
ただ、ホシが来てくれたってだけで、涙が勝手にあふれてきたの。
「ミサキは壱番隊で生活をしている──勝手に連れ去るのは、五百年前の締結違反にあたりますよ」
冷たい通路に、ホシの足音がカツンと響いた。
「伍番隊が決めたのは、人間の意思を無視した場合でしょ? なら──今回は締結違反していないよ。ちゃんと人間ちゃんに聞いたからね」
「……その結果が、それですか」
聞いたことがないホシの冷ややかな声に、私の肩が勝手に震えた。
ホシのこんな声、聞いたことがない。
ギークは相変わらずの調子でヘラヘラしてるけど、近くで電気がバチッと弾ける音がして怖い。
「自身の副隊長を壁にめり込ませて、ミサキを泣かせて……アルマとして──いえ、隊長として、どうなんですか」
「それは壱番隊の副隊長君に言われたくないなあ。五百年前と同じようにまた蹴り飛ばしてあげようかぁ?」
「──五百年前と同じと思われたくはありません」
至近距離で電気がバチッと弾ける音が、何度も聞こえる。
静電気なんて可愛いものじゃない。
火花が散るような、もっと強くて、怖い音。
涙で滲む視界の中で、私は通路の壁に背中をくっつけて、小さく縮こまった。
怖いことがここで起きる。そう直感的に感じたから。




