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ママはたぶん、こう言うよ。 ― 私がいなくても、困ったときに開いてください ―  作者: わく


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大きな声

離婚後。

ママは、生命保険の営業をした。一年くらい。

「営業、向いてなかったわー」

なぜ?

「人見知りなのに、知らない人のところに飛び込むのが無理だった(笑)」

それだけではなかった。


職場の上司は、声が大きい体育会系の人だった。

ママにとって、大きな声はただの音ではない。

夫が暴れる時も、声が大きくなった。物に当たった。

その空気が嫌で、離婚した。

なのに。

職場へ行くと、似たものがいた。


「旦那が職場にもいるみたいで怖かった」


家から逃げた。

でも、会社で、身体が昔の家を思い出す。

最後の頃。

ママは寝た。

寝れば、考えなくていい。現実を見なくていい。

そのうち。

思った。

「このままじゃ働けなくなる」

この仕事を辞める、だけではなく。仕事そのものができなくなってしまう。

それは困る。子どもたちがいる。


だから、まだ動けるうちに、次を探した。



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