連合軍によるカリマンタン島攻撃作戦の変更 1945年7月
1945年7月
メルボルン郊外の陸軍司令部。オーストラリア軍の二人の将官が地図を囲んでいた。
参謀達によって、その地図には日本軍の侵攻の情報が書き込まれている。
アメリカ、イギリスの被害状況や、様々な情報をその会議室の人々が共有している。
空軍のジョーンズとボストックが組織内の権力の《対立》に興じている間、戦の全責任を負う彼らの視線は日本軍の動きに注がれていました。
・オーボエ作戦陸軍部隊(オーストラリア第1軍団)司令官: レスリー・モースヘッド 中将
実戦部隊であるオーストラリア第1軍団(第7、第9師団など)を直接指揮する。
・連合国陸軍部隊司令官: トーマス・ブレイミー 元帥
オーストラリア軍総司令官として、地上作戦の指揮にあたる。
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「マッカーサーめ……。あれほど『I shall return』と豪語しておきながら、フィリピンを再び失い、自らは捕虜か。……レスリー、我々は梯子を外されたのだ」
ブレイミーの声には、長年アメリカの陰に甘んじてきた屈辱と、いざという時に見捨てられたという冷徹な怒りが混じっていました。1944年までは「勝利の掃除役」として島々の掃討を命じられていたオーストラリア軍が、今や自力でこの広大な大陸を守らねばならない。
「アメリカの補給が止まれば、我が軍の戦車もトラックも、ただの鉄の塊に成り下がる。……この状況で、まだ、わが国は防衛戦争を継続できるか?」
「はっ、我が軍の物資の集積状況とアメリカからの海上輸送を考慮するとかなり、ある程度の期間は継続可能です、問題はガソリン、潤滑油、航空機の部品や車両の部品などの供給が先細りになることです」
「また、海の沿岸の都市部への艦隊、航空両方の攻撃を警戒する必要があります」
モースヘッド中将の覚悟
「トマ、私はニューギニア島にいる第7、第9師団を、最悪の場合は『捨て石』にする覚悟はあります。日本軍がニューギニア島を再占領する場合には徹底的なゲリラ戦によって日本軍に被害を与えて、日本軍の動きを制します」
第1軍団司令官、レスリー・モースヘッド中将が静かに応じた。かつて北アフリカのトブルクで「砂漠の鼠」と揶揄されながらもドイツ電撃戦を食い止めた不屈の男は、いまや母国を襲う未曾有の危機に、立ち上がった。
「オーボエ作戦は、既に破綻しました。ダーウィン、そしてブリスベン……オーストラリア本国を要塞化する。そのために第1軍団の第7師団、第9師団はニューギニア島で戦います。そして、第1軍団の精鋭38万5千名は、ジャングルの奥地で死ぬために訓練されたのではない。我が国土、国民、財産を守るために日本軍を迎え撃つためにいるのです」
モースヘッドは、地図上の「ダーウィン」を強く指差しました。
「空軍の馬鹿どもが内紛に明け暮れているなら、地上軍だけで防空陣地を固めるまで。対空砲火の一門、地雷の一枚まで、私が徹底的に管理します」
ブレイミー元帥は、窓の外を歩く国民軍の若い兵士たちに目をやりました。
「1944年のあの余裕は、どこへ行ったのだ……。あの頃は、マリアナを落とせば戦争は終わると誰もが信じていた」
彼らの感想は、共通して「孤立無援」という避けがたい事実に行き着いていました。
イギリス(本国): 極東派遣艦隊の壊滅、そして、欧州戦線の戦後処理で手一杯。
アメリカ(後ろ盾): フィリピン陥落とニミッツの苦境により、援軍の望み薄。
オーストラリア軍総司令官、トーマス・ブレイミー元帥は地図の上に、フィリピンから南下する「新・連合艦隊」の推定進路を赤い鉛筆でなぞりました。
「レスリー、これからの戦いは、大英帝国の一員としての戦いではない。オーストラリアという一国家の『生存』を賭けた、初めての独立をかけた戦争になるぞ」
「……望むところです」
モースヘッドは軍帽を深く被り直した。
「ニューギニア島、ソロモン諸島の第7、第9師団には伝えてあります。――『諸君の背後には、もはやマッカーサーはいない。だが、諸君の背後には諸君の家族と故郷がある』」




