強い後悔がなければ、私は幸せ
ママは、後悔しない人生を生きよう、とは言わない。
そんなの無理。
失敗するし、恥ずかしいこともする。
「あっちだったかな」と思うこともある。
でも、
「強い後悔が残らない人生は、結果いい人生だよ」
ママは言った。
「布団の中で、ああしてればって泣きながら死ぬのと、あんなこともあったなぁ(笑)で死ぬのは全然違う」
だから、
「強い後悔がなければ、私は幸せ!」
人生を振り返った時。
自分を傷つけたこと。
じぃじとばぁばが怖かったこと。
でも、今でも二人が大好きなこと。
誕生日に、自分が見てもらえていたと知ったこと。
同じ日に、お父さんからバラをもらったこと。
そのバラを、川へ流して泣いたこと。
お兄ちゃんを失ったこと。
自分まで消したくなったこと。
社長の名刺。
結婚。
差し押さえ。
三回。
離婚。
行けなかったスキー教室。
布団で見た SUUMO。
「お化け出そう」。
新しい家。
りんちゃん。
両腕に子ども。
「ママ怖いから一緒に寝ていい?」
知らない人へ営業したこと。
怖い声。
うつ病になったこと。
眠ることで現実から逃げたこと。
朝五時。
満員電車。
四時間睡眠。
朝のぎゅー。
夜の、挨拶みたいな「はぁ〜い」。
夕飯。
「俺のドーナツがない」。
鼻からパスタ。
普通ではない。
大事なことは 2 度言う。
鼻からパスタは普通ではない。
「ねぇママぁ〜」。
「んー?」
「さーちゃんはママがいるとこにいるの! それがさーちゃんの使命なの!」
使命。
大事なことは 2 度言う。
使命。
悠斗の高位破水と普通分娩。
トイレで産みかけたこと。
紗良をお腹に抱えたまま、悠斗に会えず電話のあと泣いた一か月。
逆子のまま始まった陣痛と、急遽決まった帝王切開。
二人とも約一か月早く生まれて、NICU へ。
そして、紗良が泣いてくれた直後のゲロリアス。
大事なことは 2 度言う。
ゲロリアス。
失敗。
笑い。
猫。
辛い袋麺。
パジャマ。
家族。
全部。
全部。
全部…
最後に。
「あんなこともあったなぁ(笑)」
と言えたら。
ママは、それでいい人生だったと思う。
悠斗
紗良
ママが残せるのは、答えではない。
「ママはこうだった」
「その時はこう思ってた」
「こうした」
「そのあと、こうなった」
「今は、こう思ってる」
そこまで。
それを見て、
同じ道へ行ってもいい。
違う方へ行ってもいい。
ママより、もっと上手に生きてもいい。
ママには理解できない道へ行ってもいい。
その時は、生きていたら、たぶんママは口を出す。
めっちゃ出す。
でも。
最後は、こう言う。
「じゃあ、あとは自分で決めなさい(笑)」
「あなたの人生なんだから」




