表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/98

第九十七話

「足今のうちにいっぱい触っておいてください。今ならツルツルです。朝になったら鱗でカチカチなので」

「はい。重くないですか?」


ベッドに仰向けになった俺に笹森さんが乗っかっている態勢だったのだが逆にした。


「大丈夫です。それより竹宮さん、この後どうするのか知ってます?」


笹森さんは可笑しそうに俺を見上げている。

まるで空を見る様に澄み切った瞳で。


「大丈夫です。男性向け成人漫画大量に読みました」


俺は自慢げに言う。

こんな風に答えもわかっていないのに不安がないのは初めてだ。

嫌、答えのわからないものなど学生の時はなかった。

解けるまで机に齧り付いた。


俺の答えにこらえきれず彼女は笑う。


「漫画、で、ですか?」

「はい。人妻とか寝取りというのが多くて困りました。何で普通に付き合っている男女の漫画がないんですか?」

「需要がないので」

「ありますよ。俺は読みたいです」

「背徳感とか後ろめたさがないと。まあそれはまた今度お話ししましょう。漫画ならいくらでも話せるので」

「はい。何か可哀想なのが多いんですよ。脅されてとか」

「はいはい」




いつの間にか眠っていた。

夢の中に初めて彼女が出てきた。


俺は海の中を深く深く潜っていった。

碧く美しく光る尾びれを持った零れ落ちそうな大きな胸を白い水着に包んだ人魚笹森さんが俺を迎えお帰りなさいと言ってくれた。

笹森さんは両手に校外学習で行った寺で見た聖徳太子二歳像くらいの大きさの女の子達を抱えている。

どうやら双子らしい。

娘達は俺を「おとしゃん」と言えば「ぱーぱ」と言ったりもするのでどっちかに統一すればいいのにと思った。

顔は笹森さんそっくりで可愛い。

俺は神妙な面持ちで「まだ当分通い婚になると思う」と言っていた。

ならあれは海の底ではなく琵琶湖だったのだろうか。

水の中でも漫画は描けるのだろうか。

笹森さんが人魚になっていて水の中で俺は戦闘服で普通に息をしているとか、気になることはいっぱいあるが、夢の中の俺は笹森さんと結婚して父親になっていた。

何ていい夢だろう。

どうせならプロポーズとかここまでの過程を見せてもらいたい。

もういっそ出会いから見たい。

夢に先を越されてしまったが、今まで見た夢で一番嬉しく現実味があった。

サイボーグと人魚姫が新しいかはわからないけど、目が覚めたら話そうと思った。

でも俺は絵が描けないから、いっそ同じ夢を見てくれてたらいいのにと思ったけれど、夢の世界の俺の方がずっと頼りになりそうなので見ないでいてくれていいと思った。

少なくとも夢の中の俺は彼女にプロポーズしているのだから、その勇気に敬意を払わねばならない。

その後笹森さんから漫画がアニメ化されると言う報告を受けたところで夢は途切れた。

その部分と愛くるしい双子だけは正夢になるといいと思った。



















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ