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待たせたな!  作者: 僧籍
第四部 北方防衛開放戦線

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119/121

ウラジオストク上陸戦 3-12 ウラジオストク発「逆・電撃戦」1945年9月19日

挿絵(By みてみん)


ウラジオストク発「逆・電撃戦」 1945年9月19日


ウラジオストクを制圧した北方軍司令部は、接収した膨大な「鉄道の資産」を前に、戦局を根底から覆す新たな戦略を策定した。ソヴィエト軍が侵略の動脈としていた鉄道網を、そのまま日本軍の反撃の槍へと転換する。


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接収された鉄道


ウラジオストク操車場に集結していたのは、ソヴィエト軍の兵站を支える二種類の強力な機関車であった。


E型エ・クラスおよびSO型、極寒のシベリア環境に最適化された貨物用蒸気機関車。1,000トンを超える弾薬・燃料列車を牽引する馬力を持つ、ソヴィエト軍の「大黒柱」である。


米国製「イェア(YeA/YeM)」型 (再生産されたロシアン・デカポッド)は米国がソヴィエトへの武器貸与法レンドリースに基づき、ソヴィエトの広軌に合わせて製造した最新鋭機。自動給炭機を備え、日本のD51を遥かに凌駕する牽引力を誇る。米国がソヴィエトを助けるために送ったこの最新鋭機が、今や日本軍の手によってソヴィエト軍を包囲するための主役に転じた。


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この「鉄の資産」を最大限に活用すべく、三人の参謀がそれぞれの専門領域を交差させた。


榎本隆正大佐(兵站・鉄道担当)

鉄道網の急速復旧を指揮する。日本軍が占領したシベリア鉄道のソヴィエト側の線路を即座に管理して修復する一方、これから、占領予定のウラジオストクからハルビン間の鉄道を「動脈の管理人」として運行する計画を立てる。北方軍の進撃速度を分単位でダイヤグラムを作り計算した。


白川義昭少佐(情報担当)

佐伯中佐による尋問と通信傍受を基に、第12航空軍の野戦飛行場の座標、東清鉄道沿線の守備手薄な拠点を特定。ソヴィエト軍のドクトリンを逆手に取り、敵が「どこを叩けば止まるか」を伊勢神中将に進言する。


水町健吾中佐(作戦立案担当)

榎本と白川の情報を受け、具体的な強襲計画を組み立てる。


「ヴォズドヴィジェンカ飛行場から大規模な落下傘部隊をハルビンへ挺身降下させ、主要駅を占領する。快速地上部隊が路線の安全を確保した直後に、接収した機関車群で精鋭部隊と戦車を電撃的にハルビンまで送り込む」




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伊勢神中将は、榎本大佐からの報告を受け、勝利を確信した。ソヴィエトの鉄道は日本や満州の標準軌より広い「広軌」である。本来なら日本からの機関車は走れないが、現地で大量の機関車、炭水車、そして鉄道要員を確保したことで、シベリア鉄道をそのまま逆走させる能力を手に入れたのだ。


「……これは単なる鉄道の接収ではない。我々は、大陸を縦断する『超高速の移動手段』を手に入れたのだ」


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逆・電撃戦の作戦計画


作戦は戦略爆撃機部隊と空挺部隊の強襲作戦から始まる。

北方軍の航空隊がハルビンの兵站拠点を爆撃して敵を釘付けにする中、ヴォズドヴィジェンカを飛び立った輸送機群から精鋭の挺身降下部隊がハルビンへ強襲。


時を同じくして、地上軍快速部隊が路線上の敵を排除し、安全を確保した直後に、ウラジオストク駅からは「イェア型」を先頭とする長大な軍用列車が次々と発車する。広軌のレールを力強く掴み、黒煙を上げて満州平原を疾走する。貨車に積載されているのは、新設計の主力戦車と重武装の兵員輸送トラック群である。


東清鉄道(北満本線)を逆走するこの「列車群」は、退路を断たれたソヴィエト軍の背後に、最速で死の制裁を届ける「逆・電撃戦」の主役となる。北方軍の矛先は、もはやウラジオストクに留まらず、広大な満州の心臓部——そして「通遼」へと、鉄路を進む。

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