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待たせたな!  作者: 僧籍
第四部 北方防衛開放戦線

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112/115

ウラジオストク上陸戦 3-5 ウラジオストク上陸開始 1945年9月11日午前11時

ウラジオストク陥落


ソヴィエト軍の満洲・朝鮮侵攻において、ウラジオストクは単なる軍港ではなかった。沿海州一帯を統括する第1極東方面軍司令部が置かれ、満洲東部国境を突破するための全兵站が集中する、侵攻の心臓部であった。


ソヴィエト太平洋艦隊は、この巨大な基地を背に朝鮮半島北部の雄基、羅津、清津へ凄惨な上陸支援攻撃を敢行していた。海岸線に釘付けにされた日本軍守備隊と数万の避難民は、海からの砲火と共産軍の追撃という絶望的な包囲下に置かれていた。


その絶望を、水平線の彼方から現れた、『北方防衛開放軍』が打ち砕いた。


---


帰還艦隊航空隊の発艦


海を埋め尽くすのは、戦艦『大和』『陸奥』を中心とする《帰還艦隊》であった。その中核を成すのは、雲霞のごとき上陸艦隊と、七隻の正規空母——赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴、大鳳である。


各空母の飛行甲板から、次々と機体が吸い込まれるように発艦していく。

艦上攻撃機『流星改』、大重量の800キロ爆弾をその腹に抱え、北の空へと殺到した。その心臓部には、異なる世界の技術によって鍛え上げられた「金星七一型エンジン」が生み出す圧倒的な排気音を響かせ飛び立っていく。同じエンジンの大出力を背景に、『烈風改』および『零戦六十四型改』もまた、機体に二五番(250㎏)爆弾を懸架して大気を力強く掴んで上昇する。



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ボロシロフ急襲 司令部崩壊


爆装した戦闘機隊が前線のソヴィエト軍地上部隊を爆撃、機銃掃射で粉砕する中、流星改の主力編隊はウラジオストクから北上し、第1極東方面軍司令部が置かれたボロシロフ(現・ウスリースク)へと向かった。


「敵機襲来! 全員、地下壕へ!」


叫び声が司令部内に響き渡ったが、回避の時間は残されていなかった。高度数千メートルから投下された800キロ爆弾が、物理的な破壊の意志を伴って司令部施設を直撃した。

石造りの重厚な建物は、一瞬にして爆煙の中に消えた。通信機、作戦地図、そして数多の機密文書は瓦礫の下へと埋没した。司令官マキシム・プルカーエフ以下、幹部たちは辛うじて脱出に成功したが、軍の「脳髄」としての機能は完全に消失した。


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要塞の終焉 大和の艦砲射撃


「東方を支配せよ」という名を持つ都市ウラジオストクは、いまや大和と陸奥による、文字通りの火の海に沈んでいた。


大和の46センチ主砲から放たれる一撃一撃が、港湾施設を粉砕し、ソヴィエト軍が誇る要塞砲を沈黙させた。港内では、避難しようとする兵士と民間人が入り乱れ、逃げ惑う地獄絵図が展開されていた。


そこかしこで爆死した兵士の遺体が転がり、四肢を失った重症者が汚泥の中で泣き叫んでいる。消火活動を行う術はなく、炎は乾いた風に乗って市街地を舐め尽くした。前線部隊からは「艦砲射撃を受けている」「損害大、壊滅状態」「日本軍の上陸が始まった」という悲鳴のような報告が次々と届くが、それを受理すべき司令部はもはや存在しない。


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上陸艦隊の接近

1945年9月11日午前11時

空襲と艦砲射撃がウラジオストクの息の根を止める中、水平線からは第1号型輸送艦や第101号型輸送艦、そして高速輸送艦へと改装された北上を筆頭とする上陸艦隊が近づいていた。


雪風、初霜、響、冬月、涼月、そして《帰還艦隊》秋月型駆逐艦が、ソヴィエト軍の残存潜水艦を執拗に排除しながら道を切り拓く。


軍事機能が消失し、火の海となったウラジオストク。

そこに、大地に災厄をもたらした者たちに「制裁」という名の冷徹な審判を下すため『彼ら』は土を踏もうとしていた。

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