表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
待たせたな!  作者: 僧籍
第二部 南方戦線に取り残された同胞の救出を誓う

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
62/113

新しい戦闘ドクトリン

マニラ近郊。巨大な陸軍基地フォート・マッキンリーは、北方でソヴィエト軍を迎え撃つための、演習場になった。


演習の幕開けを告げたのは、空を切り裂く高鳴るエンジン音だった。


航空打撃攻撃によるドクトリン:混成航空派遣軍の多層攻撃


高度6,000メートル。この巨大な作戦の「眼」となるのは、百式司令部偵察機だ。仮想敵の陣地配置を克明に捉え、後続の打撃群へと精密な座標を送り届ける。


その直後、低空を這うように現れたのは、日の丸を背負ったP-47サンダーボルトだ。


「全機、ロケット弾斉射!」


凄まじい風切り音と共に、翼下から放たれた無数のロケット弾が、曳光を引いて仮想敵の装甲列を直撃する。爆炎が大地を抉り、仮想敵の防空網が破壊される。


そして、空の主役たちがその全貌を現した。

軽快に舞う零戦や隼の直上、空を圧圧する巨影――一式陸攻と飛竜、そして鹵獲されたB-17、B-24だ。

戦闘機が「鋭い劒」ならば、彼らは「巨大な鉄の戦槌」だった。重厚な爆音を響かせる重爆の群れは、雲を割り、地平線を埋め尽くすほどの威容で現れる。爆弾倉が開き、数トンの爆弾が雨となって降り注ぐ。それは、ソ連軍の物量すらも沈黙させる圧倒的な破壊であった。


鋼鉄の潮流:機動打撃と貫通


爆撃の煙が晴れぬ間に、地上の鉄流が動き出す。

先陣を切るのは、M24チャーフィーとM18ヘルキャットの混成部隊だ。

「快速の牙」ヘルキャットが時速80キロで敵の側面をすり抜け、司令部を急襲する。同時に、M24チャーフィーは搭載された無線機を駆使し、空の百式司偵や地上の重砲部隊と「通信」しながら、敵の防御の綻びを正確に突いていった。


攻勢防御:工兵と歩兵の「即席要塞」


敵陣を貫通した直後、演習の真骨頂が発揮される。

重機を唸らせる工兵隊が、装甲ブルドーザーを駆使してわずか数十分で十字火網を構成する土塁を築き上げた。


「陣地構築完了! 歩兵、入れ!」


GMC CCKW(デュース・アンド・ア・ハーフ)やダッジ WCから飛び降りた歩兵たちが、工兵の作った溝に滑り込む。ダッジの荷台に据え付けられた近接攻撃の無反動砲が、土塁越しに殺意に満ちた火を噴く。また、間接攻撃のロケット砲や重迫撃砲も殺意をもって敵軍を圧倒する。これこそが、敵の反撃を逆手に取って粉砕する「攻勢防御陣」だ。


決戦の火消し:戦車部隊の咆哮


「敵、重戦車部隊が前線を突破! 第1戦車連隊、動け!」


仮想敵の強力な装甲部隊が牙を剥いた瞬間、待機していた真打ちが登場する。

M4シャーマンが歩兵と連携して戦線を維持し、その背後からM36ジャクソンが90mm砲の長砲身をもたげた。


「射程外で仕留めろ!」


ソ連軍のT-34やIS-2を想定した標的が、90mm砲の強烈な初速の前に次々と沈黙する。彼らは単なる攻撃部隊ではない。崩れかけた戦線に駆けつけ、敵の勢いをその大火力でねじ伏せる「火消し部隊」としての役割を完璧に演じていた。


北方への誓い


演習終了の信号が鳴り響く中、夕闇に包まれるマニラの平原。

そこには、かつての「補給なき歩兵」の姿はどこにもなかった。


アメリカ軍の圧倒的なロジスティクスの結晶である多数のトラック群。

日本が生んだ百式司偵の空からの索敵。

そして、鹵獲機と国産機が織りなす重厚な航空艦隊。


「……いいか、我々の戦いは、この機動と連携にある」


先任参謀・武田五郎大佐は、ダッジ WCの陰で一息つく兵士たちを見つめた。

それぞれの兵士達はマレーの密林で耐え、カリマンタンで再起し、いまフィリピンで強力な武器を得た。

この軍団が北の海を渡るとき、ソ連軍は思い知ることになる。自分たちが手を出したのは、もはや落日の帝国ではなく、地獄から蘇った「海洋国家群」の真の守護神であることを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ