ニューギニア島急襲 ホーランディア上陸戦 2 基地守備隊の不安と航空隊の陣容
第6軍司令部の場所をコンクリートの要塞ではなくイファル山の山頂に変更しました。
アメリカ軍航空隊は地上において「アイドリングで待機する」ところを「搭乗員は機体の傍らで待機し、命令後にエンジンを始動して発進する」様に変更しました。
ベースGの物資集積所。
フィリピンの敗北、カリマンタン島、オーストラリア軍の大空中戦の敗北。すでに太平洋戦線は日本軍によって押し込まれつつあった。その情報は末端の兵士達にも広がっていた。港に到着する輸送艦の減少、将官たちの表情や行動から、漣の様にすべての兵士達の心に不安と言う波が届いていた。
そこで、航空機用燃料の制限、民間人向けの食料供給も制限され、自分たちの食料さえも「籠城用」として制限されるという噂が届いてきた。
「おい、ビアクが陥落したという噂を知ってるか?」
一人の一等兵が、ライフルを整備しながら呟く。
「知っている、その噂の信ぴょう性はかなり高いと考えている」
「その場合は、次はこの基地だ、俺たちは大規模な地上戦を行う準備が必要だ」
「ジャングルで飢えて死ぬのを待つよりは、白旗を掲げて奴らのメシを食う方がマシなんじゃないか」
「バカ言え。ジャップに捕まったら生きては帰れんぞ」
軍曹が吐き捨てるように言った。だが、その声にはかつての威厳はない。
「だがな……クルーガー中将の言う『無期限の籠城戦』の結果、朽ち果てるのが、本当に合衆国のためになるのか? 誰にも知られず、この泥の中で腐っていく。それが俺たちの『ラスト・スタンド』だっていうのかよ」
兵士たちの士気は、崖っぷちで揺れていた。
彼らの多くは、英雄として死ぬことよりも、人間として生き残る道を本能的に探り始めていた。もし、日本軍が圧倒的な武力と共に「寛大な降伏条件」を提示すれば、クルーガーの冷徹な計算を裏切り、集団投降を選ぶ部隊が続出するのではないか――そんな不気味な予感が、湿った森の至る所に満ちていた。
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強力な無線機は依然として各地の「全米軍」と繋がっている。だが、そこから流れてくるのは、希望のニュースではなく、各拠点が抱える不安と、迫りくる日本軍の足音への怯えだけだった。
「二人の将軍」が守ろうとしているのは、アメリカ軍の誇りか、それとも自分たちの執念か。
計画が実行に移されるまでのわずかな猶予。ホーランディアのアメリカ兵たちは、つい最近までの勝利への道が絶たれたことを自分たちの命の危機によって悟り始めていた。
彼らは、来るべき運命を前に、自らに問いかけていた。
「俺たちは、何のために、誰のために死ぬのか?」と。
センタニ湖の北岸、ジャングルを強引に切り拓いて造られた3つの滑走路。そこには、ケニー中将の第5航空軍の「全財産」とも言える航空戦力が、文字通り隙間なく詰め込まれていた。
指揮所の窓からそれを見下ろすケニーの胸を去来するのは、この自分のこの航空軍の陣容に対する自信と漠然とした悪い予感だった。
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地図上では隣接する3つの飛行場は密集している。センタニ湖の北側に固まったこれらの滑走路は、新太平洋艦隊の戦艦が放つ長距離砲撃、あるいはビアク島からの電撃的な空襲を受けた際、一網打尽に破壊される危険を常に孕んでいた。
① センタニ飛行場(主力戦闘機の巣窟)
ここには、ケニーが指揮する、精鋭部隊が駐機している。
P-38 ライトニング: 約150機(3個飛行戦隊)。
「ケニーの矛」の真髄である。双発の重厚な機体、長大な航続距離。これらはビアク島への長距離侵攻、さらには接近しつつある新太平洋艦隊への接触・打撃を一手に担う。
P-47 サンダーボルト: 約50機(1個飛行戦隊)。
圧倒的な火力を誇る重戦闘機。日本軍の電撃侵攻が始まった際、基地上空を「鉄の傘」で覆い、対艦攻撃へと向かう爆撃隊を掩護する重責を担う。
② シクロップ飛行場(攻撃機)
地上、および海上攻撃に特化した打撃力がここに集結している。
A-20 ハヴォック: 約80機(2個飛行戦隊)。
ケニーが最も好んだ機体の一つ。機首に多数の機銃を並べた「怪物」であり、低空からの反跳爆撃で、日本軍の輸送船や上陸舟艇を血祭りに上げるための「地獄の猟犬」だ。
B-25 ミッチェル: 約40機(1個飛行戦隊)。
海上の艦船を機銃掃射でなぎ倒し、爆弾を叩き込む中型爆撃機。日本艦隊にとって、これほど不吉な「地獄の使者」はいない。
③ ホーランディア飛行場(戦略の眼と重打撃)
西側に位置するこの滑走路は、偵察と長距離打撃、そして物流の要衝となっていた。
B-24 リベレーター:約30機(分遣隊)。
主力はポートモレスビーにある、かつて、ここで給油と弾薬補給を繰り返して、ソロモン諸島や日本軍の孤立した基地に対して爆撃をしていた。
F-5(P-38偵察機型): 数機。
ケニーの「眼」である。新太平洋艦隊の正確な位置を特定し、日本軍のわずかな動静をも逃さぬよう、常に高高度からの監視を続けていた。
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「壮観だ、ウォルター」
ケニーは指揮所で駐機場に並ぶ航空機の姿を見て、それを言葉にした。その言葉には隠しきれない傲慢さと、それ以上に深い焦燥が混じっていた。
ビアク島への攻撃計画もすでに作られており、今晩の嵐が過ぎ去った後、この飛行場からすべての航空隊が発進する予定だ。
「これだけの翼が、たった一つの湖の畔に並んでいる。しかし、日本軍の艦隊が本気でここを叩きに来れば、滑走路や駐機場が地上で撃破された航空機の残骸の地獄に変わるぞ。マヌス島、ラエ、ポートモレスビーの各航空隊は間に合うのか?」




