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Parallel End-6

「アズール、監督生さんが来ましたよ」


「小エビちゃん、待ってたよ。おいアズール、なんで隠れてるんだよ。まさか、顔を合わせないつもりか?」


「ち――違う! 僕は泣き顔を見られたくないだけで……」


「それならば早く涙を引っ込めることを推奨します。監督生さんに残された時間は、少ない。日が沈むよりも早い。一刻の猶予もないのですから」


――アズールさん、泣いているんですか?


「昨晩から金庫のあるタコ部屋に引きこもってグズグズしてんの~。辛気臭いったらありゃしないよね。泣くのは今後、いつでもできるのに……」


――もしかして、フロイドさんも泣いてくれるんですか?


「ん~? それ、どういう意味かな。もしかして小エビちゃん、俺のこと血も涙もない奴だと思ってる?」


――マフィアの鉄砲玉、もしくはインテリヤクザ……ああ、失言です! 絞めないで!


「云うようになったじゃん、小エビちゃん。最初の頃はプルプル震えて可愛かったのに。まあこんだけ長い時間を過ごしたんだ、クソ度胸の一つや二つ付くよね」


「フロイド、そろそろ解放して差し上げなさい。痕がついてはいけないでしょう?」


「別によくない?」


「そうですか。まあ、よろしいでしょう。それにしても監督生さん、あなたとの思い出で一番印象深いのは、山の会でしたね。僕の見付けた山の宝物。地上の人間から見れば平凡な物だとしても、あなたは僕と一緒になって喜んでくれた。嬉しかったです」


――それは、異世界人である自分から見ても珍しい植物で……って云うか、絞められながら云うことですか! 感動的な場面なのに!


「キャンプ飯と云うのも非常に楽しいものでした。海底では決して見ることのできない、満点の星空の下、食事を楽しむ。食べているものは普段と変わりない……むしろ味気ないレトルト食品なのに、どうして野外で食べるとああも美味に感じるのか。情報を食う、と云うのはこう云うことなんだと理解しました」


――はあ! やっと、解放された……!


「山の会は結局、僕一人の会で人数のいないものでしたが、臨時的ながら参加してくださるあなたとの山の散策は楽しかったですよ」


「ジェイド~、アズールがマジで小エビちゃんと向き合わねえ。つうか、子守りなんか柄じゃないし放置してもいいよな?」


「そうですね。これがアズールの選択なら仕方のないことです。では監督生さん、御達者で」


――二人とも手を握ってくれますか?


「……そう云えば、小エビちゃんと握手をするのははじめてかな? 握手しよ。めっちゃ握手しよ~……「監督生さん!!」


――うわぁ、驚かせないでくださいアズールさん!


「いきなり横から割り込んできやがった。小エビちゃんと話をしたいなら、ちゃんと最初から向き合えよ」


「まあ、そう云わずに。アズールにはアズールのペースがあるんです」


「監督生さん、いつか会いに行きますから!」


――え?


「人魚は、海を……海底から水面へ、境界線を越えたものです! 通常なら不可能な海洋生物が地上を歩く奇跡を成功させたんです! ですから、たとえあなたが元の世界に帰ったとしても、僕はみんなを連れて必ず会いに行きますから!」


――はい……そうですね、アズールさん。いつかきっと会いましょう。また再会するために、その目印として握手をしておきましょう。


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