大連、旅順への上陸作戦 6-4 瑞雲航空隊 1945年10月4日午前7時
ソヴィエト太平洋艦隊の水雷戦隊を沈めた日本軍・新太平洋艦隊は旅順、大連のソヴィエト軍基地に攻撃を矛先を向けた。
「こちら長門、偵察機全機に告ぐ、旅順、大連のソヴィエト軍の攻撃目標の座標を送れ、繰り返す、旅順、大連のソヴィエト軍の攻撃目標の座標を送れ」
「こちら、長門偵察機1番機 了解した」
艦隊のすべての艦載水上偵察機が旅順と大連の攻撃目標を目視で見つけ出し、長門の司令部に報告を上げる。参謀部員たちは大きな地図に敵の配置図を記入していく。
---
1945年10月4日午前7時
瑞雲、第一戦隊(伊勢搭載)と第二戦隊(日向搭載)を統括する三島中佐は大連方角に違和感を感じた。
「こちら、伊勢、日向航空隊、指揮官三島中佐だ、大連方角に違和感を感じるので、偵察を続行する」
「こちら長門管制、了解、三島中佐よろしくお願いします」
三島中佐は大連・周水子飛行場の上空から駐機場に無数の輸送機がアイドリングをして、待機しているのを確認する。
「長門管制、こちら、瑞雲航空隊、三島中佐だ、大連・周水子飛行場から多数の輸送機が発進を行っている」
「了解、しばし待機してください」
管制官は新・太平洋艦隊司令官・加治中将と、主任参謀の堀切大佐に報告をする。
堀切大佐
「ソヴィエト軍が輸送機によって避難をしているかと思います」
加治中将
「即座に、瑞雲隊に攻撃をさせよう、通信参謀、掛井総司令官にこのことを伝えてくれ」
「管制官、三島中佐に代われるか」
管制官
「はい、こちらです」
加治中将
「こちら加持中将だ、三島中佐、大連・周水子飛行場の発進準備をしている輸送機を飛び立つ前に破壊することは可能か?」
三島中佐
「加持中将、可能です、瑞雲は爆装しています」
加治中将
「三島中佐、よろしく頼む、ソヴィエト軍の重要人物が乗っている可能性が高い」
三島中佐
「了解しました、瑞雲隊、爆撃に入ります」
---
大連・周水子飛行場には、極東へ物資と兵員を送り込み続けたソ連軍第21輸送航空師団のLi-2、およびC-47輸送機が隙間なく並んでいた。飛行場の管制塔では、管制官と師団司令官が緊迫した表情で無線機を握っていた。滑走路では、数十機の輸送機がエンジンを始動させ、排気煙が滑走路を覆っている。
「発進可能な機体から順次飛び立て。この飛行場はすでに敵の攻撃圏内にある。地上に留まれば全機破壊されるぞ。空中退避を優先しろ」
司令官の命令が各機に飛ぶ。同時に、後方部隊の避難を最優先とする指示も出されたが、整備員の混乱と積載作業の遅れにより、離陸の順番待ちは絶望的な列を形成していた。
その混乱のさなか、雲を突いて三島中佐率いる瑞雲攻撃隊が上空に姿を現した。瑞雲隊は高度を下げ、低空からの精密爆撃に移行した。目標は、離陸のために滑走路に並んだ機体と、駐機場の密集地帯である。
「攻撃開始」
三島中佐の短い号令と共に、瑞雲から次々と250キロ爆弾が投下された。爆弾はLi-2の主翼やC-47の胴体に直撃し、漏れ出した燃料が次々と引火した。離陸のために出力を上げていたエンジンが誘爆し、滑走路は炎上した機体によって完全に封鎖された。地上に釘付けとなった輸送機群は、回避行動も取れぬまま次々と鉄の屑へと変わっていった。地上での多数撃破を確認した三島中佐は、旋回して戦果を見届けた後、無線機の周波数を調整した。
「三島より長門管制。周水子飛行場への攻撃結果を報告する。地上にて多数の輸送機を撃破、滑走路の封鎖に成功。残存する地上目標および小規模な抵抗勢力の掃討は、後続の空母艦載機部隊に委任する。これより帰還する」
新太平洋艦隊旗艦「長門」の管制室から、受理の合図が返る。三島中佐は、黒煙を上げる飛行場を背に機首を向けた。周水子飛行場の機能は完全に停止した。後は、「葛城」「天城」から発艦した艦載機部隊が、止めを刺すのみであった。
---
破壊された大連・周水子飛行場の瓦礫の片隅で倒れていた士官がつぶやいた。
「先に避難したB-25の部隊と輸送機は通遼飛行場に無事に着いただろうか?それから、あいつらのことは、あとはたのむぞ。」




