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ママはたぶん、こう言うよ。 ― 私がいなくても、困ったときに開いてください ―  作者: わく


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同じ人なのに、場所が変わる

次の仕事。

第一条件は、収入。

「遠くても、都会なら給料高かったから」


そして、結婚していた頃の仕事で身につけたスキルが使える場所を見つけた。

嫌だった結婚の時間。全部を捨てる必要はなかった。

その時に覚えたことまで、嫌だった人生と一緒に燃やす必要はない。

持っていけるものは、持っていけばいい。


次の職場では、その経験を使った。さらに覚えた。スキルアップした。


僕は、ここで少し引っかかった。

前の仕事では、知らない人に飛び込めなくて。怖い上司がいて。眠ることで逃げるところまで行った。

でも、場所を変えたら…

同じ人間が、今度は経験を持った人になる。

必要とされる人になる。

それこそ、ママが言っていたことだった。


一つの場所の評価が、人間そのものの評価ではない。


ただし、

通勤は、片道約三時間。

朝は五時頃から動き出し、満員電車に揺られる。睡眠は四時間ほど。

最初はまだ大丈夫だった?

「最初からきついよー」

当然だった。

それでも。

前の仕事と比べて、年間の収入が100万円くらい違った。

「100万円違えば、頑張らなきゃいけないでしょ!」

だった。


何が一番つらかった?

満員電車? 睡眠? 朝?

「子どもとの時間が取れなくなったことかな」

それを聞いた時。

僕は少しだけ、それまで聞いていた話の意味が変わった。



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