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待たせたな!  作者: 僧籍
第四部 北方防衛開放戦線

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大連、旅順への上陸作戦 6-8 大連・旅順の開放 1945年10月5日

挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


遼東の黎明:大連・旅順の開放


1945年10月5日、新太平洋艦隊による上陸を経て、大連・旅順の両市はついに開放の時を迎えた。しかし、それは平穏への回帰ではなく、苛烈な「浄化」の始まりであった。


---


執念の掃討:路地裏の処刑場


旅順港に日の丸が掲げられると同時に、北方防衛開放軍の治安維持部隊による徹底的な掃討作戦が開始された。組織的な抵抗能力を失い、建物の陰や郊外の畑に潜伏していた共産党軍の敗残兵は、一人の例外もなく捜索・摘発された。彼らは「敗残」という屈辱の中で、次々と背後から、あるいは壁際でその生涯を閉じた。


日本軍占領下で日本人居留民に対し、暴行、略奪、強姦、殺人といった蛮行を働いた兵士および中国人協力者は、居留民たちの証言に基づき一人残らず調べ上げられた。捕虜となったソヴィエト軍や共産軍の将官たちは、安全な収容所ではなく、冷徹な尋問官が待ち構える取調室へと直行させられた。そこでは、極東における次なる戦略情報のすべてが、肉体と精神の限界を超えた手法で引き出されていった。


戦艦による管制射撃は、事前に入念な地図照合が行われていたため、民間人居住区の建物への被害は限定されていた。生き残った居留民の証言によって迅速な犯罪者摘発は進められた。


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大連の地下取調室 ―― 崩れ去る赤軍将官の尊厳


大連の旧ロシア市街、重厚な石造りの旧警察庁舎の取調室。

室内に漂うのは、敗残兵のすえた匂いと湿気、そしてわずかな薬品の匂いだけだった。


椅子に拘束されているのは、大連防衛線を指揮していたソヴィエト軍の少将であった。

野戦服の肩章は引き千切られ、顔面は硝煙と血汚れて黒ずんでいる。彼は正面の尋問官を見据え、なおもロシア語で威嚇するように吐き捨てた。


「無駄だ! 帝国主義の犬どもめ……我が赤軍の極東総司令部がハバロフスクから全軍を動員すれば、貴様らなど一瞬で海へ押し流される!」


対峙する新太平洋艦隊情報部の冷徹な尋問官は、表情ひとつ変えずに書類の手元から視線を上げた。その眼光は、まるで標本の肉を切り開くメスのように冷ややかだった。


「強がりは結構だ、少将。貴官が誇る旅順・大連の要塞線は、我が艦隊の精密砲撃と北方防衛解放軍の電撃侵攻によって、わずか数十時間で崩壊した。そして、ハバロフスクもイルクーツクからの救援など来ない。すでにハバロフスク方面の鉄道の主要鉄橋はすでに爆破され、補給線は切断されている。ハルビンはすでに占領済みだ」


尋問官は卓上に、精密な航空写真と解読された通信暗号の写しを数枚、静かに滑らせた。


「我々が知りたいのはソビエト軍の予備兵力配置と、ソヴィエト軍の暗号周波数とその符号すべてだ」


「……話すと思うか!」


少将が唾を吐きかけようとした瞬間、尋問官が微かに指先を動かした。

背後の影から無言で歩み出た情報部員たちが、自白誘発用の特殊な薬物注射器を準備し始める。これまで無数の凄惨な戦場を生き抜いてきた赤軍将官の顔に、初めて生々しい恐怖の色が浮かんだ。


「肉体と精神の限界を超えた時、人は誰しも真実を語る。自らの尊厳を保ったまま口を開くか、それとも尊厳を完全に破壊されてからすべてを吐き出すか……貴官に残された時間はあと三十秒だ」


時計の針の刻む音が、地下室に残酷に響く。

冷徹な圧迫感と、自軍の敗北を物語る動かぬ証拠の前に、少将の強固だった精神の防壁がメリメリと音を立てて崩壊していった。やがて、震える唇から、極東におけるソヴィエト軍の最終戦略情報が絶望的な自白となって溢れ出し始めた。


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大連広場・臨時軍法会議 ―― 居留民たちの激しい告発


一方、光の射す大連市内の大広場。

事前に入念な地図照合を行って実施された戦艦の管制射撃により、避難民が身を寄せる居留民街や病院の建物は破壊を免れていた。安全が確保された広場には「新太平洋艦隊・軍政部憲兵隊」による臨時法廷が設置され、捕らえられた犯罪者たちの処罰が進められていた。


縄で縛られ、銃口を突きつけられて引き出されたのは、治安の混乱に乗じて悪逆非道を尽くしたソヴィエト兵の脱走兵残党と、それに協力して暴虐に加担した中国人犯罪者たちであった。


「……あいつです! あの男たちですッ!」


広場を埋め尽くした日本人居留民の中から、ボロボロの着物を纏った中年女性が、身を乗り出して叫んだ。その瞳には、溢れ出る涙とともに激しい怒りの炎が燃え盛っていた。


「日本軍がいなくなった途端、あそこにいるソヴィエト兵どもは銃を乱射しながら私たちの家に押し入ってきました! 夫をその場で撃ち殺し、家に火をつけ……! それだけじゃない、逃げ惑う若い娘たちを力ずくで引きずり倒し、あの男たち全員で……ッ!」


女性の声は激しい悔しさと悲痛さで掠れ、広場に集まった避難民たちから怒号が巻き起こった。


「そうだ! あそこにいる中国人どもも同罪だ!」


胸に包帯を巻いた初老の日本人男性が、震える指で男たちの一人を指さした。


「ソヴィエト兵の手先となって手引きをし、日本人街の商店や民家から掠奪を重ね、抵抗する老人も子供も構わず刃物で刺し殺していった! 挙げ句の果てに、女子供を連れ去ろうとしたんだ! 一人も生かしておくな!」


「許すな! 人非人、鬼畜どもを処刑しろ!」


居留民たちの生々しい証言と、押収された掠奪品、そして何より犠牲者たちの遺体の検分結果が、憲兵法務官の手帳へ厳格に記録されていく。


憲兵将校は冷徹な眼差しで、捕縄につながれた罪人たちを見下ろした。

言い逃れのできない動かぬ証拠と、怒りに震える無数の被害者たちの視線に晒され、先ほどまで惨虐の限りを尽くしていたソヴィエト兵や協力者たちは、ガタガタと膝を震わせ、青ざめた顔で地を見つめることしかできなかった。


「……証言および証拠品、すべて合致。非戦闘員に対する暴行、略奪、強姦、殺人の罪により、被告らを即決の死刑に処す」


冷徹な一言とともに、憲兵隊の手によって引き立てられていく犯罪者たち。火力を以て外敵を徹底粉砕し、精緻な管理と厳格な法ノ裁きによって、踏みにじられた法と秩序を即座に再構築する――。


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周水子飛行場の再生


大連近郊の大連・周水子飛行場は、もはやソヴィエト軍の残骸が転がる廃墟ではなかった。黒煙が消えぬうちに、日本本国および南方各地から飛来した航空基地航空隊の機体が続々と飛来する。陸軍の誇る四式戦闘機「疾風」や一式戦闘機「隼」、五式改戦闘機が爆音を響かせて次々と着陸する。


特筆すべきは、零戦六四型改(統合仕様)や、九九式艦上爆撃機二二型改(統合仕様)の部隊であった。その操縦席に座るのは、熟練操縦士だけでなく、速成訓練を終えたばかりの若年操縦者たちである。彼らの瞳には未だ幼さが残るが、その操縦は迷いなく、広大な滑走路に続々と着陸していく。遼東半島は大陸への進撃ための巨大な橋頭保の基地へと変貌を遂げた。


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最終決戦の地へ:通遼への追撃


南方軍司令官・掛井道真大将と、その精鋭幕僚団は、旅順の土をその軍靴で踏みしめながら、すでに次なる、そして最後の戦場を見据えていた。


「アンドレイ・クラフチェンコを逃がすな。奴らには、死に場所を用意してある」


掛井の視線は、地図上の《通遼(ツーリャオ)》の一点に固定されていた。敗走するソヴィエト第6親衛戦車軍を、逃げ場のない広大な荒野へと追い込む。天津から北上する第8方面軍、ハルビンから南進する北方軍、そして再編された関東軍。これらすべての力が、通遼という名の「巨大な処刑所」の中でソヴィエト軍を圧砕すべく動き出した。


南方軍、北方軍、そして関東軍。

三位一体となった軍靴の響きは、大陸の泥濘を撥ね除け、赤色に染まった地平線を塗り替えていく。次の目的地は、通遼。


そこが、侵略者たちの最後の墓場だ。

大連、旅順への上陸作戦 終

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