鋼の防空圏:B-29迎撃戦
絶望の空に現れた銀翼の死神
1945年、初夏。 日本の空は、高度一万メートルを蹂躙する「超空の要塞」B-29の独壇場だった。焦土と化す都市、迎撃の術を持たない本土の防空陣。だが、この日、帝都を焼き尽くさんと飛来した数百機のB-29は、かつてない「悪夢」に遭遇することになる。
時空の彼方からの迎撃
「目標、敵大型爆撃機編隊。全機、突撃せよ!」
指揮を執るのは、ミッドウェーを生き延び、さらなる練成を重ねた「伝説の搭乗員」たちだった。 時空を超えて現れた機動部隊は、本土近海に密かに展開。甲板から発艦したのは、未来の技術がわずかに混じり合ったかのような、空母「飛竜」「蒼龍」から発艦した異常な上昇力を持つ「零戦六十四型改」、そして空母「赤城」「加賀」から発艦した艦上戦闘機「烈風改」。
B-29の乗員たちは、眼下の雲海から「垂直」に近い角度で突き上げてくる緑の機影に目を見張った。 「馬鹿な、あの高度まで一気に!? 奴らは日本軍じゃない、幽霊か!」
一方的な殲滅
かつてラバウルやソロモンで「空の魔王」と恐れられたエースたちが、B-29の防御火器の死角を正確に突く。 一撃でエンジンを火だるまにし、次々と巨大な銀翼が初夏の空に散っていく。
さらに、秋月型駆逐艦の六五口径九八式十センチ高角砲から現代の知識に近いレーダー誘導された高角砲の弾幕が、正確にB-29の編隊を捉えた。
「一機も通すな。この下には、我々の守るべき家族がいるのだ!」
無線から流れる檄。 かつて海に沈む運命だった若者たちが、今、自分たちの「未来」が焼き払われるのを防ぐために、命の炎を燃やしていた。
救われた未来
その日、帰還できたB-29は一割にも満たなかった。 米軍司令部は震撼した。「日本の空には、戦略爆撃を殲滅する艦隊がいる」という報告が、恐怖と共にワシントンへ届く。
時空の歪みから現れた機動部隊は、単なる「過去の遺物」ではありませんでした。多くの時空の可能性から持ち込まれた技術的知見をリファインされ融合させた艦載機でした。
鋼鉄の防壁:絶望した銀翼
かつて、B-29の搭乗員にとって日本本土空襲は「一方的な作業」でした。しかし、今やそれは「死神との面会」へと変わりました。
1週間おきにマリアナ諸島から出撃する数百機のB-29。しかし、彼らが日本沿岸に到達するや否や、レーダーが捉えるよりも早く、水平線の彼方から「それ」は現れます。
「また来たぞ……あの悪魔たちだ!」
雲を切り裂き、マッハに近い速度で急降下してくる機影。 それは、金星エンジンを極限までチューンアップした「零戦六十四型改」。そして、その背後には大柄で逞しい翼を持つ、艦上戦闘機の完成形「烈風改」の雄姿がありました。
烈風の牙、B-29を断つ
烈風改の翼に据え付けられた20ミリ機銃が火を噴きます。 B-29の頑丈な防弾装甲も、この焼夷炸裂弾の前では紙細工に等しいものでした。一撃で主翼がへし折れ、四発エンジンの巨体が炎の尾を引いて太平洋へと墜ちていきます。
海の上では、戦艦「大和」を中心とする護衛艦隊が、ハリネズミのような対空陣を敷いていました。 時空を超えてもたらされたレーダー誘導された高角砲弾が、B-29の編隊の中で正確に狙い撃ちます。 空は黒煙と火球で埋め尽くされ、銀色の怪鳥たちは逃げ場を失っていきました。
行き詰まった戦略爆撃
「1週間で100機……。これでは、マリアナの基地が空になるぞ」
グアムの米軍司令部で、カーチス・ルメイ少将は震える手で報告書を叩きつけました。 かつて自信に満ち溢れていた爆撃機搭乗員たちの士気は完全に崩壊していました。出撃を命じれば「あれが出るなら飛ばない」と公然と拒否する者まで現れる始末。
戦略爆撃という「空からの勝利」を信じて疑わなかったアメリカ軍のシナリオは、完全に破綻しました。 どれほど生産力を誇るアメリカといえど、熟練の搭乗員と高価なB-29を、毎週100機単位で失い続ける消耗には耐えられなかったのです。
逆転の静寂
いつもなら空を埋め尽くすはずのB-29の爆音は、どこにも聞こえませんでした。
8月の日本の都市の上空に広がるのは、抜けるような青空と、哨戒飛行を終えて悠然と航空母艦へ着艦していく「彩雲」の美しいシルエットだけでした。
アメリカ軍は、ついに日本本土への無差別爆撃作戦の「無期限停止」を決定したのです。




