表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
待たせたな!  作者: 僧籍
第二部 南方戦線に取り残された同胞の救出を誓う

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
56/113

作戦名「因幡の白兎」開始 1945年8月3日

山下大将はすべての予備交渉と大まかな枠組みと秘密協定の締結を見届けた。参謀団と官僚団を残し、次の日の早朝にすぐに次の訪問地に行くために、参謀長・武藤章中将と*百式司令部偵察機四型に乗り込んだ。

護衛機のP-51ムスタングの編隊がその周囲を固める。


行先はインドネシア・ジャワ島を管轄している日本陸軍の第16軍であり、その司令部だ。


*試作機 百式司令部偵察機四型 飛行試験が良行のものを本国から回してもらっている。

操縦士1人 + 便乗者(要人)1〜2人 速度が戦闘機並みに速い。万が一の敵の攻撃をその速度で回避する。

---


南方戦線の現状


1945年8月3日午前。ジャワ島を管轄する陸軍第16軍司令部に山下奉文大将が到着した。

飛行場から降り立ち、すぐに司令部施設へ向かう。

そこで、山本大将を出迎えたのは第16軍の首脳たちだ。


出迎えたのは、第16軍司令官・長野祐一郎中将、参謀長・山本茂一郎少将、作戦担当参謀・宮元静雄中佐の3名。長野中将は現地の軍政と防衛を統括し、独立準備調査会の活動を承認するなど、政治的動きにも深く関与していた。


山下大将は長野中将の前に立つと、真っ直ぐに手を握った。


「長野中将、第16軍の諸君。連合軍の上陸予測に対し、今日までこの広大なジャワの戦線を維持し、軍政を統制してくれたことに感謝する」


長野中将が応じる。

「滅相もございません。我らこそ、大将がもたらしてくれた大量の補給物資に感謝しております。これで本島防衛の現実的な目処が立ちました」




---


北方の危機と豪州密約


山下の随員である参謀部員が、机上に東アジアの全図を広げた。


「時間がない。本題に入る」


山下は、調印を終えたばかりのオーストラリアとの秘密停戦協定について詳細な説明を始めた。協定の本質は、南部戦線における「事実上の戦闘停止」である。これにより、宮元中佐が予測・準備していた連合軍の上陸作戦の脅威度は劇的に低下することになる。


「だが大将、なぜこの時期に豪州が我が方の提案に応じたのですか」


山本参謀長の問いに、山下は深く頷いて応じた。


「豪州もまた、長年イギリスやアメリカの国際政治の権力闘争に引きずられてきた歴史に、限界を感じていたのだ。だからこそ、我が国が提示した『アジア連盟構想』という新秩序の提案に乗ってきた。彼らも英米のくびきから脱し、南太平洋の安全を自ら確保する機を窺っていたということだ」


山下はそこで言葉を区切り、地図の最北端――満州、樺太、北方諸島を指し示した。


「南の憂いが消えた理由はそこにある。だが、真の危機は北だ。ソヴィエト連邦。確実な情報によれば、ソヴィエトは近々日ソ中立条約を破棄し、我が国へ全面侵略を開始する。対象は満州、樺太、北方諸島、そして本土だ」



宮元中佐が息を呑む。アメリカとの決戦で国力を使い果たしていた日本に、ソヴィエトの猛攻を支える余力はない。


「この未曾有の国難を救う道は一つしかない。豪州との密約で安全が確保されたこの南方戦線を縮小し、ここから精鋭戦力を抽出して、即座に北方および満州の各戦線へ急送することだ」

山下は必死に訴えかけた。


「長野中将。君たちが現地で進めてきたジャワの独立への道筋も、日本本土が滅びればすべて灰燼に帰す。南を縮小し、北を救う。この作戦を実行してほしい」


---


部隊選定と転進


オーストラリアを完全に信用することはできない。しかし、日本を救うには、山下大将たちがまとめたこの糸口に賭けるしかなかった。

長野司令官は、参謀長の山本、作戦参謀の宮元を見つめた。二人は静かに頷いた。


「理解いたしました、山下大将」


長野中将が厳かに告げた。

「ソヴィエト侵略の危機、しかと認識しました。我が第16軍はただちに防衛陣形を解き、北方派遣部隊の選定に入ります」


長野中将はすぐさま司令部全体に呼びかけた。


「宮元参謀、防衛計画をただちに『戦力抽出および転進計画』へ変更。山本参謀長はジャワの準備政府に対し、軍の縮小と独立プロセスの加速について折衝を開始せよ」


「はっ!」


二人の参謀が即座に動き出し、司令部内は緊迫した作戦準備へと移行した。


山下大将は長野中将を激励した。

「16軍を頼むぞ」

山下は短く告げると、すぐに司令部を後にした。次なる目的地は、カリマンタン島のムアラ海軍基地。



---



その日の夕刻、山下大将はブルネイのムアラ基地に到着した。

オーストラリアの交渉に次ぐ、ジャワ島への飛行、そして、ようやく、ブルネイに帰ってきたが、休むことは出来ない。


南方戦線開放派遣軍「因幡乃白兎」艦隊司令官、古村中将に告げる。


「現時刻をもって、「因幡乃白兎」はマレー半島、スマトラ島、ジャワ島の戦力をフィリピンへの移動を開始せよ」


「因幡乃白兎」艦隊司令官、古村中将は海軍式に敬礼し「了解しました、定められた方法によって、順次実行に移します」


「フィリピンのマニラ周辺の陸軍施設において、武装の再編、部隊の再編を行い、各戦線に送り込みます、また、日本本国の参謀本部、総合兵站本部、海軍総隊に向けて、連絡を開始します」


2人はお互いに表情を崩し、「ようやく、この使命を果たすことができるのか」「やっとです」とお互いに思いをはせる。


---


しかし、タイムリミットは迫っている、急げ。


この日のために、すでにマレー半島とスマトラ島とジャワ島の戦力の抽出する部隊の選定と編成を終えており、この命令をもって、この作戦「北方防衛開放戦線」の第一段階「因幡乃白兎」作戦を開始した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ