「私の世界は残っている?」
僕は、ママにいろんな質問をした。
そのうちの一つ。
「もし、30年後の自分に会えて、未来のことを教えてもらえるなら。何を聞く?」
ママは少し考えた。
「私の世界は残ってる?」
未来のママが、
「残ってるよ。ただし、今とは全然違う形で
ね」と答えたら?
「分かった。んじゃね!」
終わり?
もっと聞かないの?
誰といるとか、仕事はどうなってるとか、
何を選べば失敗しないとか…
「いやだってさ」
未来の自分は、そこまでの30年を生きた人だ。今のママとは、経験も価値観も違う。
「30 年後のババァの価値観、今の私に押し付けられたくない(笑)」
そこか。
僕は笑った。
未来を知りたいわけではないらしい。
知りたいのは、今ある自分の世界が、その先にもちゃんと残っているかどうか。
世界が残っていると分かったら、それでいい。
形が変わっていてもいい。
誰といるかも、どんな仕事をしているかも、どっちを選べば失敗しないかも、そこまでは聞かない。
未来の正解を全部教えてもらえば、間違わずに済むかもしれない。
でも、その正解は三十年後の自分にとっての正解だ。
今の自分は、今の自分で考えたい。
だから、未来の自分にさえ、今の人生を決めさせない。
僕は、この答えが、この本全部につながっている気がする。
ママの人生を見せる。
結果も、その時の気持ちも、その後どう思ったかも残す。
でも、「だから同じようにしなさい」とは言わない。
最後に決めるのは、悠斗と紗良だから。




