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待たせたな!  作者: 僧籍
第三部 戦線を押し上げろ!

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ニューギニア島急襲 ホーランディア上陸戦 5 「全艦、砲撃を開始せよ。――撃ち方始め!」 1945年8月16日午前7時30分

前回の空中戦のアメリカ軍航空隊の箇所を変更しました。

挿絵(By みてみん)


1945年8月16日午前7時30分


空母「天城」「葛城」を中心とする機動部隊と分離した、新太平洋艦隊の水上打撃部隊は、凄まじい波飛沫を上げながらフンボルト湾内へと突入した。


眼前には、アメリカ軍が心血を注いで築き上げた巨大な港、そして海岸線に沿って整然と並ぶ膨大な数の倉庫群と基地施設が、その全容を現しつつあった。


「水上偵察機、全機発進せよ!」


戦艦「長門」をはじめ、利根、青葉、伊勢、日向の各艦から鋭い号令が飛ぶ。

カタパルトから火薬の白煙が噴き出し、零式水上観測機が次々と南方の空へ弾き出された。それらは高度を上げ、瞬く間にホーランディア上空を旋回、各艦へ精密な照準データを送り始める。砲撃の「眼」が、戦場を完全に掌握した。


湾内に突入した新太平洋艦隊。加治中将の眼下には、アメリカ軍の心臓部が剥き出しになっていた。しかし、彼の狙いは無差別な破壊ではない。


「主砲、目標ホーランディア基地司令部。全艦、旋回始め」


各艦の砲術長の声が響く。戦艦「長門」の41センチ主砲が、重低音の唸りを上げて巨大な砲塔を横に振った。続いて「榛名」「伊勢」「日向」の砲門も、獲物を狙う野獣のように、陸上の司令部施設や飛行場、そして集積倉庫群へと、その黒々とした銃口を向けた。


数万トンの鋼鉄が、一斉に敵を睨み据える。その静かな動きこそが、数分後に訪れる破滅の前触れであった。


旗艦「長門」の艦橋は、冷徹なまでの緊張感に包まれていた。

新太平洋艦隊司令官・加治中将、そしてその傍らには、数々の死線を共にしてきた主任参謀・堀切大佐が、微動だにせず戦況を見守っている。


そこへ、通信参謀が鋭い敬礼とともに報告に走った。


「各艦、砲撃準備完了! 水上機よりの観測情報、照準合致しました!」


加治はゆっくりと視線を上げ、隣に立つ堀切と一瞬、静かにアイコンタクトを交わした。長年の信頼関係に言葉はいらなかった。加治は深く息を吸い込み、断固たる声で告げた。


「全艦、砲撃を開始せよ。――撃ち方始め!」


第一目標:敵総司令部イファル山の沈黙


「まず、敵の頭脳を潰す。長門、主砲一斉射!」


堀切大佐の合図とともに、旗艦「長門」の41センチ砲が凄まじい衝撃波とともに火を噴いた。目標は港を見下ろす高台に位置する、クルーガー中将らの司令部。

数トンに及ぶ徹甲弾が正確な放物線を描き、司令部を直撃。衝撃が大地を割り、米軍の指揮系統は一瞬にして沈黙した。


---



第二目標:飛行場群と管理施設の無力化


続いて、高速戦艦「榛名」の砲門がセンタニ湖周辺へ向けられる。


「滑走路は傷つけるな。駐機場と管制塔と指揮所、無線施設のみを叩け!」


滑走路そのものは後日の利用を考え、航空機と管理施設のみをピンポイントで破壊。逃げ遅れた米軍機が立ち往生する中、基地としての管理能力を完全に喪失させた。


---



第三目標:港湾艦艇および防衛陣地の掃討

重巡「利根」「青葉」、そして軽巡「酒匂」が湾内へ肉薄する。


「動く船はすべて沈めろ。沿岸の機銃陣地も一箇所ずつ丁寧に潰せ!」


脱出を図る米軍輸送船や上陸用舟艇を次々と撃沈。同時に、海岸線に築かれたトーチカや対空陣地も、巡洋艦の精密な平射によって、米兵ごと粉砕されていった。


---



最終段階:集積倉庫の包囲と観測精密射撃

そして、この作戦の核心――膨大な集積倉庫群。

加治中将はここへの直接砲撃を厳禁した。空中に舞い上がる零式水上観測機が、煙る戦場の上空で静かに円を描き、データを送る。


「観測機より各艦へ。倉庫群の外周、敵防御拠点を特定。座標を送る」


観測機の誘導に従い、戦艦「伊勢」「日向」の砲門が微調整された。


「倉庫の物資を焼くな。その周囲に潜む守備隊だけを排除せよ!」


倉庫本体には指一本触れさせず、その周囲で抵抗を試みる拠点だけを、巨大なメスで切り取るように一撃ずつ葬っていく。


---




砲撃の煙が風に流される中、ホーランディアは不気味なほどの静寂に包まれた。

司令部は瓦礫となり、飛行場は機能不全、港には米軍艦艇の残骸が浮いている。しかし、その中心部には、日本軍の手によって守られた「手つかずの物資の山」が、次なる主を待つかのように静かに佇んでいた。


加治中将は、双眼鏡を下げて堀切大佐を見た。

「……物資集積基地、制圧準備完了。堀切、陸戦隊の上陸開始。この膨大な『贈り物』を一つ残らず回収するぞ」


「了解。戦車上陸艦、接岸を開始せよ!」


艦砲射撃の煙が漂うホーランディアの海岸線に、日本軍の次なる「鉄の奔流」が押し寄せた。


沖合に待機していた戦車上陸艦や輸送船団が、一斉にハッチを開き、砂浜へと接岸する。


真っ先に砂を蹴立てて現れたのは、異形の怪物、地雷叩き戦車「シャーマン・クラブ」でした。

車体前方の回転ドラムに取り付けられた無数のチェーンが、凄まじい速度で回転を始めます。


「地雷原突破、前進ッ!」


「バチン! バチン!」という空気を引き裂く打撃音が響き、埋設されていた地雷を強制的に爆発させていきます。砂煙と火柱の中、日本軍が通るための「安全な道」が力業で切り拓かれていく。


地雷原が沈黙するやいなや、後続のハッチから、M4「神官」、M36「雷轟」、そしてM18「電光」さらには膨大な数のトラック、装甲車、そして銃剣をきらめかせた歩兵部隊が溢れ出した。


「遅れるな! 倉庫群を完全に包囲せよ! 敵の破壊工作を阻止しろ!」


指揮官の号令のもと、M18「電光」がその快速を活かして倉庫群の外周を瞬く間に駆け抜けた。トラックから飛び降りた歩兵たちが、倉庫の出入り口や周辺の路地を次々と封鎖していく。ここは、帝国の反撃を支える「宝の山」。一発の弾丸も、一本のマッチも通さない鉄の包囲網が完成した。




第一優先目標:総司令部と通信施設の電撃占領


一方で、M36「雷轟」を先頭に立てた突撃部隊は、アメリカ軍の心臓部へと肉薄する。

「通信施設を確保せよ! 暗号表と機材を焼かせるな!」


M4「神官」が司令部周辺の防衛線を強行突破。崩れた瓦礫の中から、歩兵部隊が地下施設へと突入する。通信兵たちが機材を破壊しようとする寸前、日本軍の自動小銃がそれを制した。ニューギニア全域に展開する米軍の神経系は、いまや日本軍の手中に落ちた。




第二優先目標:センタニ飛行場の制圧


同時に、別の装甲部隊がセンタニ飛行場へと突入した。


「 管制施設を占拠しろ!」


M18「電光」の機銃掃射が、飛行場の守備隊を散らす。管制塔へ駆け上がった日本軍将兵は、混乱する米軍の無線を封鎖し、飛行場の完全占領を宣言。これにより、ホーランディアは空からの補給も脱出も不可能な「閉ざされた檻」となる。


側面攻撃:トラック機動部隊の奇襲


上陸地点より正面で戦車隊が火花を散らす中、日本歩兵部隊はトラックに分乗してジャングルの縁を迂回し、米軍陣地の側面を突く。

荷台から素早く降ろされた無反動砲や重迫撃砲が、即座に据え付けられる。


「無反動砲、据え付け! 敵のM36の側面を狙え!」

「目標、敵機関銃座! てっー!」


瞬く間に射撃を開始。側面からの予想だにしない重火器攻撃に、建物の陰に隠れていた米軍戦車隊はパニックに陥り、次々と炎上していった。


激しい抵抗を続ける米軍の特火点に対し、最前線の士官が無線機を掴む。

「こちら地上部隊、座標3-1-2に強力な防御陣地あり! 航空支援を要請する!」


空には、待機していた九九式艦上爆撃機の編隊が、死神の鎌のような翼を翻して現れた。


「キィィィィィィン――!」

特有のダイブブレーキが奏でる咆哮が響き渡る。急降下を開始した九九艦爆から放たれた250キロ爆弾が、寸分の狂いもなく米軍陣地の中心に吸い込まれた。

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