第八話
「あんたさ、休みの日何してんの?」
「休みの日?」
「そう、実際入ってみたら緊急出動なんてないじゃない?仕事も解剖と解析ばっかだし、そりゃ税金泥棒言われるかもね、何年たってもヒュドラ―がどこから来たのかわかってないんだし」
「資源になるってわかっただけで十分だろ」
「あんた前向きね、で、何してんの?」
「別に何も」
昼まで寝て起きたらちーちゃんさんを見て昼めし食って、三時ごろケーキ屋に行く。
ちーちゃんさんが休みならケーキだけ買ってすぐ帰る。
ちーちゃんさんがいたらコーヒー二杯飲んでできるだけ居座る。
混んでいたら早めに帰る、迷惑はかけたくない。
これをそのまま同僚に言うわけにはいかない。
だから別に何もでいい。
実際俺は驚くほど何もしていない。
ちーちゃんさんに出逢ってなかったらもっと何もしていなかっただろう。
やはりちーちゃんさんは偉大だ。
さんじゃなくて様と付けるべきかもしれない。
少なくともちーちゃんなどと気軽に読んでいい存在じゃないことは確かだ。
「あんたって彼女いるの?」
「いない」
いるわけないだろ。
こんな地味眼鏡に。
「じゃあさ、どんな子がいい?」
「どんなって?」
「顔の好み、何かあるでしょ?」
神尾は疲れているのだろうか。
「髪が長くて」
「長くて?」
嫌、待てよ。
ちーちゃんさんの髪が今より短かったとする。
そんなの可愛いに決まっている。
まとめ髪しか見たことないが、下しても可愛いだろう。
サイドの髪を耳にかけるところを見てみたい。
色んな髪型のちーちゃんさんを見たい。
センター分けのおでこ全開とか。
どんな髪型でもいい。
どんな髪型だろうがちーちゃんさんは可愛い。
「長くなくてもいい」
「どっちよ」
「色白で」
「色白で?」
嫌、待て。
褐色肌のちーちゃんさん。
最高じゃないか。
日焼けした水着の跡を家に帰って恥ずかしそうに見てるのとか。
いい。
すごくいい。
俺はちーちゃんさんの肌の色が緑でも大丈夫だ。
よって肌の色何か関係ない。
「色白じゃなくてもいい」
「は?」
「小柄で」
「小柄、あんたの身長じゃ誰でも小柄じゃないの?」
「小さければ小さいほどいい」
「まあ、あんたよりデカい女なんかそういないけど」
ちーちゃんさんは小さい。
あの可憐さは小柄さゆえだと思う。
俺よりでっかいちーちゃんさんと言うのは考えにくい。
嫌、待て。
有りじゃないか。
体長十一メートルのちーちゃんさん。
観音様じゃないか。
掌に乗せていただきたい。
そしてそのまま散歩したい。
数メートルでいいから。
掌からのちーちゃんさんのアップとか、神々しすぎて。
名実ともに女神になってしまうな。
いい。
俺よりでっかくていい。
「小柄じゃなくていい」
「何なのよ、あんた」
確かに何だろうな。
チキン南蛮定食を食べ終えた俺は少し物足りなかったのでラザニアを頼み席に戻った。
休憩が終われば又解剖だ。
腹ごしらえせねば。




