ニューギニア島急襲ーー南十字星作戦 スコールの影から襲撃 6 司令部並びに通信所を制圧 1945年8月14日 午前11時30分
ビアク島司令部と重要拠点の占領
アメリカ軍が構築した通信拠点および補給施設は、包囲の網の中にあった。
6時頃に再び、台風の影響が出始めて、大雨が両軍に降り注ぐ。
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鋼鉄の楔:M36・雷轟とM18・電光の蹂躙
「戦車を盾にしろ! 施設内へ突入!」
第9師団の歩兵部隊は、叩きつけるような雨と凄まじい爆音と共に突き進むM36・雷轟およびM18・電光の背後に身を潜め、瓦礫の山を越えた。これら装甲車両はかつてアメリカ軍が「自軍の精鋭」として配備したものだ。
M36の90mm砲が至近距離から火を噴き、施設の分厚いコンクリート壁に巨大な穴を穿った。その穴から、泥にまみれた日本兵たちが雪崩れ込む。
サンゴ石灰岩の急峻な崖に穿たれたアメリカ軍司令部施設は、もはや巨大なコンクリートの墓標と化していた。この場所は、いまや日本軍第9師団による徹底的な包囲網の中にあった。
「M36・雷轟、前へ! 施設正面の装甲扉を吹き飛ばせ!」
指揮官の怒号が、大雨が降り注ぐジャングルの空気を震わせた。
ジャングルの中から這い出してきたのは、M36・雷轟自走砲である。アメリカ軍がドイツ軍の重装甲戦車を貫くために開発した90mm砲が、かつての主に向けて水平に据えられた。
凄まじい爆発音と共に、厚さ数インチの防弾鋼板で作られた司令部正面扉が、紙屑のようにねじ切れて飛散した。その直後、M18・電光が快速を活かして突入、機関銃で内部の初動抵抗をなぎ払った。
地下回廊の掃討
「歩兵突入! 敵に態勢を立て直させるな!」
第9師団の歩兵部隊が、硝煙の立ち込める内部へと雪崩れ込んだ。
サンゴ岩を削り出した地下回廊は、照明が消え、非常灯の赤光が不気味に揺れていた。倒れた指揮机や通信機を盾に、アメリカ兵たちは必死の抵抗を試みる。しかし、彼らが聞いたのは聞き慣れた自軍の銃声であった。
日本兵の手には、接収されたM1ガーランドが握られていた。
「ピン」というクリップの排出音が通路に響くたびに、アメリカ兵たちの防衛線が一つ、また一つと沈黙していく。日本兵は部屋の角にマークII手榴弾を正確に放り込み、爆発の余韻が消える前に銃剣を先頭に突撃した。
「制圧! 次、予備の通信所捜索し、制圧に向かえ!」
廊下の白兵戦:M1ガーランドの残響
施設内部は、硝煙とコンクリートの粉塵で視界が遮られていた。廊下の角、倒れた事務机やキャビネットを即席の銃座にして抗戦を試みるアメリカ軍に対し、日本兵は一切の躊躇なく応戦した。
「右、角に銃座! 抑えろ!」
通路の奥へ向けて、マークII手榴弾が正確に放り込まれる。爆発の衝撃波が狭い通路を駆け抜け、砂塵が舞う中で銃剣を用いた白兵戦が展開された。抵抗を続けるアメリカ兵の胸元を、日本兵の刺突が貫く。
「制圧完了! 次、通信室を制圧せよ!」
通信室に踏み込んだ日本兵が見たのは、火器で破壊された無線機と、頭を撃ち抜いて自決した通信将校の遺体であった。
終焉の残響:ビアク島指令室陥落
ビアク島要塞の最深部。サンゴ岩を削り出した指令室の内部は、湿った熱気と、絶え間なく続く地響きに支配されていた。
アーノルド海軍中将は、重厚な机の端を握り、幕僚たちと共に基地内から響く凄まじい轟音を聞いていた。それはもはや遠い砲声ではなく、すぐ側で繰り広げられている白兵戦の叫びと、M1ガーランドが放つ速射音であった。
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「……報告はまだか」
中将の低い声に、手元のコルト・ガバメントを握りしめた参謀たちが顔を上げた。指令室内の空気は停滞し、爆撃で剥離した天井の粉塵が、机上の海域地図を白く染めていた。
かつて太平洋を支配した組織的な機動力と火力は、いまや霧散し、この「司令部」を守る手足はことごとく断ち切られていた。ある参謀は震える手でM1カービンを抱え直し、またある者は拳銃の遊底を引いて、一歩ずつ近づいてくる「最後の瞬間」を待っていた。
断たれた希望
中将は傍らに立つ副官を顧みた。
「副官、後方のホーランディア基地に日本軍の襲来と、我々の状況を伝えられたか?」
副官は、無線機の残骸を一瞥し、沈痛な面持ちで首を振った。
「……通信網は完全に遮断されました。ホーランディアへ届くのは、我々の叫びではなく、日本軍の進撃の足音だけでしょう」
副官が言葉を終えようとした、その瞬間であった。
――凄まじい衝撃波が部屋を貫いた。
指令室を外部と隔てていた厚い防弾扉が、至近距離から放たれた無反動砲の直撃を受けたかのように、内側へ向かってねじ切れ、吹き飛んできた。爆風と共にサンゴ岩の破片と硝煙が室内に雪崩れ込み、幕僚たちは吹き飛ばされた。
煙の向こう側、瓦礫の山を乗り越えて現れたのは、泥にまみれた日本兵と、自分たちの軍から奪われたM1ガーランドの銃口であった。
「……指令室、制圧」
硝煙の中に響いたのは、冷徹な日本語の宣告であった。
中将が手に持った拳銃を上げる暇もなく、指令室を支配していた最後の「アメリカ軍としての時間」は、瓦礫と共にその深層へと沈んでいった。
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戦況の帰結
午前11時30分。ビアク島指令部の屋上に日章旗が掲げられた。
組織的な反撃の核を失ったアメリカ軍は、これより完全な瓦解へと向かうことになる。
ある小隊は降伏の機会を求めて白旗を掲げ、またある分隊はジャングルの深部へ逃亡を図ったが、そこにはすでに日本軍の哨戒網が張り巡らされていた。
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「弾薬庫を確保しろ! 燃料も一滴も残すな!」
指揮官の鋭い怒号が補給物資集積地に響く。
この施設の制圧により、日本軍は膨大な量のアメリカ製の銃弾、砲弾、および戦車用の高オクタン燃料と航空燃料を確保した。
孤立した拠点に立てこもる残存兵たちは、自分たちの司令部が消滅したことも知らず、暗い地下室で弾薬が尽きるのを待つだけの存在となった。かつての巨人は、自軍の装備を身に着けた日本軍に押し潰されるように例外なく瓦解していった。




