ニューギニア島急襲ーー南十字星作戦 スコールの影から襲撃 7 「航空派遣軍」の飛来 1945年8月14日 午後3時
飛行場修復――「航空派遣軍」の飛来
戦闘の銃声がまだジャングルの奥で響いている中、早くも飛行場には基地施設部隊(工兵隊)が整備を開始した。大型ブルドーザーが、艦砲射撃で穿たれた弾痕を力任せに埋めていく。
「三時間以内に滑走路を確保しろ! 航空派遣軍が来るぞ!」
午後3時。嵐のピークを越し、晴れ間が見えてきた。
急ピッチで再整備された滑走路へ、カリマンタン島から発進した「航空派遣軍」がその姿を現した。
第四航空軍を中核としたこの混成部隊は、まさに圧巻の陣容であった。日本の誇る零戦、陸軍の隼に加え、接収機であるP-51 マスタング、P-47 サンダーボルトが、かつての敵機と編隊を組み、滑走路へと次々と滑り込んでくる。
カリマンタン島からスラウェシ島のメナド飛行場を中継してやってきた。
燃料供給ラインの復旧を終えた整備兵たちが、休む間もなくマスタングへ駆け寄り、米軍が残した高オクタン燃料に新型添加剤を入れて給油し始める。この燃料は整備兵がチェックして問題の無い燃料だ。それ以外にも補給艦から陸揚げした燃料をどんどん持ってくる。
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占領:橋頭堡としてのビアク島
南十字星の下、ビアク島は新生・日本海軍の反攻を支える航空基地、海軍基地へと変貌を遂げた。かつては防戦一方だった日本軍が、確かな兵站と組織力を武器に、南太平洋の支配権を奪い返すための巨大な足掛かりを手に入れた瞬間であった。
日が傾きかけた頃、占領を完了したビアク島には日の丸と旭日旗が翻った。
第9師団の指揮官は、接収したジープのボンネットに地図を広げ、東の空を指差した。
「これで、アメリカに最初の一楔を打ち込んだ。だが、ここは終着点ではない」
まだ多くの拠点が敵の手に残っている。だが、このビアク島を奪還し、前線基地と航空派遣軍を配置したことは、南太平洋における「反攻の橋頭堡」が完成したことを意味していた。
「ここを拠点に、次はホーランディアを食う。南太平洋の海図を、すべて塗り替える」
新・太平洋艦隊による「逆襲」の火蓋は、いまや誰にも止められない猛火となって、南の海へ広がっていこうとしていた。
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ホーランディア攻略作戦
ビアク島を「不沈の拠点」から「勝利の跳躍台」へと変えた南方戦線開放派遣軍は、次なる獲物を定めた。米軍の第6軍司令部がある巨大な兵站基地、ホーランディアである。
ビアク島の軍港にある戦艦「長門」。その作戦室では、新太平洋艦隊司令官・加治中将と主任参謀・堀切大佐、そして陸海軍の精鋭たちが、ニューギニア本島攻略の最終図面を前にしていた。
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開戦の先手:巨人の目を潰せ
加治中将は、地図上のホーランディア背後に連なるチクロープ山地を指し示した。
「力押しは二流だ。まずは奴らを『盲目』にする。堀切、航空作戦の推移を」
堀切大佐「はっ。第一撃は、航空母艦『天城』『葛城』の艦載機隊、およびビアクに進出した第四航空軍の連携で行います。目標は山間部に点在する米軍のレーダー基地と監視所です。これらを初動で完全に沈黙させ、敵の神経系を麻痺させます」
マリアナで重要な索敵の一部を担っていた「アンティータム」を沈めた余勢を駆り、最新鋭の電探と機動力を誇る米軍に対し、日本軍は「情報の遮断」という最も致命的な一撃を、空から見舞おうとしていた。
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新太平洋艦隊の全容
堀切大佐は、作戦に参加する新太平洋艦隊の布陣とその役割を読み上げた。
水上打撃部隊 戦艦「長門」「榛名」。その巨砲は海岸陣地を灰塵に帰すためにある。
航空支援・制圧 航空戦艦「伊勢」「日向」。重巡「利根」「青葉」。索敵機と高角砲の火網で艦隊の頭上を支配する。
空母機動部隊 「葛城」「天城」。最新鋭の航空戦力が、ホーランディアの制空権を奪う。
護衛艦隊 雪風、初霜、涼月、そして、
橘型駆逐艦:柿、 樺、 橘、 蔦、 萩、 菫、 楠、 初桜、 楡、 梨、 椎、 榎、 雄竹、 初梅。
「雑木林」と称された量産型ながら、対空・対潜に特化したこの一群が、艦隊の背後を鉄壁の「盾」で守り抜く。
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陸海合同のホーランディア上陸作戦
第九師団と横一特
会議机の対面には、陸軍第9師団と横須賀鎮守府第一特別陸戦隊(横一特)の指揮官たちが、決意を秘めた表情で並んでいた。
第9師団長
「航空攻撃で敵が混乱に陥った瞬間、我ら第9師団が上陸を開始します。M36、M18の機甲部隊を先頭に、歩兵部隊が施設内の掃討入ります。米兵に『自軍の武器に追い詰められる恐怖』を骨の髄まで教え込んでやりましょう」
横一特指揮官
「海軍陸戦隊は、港湾施設および通信中枢へ電撃的に浸透します。この作戦計画が成功すれば、敵に反撃の余地はありません」
作戦の最終確認が終わると同時に軍団は動き出す。
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出撃の刻
加治中将
「諸君。ホーランディアは米軍の巨大な主要集積地だ。ここを奪えば、南太平洋のアメリカは自重で崩壊する。……作戦開始だ」
加治の言葉と共に、会議は散会した。
長門の艦橋から見渡せば、静まり返ったビアクの海に、かつてない規模の艦隊が静かに、しかし、強い戦意をもって抜錨を開始した。
先頭を切るのは、橘型駆逐艦の群れ。その背後には、天城・葛城の巨大な影と、長門・榛名の重厚なシルエットが続く。
昭和二十年八月十四日午後九時
ホーランディア攻略作戦。太平洋の支配権を完全に奪還するための、静かなる、戦いが始まる。




