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Parallel End-8

「あっ、監督生ちゃん来た!」


――ケイト先輩!


「記念に一枚撮影! #監督生 #最後の別れ #ハーツラビュル寮……いや、このツーショットは……アップするのはやめておこうかな。この一枚の写真は俺だけのもの……監督生ちゃん、久しぶり。そして、さようなら、だね」


「しんみりするな、ケイト」


「いたっ、背中を叩かないでよトレイくん」


「痛かったか? すまなかった……それにしても最後にタルトの一枚でも焼こうと思ったんだがな。時間が間に合わなかった。手ぶらで来てすまなかったな、監督生」


――そこまで気を使わなくても。


「いや、気を使わせてくれ。何度もウチの寮長をファントム化させずに、元の状態に戻したんだ。感謝してもしきれないよ」


「まるで僕が問題児であるかのような物云いだね、トレイ」


「げっ、寮長。まずいよ~、バッチリ聞かれてる……!」


「……だが、実際その通りなのだから云い返せない。七〇年繰り返さ巻き戻された時の中で、僕は何度オーバーブロットしたのか……! ファントム化していないのが、奇跡だ!」


「リドルくん……もしかして、反省……いや、改心してる?」


「これが改心せずしてどうするつもりなんだい、ケイト! 僕は何度も何度も、理事長の奸計とは云え、繰り返す一年で必ずと云っていいほど、オーバーブロットして殺人未遂まで引き起こした! 優等生にあるまじき行いだ!」


「優等生? リドルは母親とは反発しているんだろう。この前のテストは赤点ギリギリを狙って、大激怒させたじゃないか?」


「子供は親の欲求を満たす道具ではないからね。反発ぐらいするさ。遅れてやってきた反抗期と云うものだ……あぁ、ええと……監督生さん……」


――どうしたんです、改まって。


「コホン……僕が云えた義理ではないが、その……君がこの学園に来てくれて、本当に良かった。ハートの女王のルールに『監督生を祝う日』を入れて、良かったと思う」


――ハートの女王の規律は、学園を卒業した生徒たちが付け加えていったものですよね。


「そうだね。一見、つぎはぎだらけのパッチワークみたいだけど、ルールそのものはこれまでの卒業生たちが残した『思い出』の塊なんだ。僕はその想いを尊重して、ハーツラビュルの寮生にルールを敷いていたけど、その強引なやり方は当然反省すべきモノだ」


――厳格な精神に基づく寮……。


「だからと云うべきか、ひとつぐらい自由があっても良いだろう……息抜きの理由の下、八百以上の独自のルールが追加された。僕が守るべきルールは卒業生の思い出ではなく、皆の模範となるべき鑑であったのに、やり方を間違えてしまった」


――リドルさん……。


「監督生さん、君はこれまで繰り返す時間の中で何度も何度も一切くじけることなく、僕の凝り固まった間違いを訂正してくれた。正しい方向へ導いてくれた……本当にありがとう。改めてお礼を云うよ」


――いいえ、そんな。


「ハイ、そんな湿っぽい話は終わり! 俺は監督生ちゃんとツーショットを撮ったし、大満足かな!」


「ケイト、監督生さんと写真を撮ったと云うのかい? ずるい……監督生さん、今からでも僕のマジカメでツーショットを!」


「コラコラ、リドル。監督生は時間がおしているんだ。名残惜しいのも、一緒に写真を撮りたい気持ちも分かる。だが、ここでもたついていると、元の世界に戻れなくなるかもしれない。それは避けなくちゃいけないことだろう?」


「うぎぎ……ケイト、監督生さんとのツーショットを送ってくれ。ケイトの顔は加工技術で消して、待ち受け画面にする」


「そんなこと云われたらあげたくなくなっちゃうな~。それにこの写真は俺だけのモノなんだから、いくら寮長であるリドルくんでも譲れないよ」


――何だか賑やかしくなってきましたね。


「最後の別れだって云うのに、どうしてこうなるんだか。ああ……監督生、最後に握手を。リドルもケイトもホラ……うん、二人とも握手はしたな? 名残惜しいだろうが、メインストリートを真っ直ぐ進んでいけば、学園長が待っている」


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