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勇者の後始末  作者: ルケア
1章
4/44

3話

OFUSE始めました。

https://ofuse.me/rukea


ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。

https://rukeanote.hatenablog.com/


さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。

https://twitter.com/rukeanote

「時間もあることですから、王宮の方々には先に本日の現地を見て貰おうかと考えているのですが、どうでしょうか? 王宮の方々も何分お忙しいと思われます。時間がある今の内に見て貰えるとこちらとしても助かるのですが、よろしいでしょうか?」


「そうだな。私だけでも良いのだが、後々書記官もみるのだ。案内を頼めるか?」


「かしこまりました。ペインモラン辺境伯の使いが来るまでの間、私めが案内をいたします」


 馬車を降りて貰い、アンカリアス―ペインモラン街道に立ってもらう。まあこれでも応急復旧は済ませているのだがな。まずは仮に通れるところを作らないといけない。


 とりあえずは馬車が通れるようにはしてある。あくまでも仮復旧だがな。馬車が通れるようにしなければ、ペインモラン辺境伯領との交易が無くなってしまうからな。


 当然ながら迂回する方法はある。あるが、早い方が良いに決まっているだろう? この交易路を通る馬車の数も多いことだしな。


 それに半分より多くの馬車が我が領の関係している場所なのだ。アンカリアス辺境伯領は大山脈を端にしているからな。そこから取れる石炭や鉄を運ぶのに使っているという訳だ。


「しかしながら、凄い激戦だったのだな。これで仮復旧が済んでいるのだから驚きだ。石畳が完全に捲り上がっているではないか。大穴も空いている。これが勇者か」


「さようでございます。当初はこの大穴も道の真ん中にもありまして。何とか周辺の土で埋め戻しただけに過ぎません。この度の査定で色々と便宜を計って貰う事にはなるかと思います」


「解っている。これだけの街道をこのままにしておくわけには行くまい。しかしだ。少々向こうの連中が遅すぎるのではないか?」


「そうですな。こちらとしてもこの時間には現地にいると書簡を出しておりますれば。勿論、辺境伯に宛てての文章ですので、嘘偽りなく書かせてもらった通りです」


 時間の指定は本当に正しく書いたぞ。嘘偽りなくな。この世界にも時計というものはあるんだ。何故か知らんが、前世と同じ24時間だったわけだが、偶然もあることだろう。


 現地に午前中の10時に査定を始めるとして文章を出している。当然ながら10時に査定を始めるのだから、9時30分には現地入りをしていなければならない。


 しかし、現在の時刻は11時15分になる。これは明らかな遅刻だ。勿論だが、工作は本当にしていない。工作をしていても、書簡を持ってこられていた場合はバレるからな。


 良い感じに現地も見終わり、さあ後は査定の時間だというのに、関係者が全員集まらないとなっては、始めるに始められない。さて、この落とし前はどうつけて貰おうか。


「ところで査定官殿。此度の国費の上限はどの位になる予定ですか?」


「うむ、遅刻しているのはペインモラン辺境伯の方だ。一緒に聞くものではあるのだが、致し方がない。国費は工事費の5割までだ。それ以上は自費でやって貰うことになる」


「5割ですか。国としても上限いっぱいまで頑張って貰ったという事ですね。解りました」


「流石に最辺境の街道だからな。ここが落ちれば、次は準備が不足しているであろう子爵領だ。そこまで行かれては被害も相当になる。辺境伯には悪いが、壁になって貰わねばならん」


 それは当然のことだ。辺境伯という地位と、広大な領土を預かっているのだから当然の義務と言えばその通りだ。が、それに国費が5割も投入されるという事は相当頑張って貰ったという事だろう。


 普通はどんなに頑張っても2割が良い所だ。今回の査定官は理解のある方で良かった。5割は国が出す基準で最も大きな額となっている。それ以外は出せないという上限いっぱいだ。


 魔王災であるという事も今回の大規模出資の要因だろうな。王国としても、魔王がこれ以上内部に入って来られては被害が洒落にならない。壁とはそういう意味だからな。


 被害は辺境伯領で留めろという事なんだ。当然の事ではあるんだが、辺境伯の中でも解っていない者がいるとは思わんかったな。ペインモラン辺境伯は解っていない人物という訳だ。


 当然だろう? 復旧は急務である。それなのに遅れてくるとは何事か。査定が終われば査定官たちは王都に帰るのだぞ? それを解っているのか?


 解っていれば、遅刻なんぞして来んという訳だ。隣の辺境伯の教育がどのレベルなのか知らんが、我が辺境伯領では首を物理的に切られてもおかしくはない事態だぞ。


「壁でございますか。それではここに関所を作らせていただいても構わないでしょうか? ここはペインモラン辺境伯領となっておりますが、我が領管理の関所を置かせていただきたい」


「ほう、関所か。どのような理由で置くのかに因るな。関所の管轄は私ではないが、時と場合に因ってはここに関所を設けるのに一筆添えても良いぞ」


「この街道で魔王災を死守するためにございます。流石に勇者を貼り付ける訳にはまいりませんが、兵士を駐屯させ、早馬の準備をさせたいと思っております。そうすれば、此度以上の速度で魔王災を解決出来る事でしょう。いかがでしょうか?」


「その理由であれば問題はない。関所を置くのに一筆書かせてもらう。ただし、関所を作る費用については国費は出せんぞ? それでよいな?」


「ありがとうございます」


 これでペインモラン辺境伯への牽制としては十分だろう。後は向こうのいい分にも因るのだが、大体はこちらの意見を通させてもらう。遅れてくるなんてとんでもない。


 時刻は11時30分。流石に遅刻が過ぎるぞ。何をやっているのか知らんが、これはもう勝ったな。これで負けは在り得ない。そして、ペインモラン辺境伯の使いがやってきたのは12時を回っていた。

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