悪鬼・羅刹 追撃戦、バイカル湖までシベリア鉄道を走れ 9-1 北方防衛開放軍 陸海軍部連絡会議 1945年10月20日
第五部
次なる標的 バイカルへの進撃
通遼での組織的抵抗が消滅した数時間後、北方防衛開放軍総司令長官 掛井 道真 大将はすでにの矛先は次を見据えていた。
1945年10月20日、ハルビン ヤマトホテル内 北方防衛開放軍臨時司令部
かつてのロシア情緒を残すハルビン・ヤマトホテル。その大会議室は今、北方防衛開放軍の臨時司令部へと変貌を遂げていた。
壁一面に掲げられた巨大な大陸地図を囲むのは、帝国の命運を肩に負う将星たちである。本会合は、単なる作戦会議ではない。ソヴィエト連邦の心臓部、バイカル湖・イルクーツクへの電撃侵攻を決定づける、歴史的な「陸海軍部連絡会議」の場であった。
ヤマトホテルの大会議室に北方防衛開放軍の首脳陣が集まった。
南方軍
総司令長官(兼 南方軍司令官):掛井 道真 大将
総参謀長 兼 先任参謀:武田 五郎 大佐
情報参謀:久我 健一 少佐
兵装・技術参謀:小倉 善二 中佐
航空連絡参謀:桜木 徹 少佐
第8方面軍 司令官 今村均大将
第14方面軍 臨時派遣司令官
第32軍 臨時派遣司令官
第7方面軍 臨時派遣司令官
第2軍 臨時派遣司令官
横須賀鎮守府第一特別陸戦隊
新太平洋艦隊 司令官 加治中将
北方軍
司令官:伊勢神 忠雄 中将
参謀長:高瀬 仁志 少将
作戦参謀:水町 健吾 中佐
情報参謀:白川 義昭 少佐
後方参謀(兵站):榎本 隆正 大佐
関東軍
総司令官 山田乙三大将
総参謀長 秦彦三郎中将
総参謀副長 松村知勝少将
第四航空軍 司令官
ウラジオストク基地航空軍 司令官
大連基地航空隊 司令官
先任参謀・武田 五郎 大佐によって、これから侵攻するソヴィエト国内の状況を説明する。主要都市、ソヴィエト軍の戦力など様々な情報の説明がなされる。
鉄道と兵站を担当する後方参謀・榎本 隆正大佐によってシベリア鉄道の路線図、鉄道の隘路の説明がされる。
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敵情分析:武田先任参謀
「静粛に。これより敵国領内への侵攻要綱を説明する」
武田五郎大佐が指示棒を地図に突き立てた。
「ソヴィエト軍にとって、対日戦は「全軍の数割」の投入だったが、その中身は「全戦車の約4割」「全航空機の約3割」という、機動力と打撃力に特化した編成だ。そして、ソヴィエト極東派遣軍が東の果てで、一人も残らず全て殲滅されることは、スターリンと共産党はその巨大な暴力装置が永遠に失うという意味になる」
「敵ザバイカル方面軍、極東第一、第二方面軍は通遼にて壊滅的打撃を与えたが、ソヴィエト国内には未だ膨大な予備兵力が残存している。我らの目標は、北満の枢軸たるハルビンより、チチハル、ハイラルを経て国境駅・満洲里を突破。一気に赤塔、そしてバイカル湖畔へと至る鉄路の掌握である」
武田大佐は、ソ連軍の戦力配置を冷徹に説いた。
「特にバイカル湖南端のイルクーツクは、ユーラシアを東西に繋ぐ唯一の生命線だ。ここを物理的に遮断すれば、シベリア東部の敵軍は枯木のごとく孤立する」
「ここで大事なのはバイカル湖畔鉄道です、ここは幾つものトンネルと橋梁によって築かれた鉄道の要衝だ、破壊される前に、これを完全占領せねばならない、バイカル湖西岸のイルクーツクまでこの路線が失えば、バイカル湖を船舶で渡らなくてはならない」
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兵站の鍵:榎本大佐による「鉄路逆走」計画
続いて登壇したのは、鉄道と兵站の権威、榎本隆正大佐である。その手には、緻密に書き込まれたシベリア鉄道の路線図が握られていた。
「閣下、最大の障壁は地形だけではありませんでした、『軌間(線路の幅)』にあります」
榎本大佐は、標準軌(一、四三五ミリ)とソ連側の広軌(一、五二四ミリ)の断絶を説明した。
「八月の侵攻時、ソ連軍は我らが標準軌を広軌へと改修しながら進撃してきた。これこそが反撃の好機。現在、ハルビン周辺はもちろん、鉄道部隊が広軌に工事すでに敵の手で完了しています。後、ハルビン占領作戦時に我が軍が破壊した路線を修復し、我らがウラジオストク占領時に接収したアメリカ供与の巨大機関車とソヴィエト製機関車は広軌用。敵が我らを叩くために敷き直した広軌を、今回もそのまま逆走してソ連領内へ爆走することが可能なのです」
これには、伊勢神中将も深く頷いた。敵の整備したインフラを逆手に取り、鹵獲した米ソの巨魁機関車で機甲部隊を電撃輸送する。まさに兵站学上の奇策であった。
「しかし、大興安嶺の険を越えねばならん」
伊勢神中将が鋭く指摘する。
榎本大佐は即座に答えた。
「興安嶺トンネルは、八月のソヴィエト軍の攻勢によって関東軍が撤退時に破壊し損ねたおかげで、皮肉にも無傷であります。地上の路線はすでに百式司令部偵察機、九九式艦上爆撃機二二型改による上空からの検分を終え、保守点検の準備は整っております。トンネルを抜ければ、そこはバイカルへの平原です」
航空連絡参謀の桜木少佐が言葉を添える。
「地上部隊の進撃に合わせ、天津および周水子より隼、疾風、飛龍、B-17、艦載機航空隊の精鋭を前進基地へと移駐させます。絶え間ない空中掩護により、鉄路を阻む敵影は、バイカルに至るまで一掃してみせましょう」
「あと、通遼飛行場を占拠した時、無傷のB-25とC-47を接収しました、大連・周水子飛行場から避難してきた機体かと思われます」
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シベリア打通電撃進撃計画(1945年10月20日)
発信:北方防衛開放軍 後方参謀(兵站) 榎本隆正大佐
宛:北方防衛開放軍 司令官 兼 南方軍・関東軍各司令部
シベリア鉄道接収
1945年10月下旬。大陸の寒気は厳しさを増し、シベリアの原野は凍てつく冬の支配下に置かれようとしている。我ら北方防衛開放軍は、すでに満州全域の制圧を完了し、次なる戦略目標としてバイカル湖畔の要衝イルクーツクへの進撃を策定した。
本計画の根幹は、ウラジオストク占領時に接収したソ連製FD型蒸気機関車と最新式米国製機関車(YeA型)を中核とする、シベリア鉄道を利用した電撃的な鉄道輸送による機動侵攻である。
兵站基盤:ウラジオストク鹵獲資材の活用
本侵攻において、兵站の生命線となるのは以下の資材および編制である。
FD型蒸気機関車と米国製機関車(YeA型)(鹵獲機)
ウラジオストク操車場にて無傷で接収した強力なソ連製機関車とアメリカ製機関車群を活用する。
これらの巨躯は、北方防衛開放軍の重装甲車両を積載した長大な貨車を、時速60km以上で牽引する能力を持つ。
後方参謀(兵站)榎本隆正大佐が、鉄道部隊および兵站維持の総指揮を執る。
榎本大佐の緻密な計算に基づき、石炭・水の補給点および修理拠点を事前に策定する。
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工兵および偵察計画:鉄路の復旧と維持
本計画の成否は、8月のソ連軍進撃時に破壊を免れた「鉄の回廊」の維持にかかっている。
空中哨戒および事前確認は百式司令部偵察機、九九式艦上爆撃機二二型改を先行させ、線路の状態を超低空から精査する。
トンネルの整備について、大興安嶺の各トンネル群は、8月のソ連軍侵攻時に日本軍が破壊を試みたものの、電撃的な制圧により失敗に終わった経緯がある。 皮肉にも無傷で残されたこれらのトンネルに対し、榎本大佐指揮下の先行鉄道部隊が入り、構造の緊急整備を実施する。現場に熟練の鉄道部隊が、技術的な障害を即座に排除する。
機動打撃部隊:列車搭載機甲力
鉄道は単なる輸送手段ではなく、それ自体が「動く要塞」として機能する。
諸兵科連合列車
貨車上には、90mm砲を備えたM36・雷轟を配置し、走行中であっても沿線の敵陣地を直接射撃する「列車移動砲」として運用する。停車と同時にM18・電光、M24・迅雷を展開させ、線路周辺の残存敵部隊を電撃的に掃討する。新一式中戦車と新九七式中戦車が続く。
航空連携
各車両には高性能無線機を配備。南方から進出する隼や疾風の航空援護を即座に要請し、鉄路を阻む敵を空から粉砕する。
「鉄道は大陸を貫く槍である。我々がウラジオストクで得たこの鉄道部隊は、ソヴィエトの命運を断ち、イルクーツクを戦略拠点へと変えるだろう」
―― 後方参謀 榎本隆正大佐




