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待たせたな!  作者: 僧籍
第二部 南方戦線に取り残された同胞の救出を誓う

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北方防衛開放軍:司令長官・掛井道真大将

フィリピンのマニラ、かつて「東洋の真珠」と称えられた。

その近郊のクラーク・フィールド航空基地に新たな将軍が降り立つ。


北方防衛開放軍:司令長官・掛井道真大将


輸送機から降り立った掛井道真陸軍大将は、久しぶりの南方の強烈な日差しを眩しさに懐かしさを感じていた。彼は陸軍大学校を恩賜の軍刀と共に卒業した生え抜きでありながら、徹底した現場主義者であった。


開戦前の中国戦線に始まり、アリューシャンでの陸海合同作戦、さらには灼熱の南方戦線。あらゆる戦域を渡り歩き、実戦の泥に塗れてきた赫奕(かくやく)たる経歴。政府や陸軍上層部との直接的なパイプも持たなかったが、その圧倒的な実戦的知見は、「大日本国家戦争遂行機関」の上層部に「国難打開の鍵」として深く刻まれていた。


大将昇格と同時に彼に託されたのは、二つの巨大な潮流を束ねる重責――「北方防衛開放軍」の指揮権であった。


電撃戦の具現者:先任参謀・武田五郎大佐


掛井の右腕、武田五郎大佐もまた、第一次世界大戦後の欧州から「機動戦・電撃戦」の本質を追い求めてきた、経験豊かな実戦派士官である。マニラの司令部にて、武田は最新の進捗状況を掛井へ報告した。


「現在、フォート・マッキンリー基地で再編成中の部隊は、新しく配備されたアメリカ製兵器の習熟錬成中です。また、航空部隊の編成も同時に進められており、各飛行部隊の再編成と錬成も急ピッチで進んでいます」


武田の視線の先には、接収したアメリカ製戦車やトラックが整然と並び、エンジン音を響かせていた。


「これらが終われば、合同で、新しい戦闘教義の伝達とそれに基づく戦術教本によって具体的な戦闘訓練を開始します。特定の状況で『どのように戦うか』という具体的な手順――戦術・技術・手順を規定し、部隊の動作から兵器の運用方法までを細部まで叩き込みます。日本国内で編成中の師団においても、全く同様の錬成が行われております」


歴戦の勇士と叩き上げの参謀団


司令部の屋台骨を支えるのは部隊長は中国、南洋、太平洋の各戦線で死線を潜り抜けた「プロフェッショナル」たちだ。

本国で編成している部隊も同様、かつて「決号作戦」のために日本各地へ配され、防衛戦を遂行する部隊を心血注いで錬成していた部隊長たちである。


彼らを支える参謀団は、陸軍参謀本部と海軍軍令部から選りすぐられの将官たちで構成されている。そこにはもはや、かつての日本軍を蝕んだ「陸海軍の争い」という壁は存在しない。

「北方の脅威を前にして、軍服の色を論じている暇はない」

彼らは掛井と武田が示す「現代戦術」という一つの旗印の下、一つの有機的な頭脳として機能していた。


救済と防衛の合流点


マニラに集結したのは、かつて絶望的な南方戦線で孤立していたが、「南方戦線開放派遣軍」によって救われ、新たにソ連の侵略に対抗すべく立ち上がった軍団である。彼らはアメリカ製兵器、技術を自らの装備に変えていた。


一方、日本本土では、困難を乗り越え、歴戦の指揮官たちの下で再編された、新たな軍団が編制された。「新技術」の装甲とエンジンと燃料を装備した航空機と陸上部隊。


掛井大将は、マニラの司令部に掲げられた巨大な地図を指差した。


「我々の目的は、防衛だけではない。……北方のソビエト共産党軍の侵略者からの『開放』である」


南方で地獄から生還した精鋭と、本土で再起を遂げた新生の精鋭。


1945年8月

「北方防衛開放軍」は実戦の経験、アメリカ製の物量、そして日本の新技術を機械化師団と航空艦隊を結び付ける《新戦術》を得て、北方から迫る赤き奔流を跳ね返す力を持った。彼らは今、その出陣の号令を待ち構えている。


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