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待たせたな!  作者: 僧籍
第二部 南方戦線に取り残された同胞の救出を誓う

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我らの戦力は整った、我々を地獄に落としたすべての者どもに、その報いを食らわせてやるだけだ!

各地の練成基地には、この「新兵器群」が続々と運び込まれていた。


「いいか、これらの兵器は以前と比べて、格段に使いやすく、壊れないし、信頼性が高い。お前たちの命を守り、敵を確実に撃破する『頼りになる相棒』だ!」


教官の怒号が響く中、兵士たちは新型戦車のハッチを潜る。

その力強いフォルム。

帰還艦隊がもたらした未来の技術と、日本の工業力が産み落とした「帰還鋼」の戦車たち。


国内で再編されたこれらの機械化師団が、フィリピンからの派遣軍と合流するとき、日本の軍事力は枠を越え、ソ連軍を根こそぎ粉砕する、日本の意志を叩きつける「鋼鉄の戦槌」として完成する。


北方へと向かう鉄道の列。その無蓋貨車(むがいかしゃ)の上に載された無数の新型戦車たちは、夕日を浴びて鈍く輝き、来るべき決戦の時を静かに、その溢れる戦意を閉じ込めて待っていた。


---


また、国内の敵国の諜報機関も一掃された。

総合国家政治戦略企画機関と統合兵站本部の直轄組織、憲兵隊を中心とした「国家保安隊」による、政治家・官僚・財界人、そして軍中枢への粛清は最終局面を迎えていた。


他国の諜報機関が狙う最高機密――それは、軍の次期作戦計画と、戦局を根底から覆すと噂される『帰還鋼きかんこう』の全貌だった。


その他にも帝都の街頭から、大声を張り上げる従来の憲兵の姿は消えていた。代わりに、国家保安隊の黒い車両が、夜の帳に紛れて音もなく走り回っていた。


共産党の地下組織の最高幹部も、アメリカのOSS(戦略情報局)の密偵も、どれほど強靭な精神や隠蔽技術を持っていようと、この配給物資の流れを徹底的に調べる「生活の監視網」の前に次々と窒息していった。食事の量、購入した衣類の繊維、支給された薬品の種類――それら全ての矛盾が、彼らの潜伏先をピンポイントで指し示していたからだ。


「現状における国内の敵性勢力のあぶり出し、および逮捕、すべて完了した」


指揮官は、すべての辻褄が合った巨大な台帳の山を閉じ、静かに告げた。


彼は窓の外、夕闇に包まれる帝都を見つめた。


極限状態が生み出した、国家安全保障情報局の雛形――国家保安隊。彼らが敷いた冷徹なシステムは、銃弾よりも確実に、国家の裏側に潜む敵を一人残らず排除し尽くしていた。


---


1945年8月、北緯50度の国境線と満州の地平は、赤軍の砲声と共に地獄の火に包まれていた。

8月9日、満州への怒涛の侵攻。そして11日、樺太への軍事行動開始。スターリンが日本にトドメを刺すべく大きく踏み込んでねじり込むように打ち込んだ拳が、まさに日本の腹に食い込もうとしている。


しかし、その背後で、歴史の歯車は誰も予想だにしない方向へと回転を始める。


「北方防衛開放軍」


樺太の泥濘と満州の荒野で関東軍の将兵が血を流し、奮戦している。

その時、マニラ近郊のフォート・マッキンリー基地は、力を内包した静寂と熱気に包まれていた。


集結した数十万の将兵。彼らは「大日本国家戦争遂行機関」の頭脳達によって作成された「反撃作戦」を具現化する存在だ。


山下大将が南方から送り届け、接収したアメリカ製兵器で武装した「北方防衛開放軍南方軍」。彼らは今、アメリカ軍の最新鋭戦車M36ジャクソンやM18ヘルキャット、M4シャーマンのレバーを握り、連日、実戦さながらの高速機動訓練を繰り返している。


そして、「北方防衛開放軍北方軍」。


「満州が燃えている。樺太が蹂躙されている。だが、我々が動くとき、そのすべてを逆転させる」


掛井道真総司令官と先任参謀・武田五郎大佐が定めた「戦略」に基づき、歩兵、戦車、そして航空部隊が秒単位で連動する「真の電撃戦の戦術」が、全将兵の血肉へと刻み込まれていた。


第三部に続く


予告


第四部


時は少し流れて、1945年9月初旬


すでに、南方の戦の趨勢は決した。ニューギニア島へ派遣された艦隊は呉に戻っている。

南方の陸軍航空隊も南方から移動を開始している。


準備は整った。

本国で強靭な装甲を纏い、素材からアップデートされたエンジンを得た「国内軍」。そしてフィリピンでアメリカ製の兵器を装備した「南方軍」。


掛井道真大将の号令一下、この軍団はフィリピンの地を力強く蹴り、黒潮に乗って一路、北の海へと突き進みむ。それは、火だるまとなって耐える満州守備隊、北方守備隊への、これ以上ない「救援」であり、侵略者の存在を撃滅させるという宣言だ。


ソ連軍は信じて疑わない。日本はすでに落日を迎えており、自分たちはただ「トドメを刺す」だけで良いのだと。共産主義の勝利を確信し、奢り高ぶった顔で満州を闊歩し、樺太を土足で踏み荒らす赤軍将校たち。


しかし、その瞬間に、彼らは目撃することになる。

南方の水平線から、想定を遥かに超える質量と速度で突っ込んでくる「北方防衛開放軍」の姿を。


それは単なる増援ではない。

最新の戦術教義に基づき、アメリカ軍の物量と日本の最新技術、そして歴戦の士官、兵士たちの犠牲とそこから得た戦訓が融合した、侵略者どもを撃滅し、悪を成す鬼を滅ぼす力、羅刹そのものだ。


「……貴様たちのリングは、ここではない。シベリアの果てまで追い返してやる」


掛井大将の指揮のもと、真っ赤に灼熱した拳がソ連軍の顔面に炸裂する。

「共産主義者とソヴィエト軍による樺太、朝鮮、満州蹂躙」というページは、いま、凄まじい音を立てて破り捨てらて、掛井たちの雄叫びが、お前たちを滅ぼせと轟叫ぶ!


代わりに刻まれるのは、絶望の淵から這い上がった日本軍が、強大なソヴィエト軍をリングの彼方へと吹き飛ばす、空前絶後の逆襲の記録。


日本海の新潟やフィリピンを飛び立つ無数の航空機、海を割る戦艦、空母、水雷艦隊、地上軍を乗せた輸送艦隊が出陣する。

戦鬼たちが、いま、血塗られた北の戦場へと殴り込みをかけようとしていた。


我らを地獄に落としたすべての者共をすべて追い落とすまで、この進撃は止まらない。



この続きは「第四部」から始まります。

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