Episode:閑話2(組織変更と人事異動)
4人は北道にいた。
「こんな弐本になったけど、やっぱり、北道はでっかいどーっ」という神原に、コーヒーを飲みながら榊は「やっぱ、大地を踏みしめるってーのは、いいよなー成神よー、こないだの、真っ暗とか真っ白、真っ赤かだと調子狂うよなー」
「あぁ、そうだな、あの時、誰かが、戻ったら1号機でキャンプしたいって言ったんだよな、御神さんだっけ?」と成神は御神の顔を見た。
「いぇっ、私は言ってないかも」と、その時の成神に会いたいと願った自分を思い出しながら、恥ずかしそうに御神が答えた。
「そうよ、御神はなーんにも言わないんだから、そんなんじゃセラフィに成神を取られるわよ!」と意地悪く神原が御神につっかかった。
すると榊も「おおー、そうだぜぇー御神よー、わかってねーのはあいつダ・ケ・ダ・ゼ!」と告白を急かしている。
「なんでっ、わたしは、そんな・・」と御神が言いかけると、神原が成神に「あんた、セラフィに何やったのよ、言ってたわよセラフィが、”愛の告白を受けた” って!」と言うと、御神は大事そうに持っている ”望鏡” を地面に落としてしまった「いま、なんて?」と御神が神原に泣きそうな顔で問いかけた。
「違う違う!」と二人の会話に割って入り、成神は事実を話した。
「彼女らは、生命体でも、精神体でもない精霊体だったんだ、だから僕の ”テイム” がほとんど聞かなかったんだよ」
「でも、何度かかけているうちにね、少しづつだけど、テイム出来そうかなと思えてきてさ、そんな時セラフィから ”トドメだーぁ” みたいなこと言われちゃって、焦って、”金縛り” を連続でかけて、”オクタグラム・ドッペルゲンガー” を使って同時に8カ所から、最大力でテイムしたんだ、そしたらあんなになっちゃって」
「ちょっと、引っかかるとこ、たくさんあるけど、それをセラフィは ”愛の告白” って思ったんでしょう、誤解解いときなさいよ、ほんとに」と神原が御神の様子を伺いながら成神に話した。
「なんだ、成神、チート過ぎるだろ、みんなのスキル使えるのか、コマンダー液なしで」と榊がいうと、成神は「 ”スキルスキャンビーコン” を使うとそうなるみたいだ」とさらっと答えた。
相変わらず、御神は動揺している。
「しっかし、神原よー、なんで8回なんだ、中途半端過ぎねーか、その”オクトパス・ドッペルンガー”ってーのは、はえーとこイカぐらいの10回ぐれーに出来ねーのか」と榊が何の気なしに問いかけた。
「しっつれいねー、タコじゃないんだからね、あーんただって、ただ ”ご・う・せ・い”って何?単純な言葉しか言えない脳筋のあんたに打ってつけじゃない ”合成”って」と神原も負けじと言い返した。
「ちっとひどすきねーか、成神、これはよー」と榊が訴えると、成神はいきなり「うっわっはっはっー」と普段の成神らしからぬ笑いに、どうしたと言う表情で神原と榊は成神をみている。
成神はしみじみ、「最初は、みんなこんな感じで楽しかったよね、それが、重大な使命を負って、なんだか雁字搦めになって・・こうやって初心に戻るも、ありだよね。ありがとう御神さん、これ、提案してくれて」
という成神に榊は「それ、俺だっ」と言いかける榊を神原が制して、榊に耳元で「結構、脈ありなんじゃない」とニヤリと笑い、「ちぇっ、勝手にいい思い出にしやがって」と舌打ちをする二人だったが、依然、御神は落ち込んでいた。
そして神原と榊は「ちょっくら買い出しに行ってくる」と出かけて行き、成神と御神に二人っきりの時間を作った。
しばらく沈黙が続く二人だったが、意を決して御神は自分の思いを成神に告げた。
「成神さん、私、あなたが好きです」と言うと成神の答えは意外にも「知っているよ」だった。
御神は成神に「どうして」と尋ねると、成神は「 ”スキルスキャンビーコン” を使うとわかるんだ」と種明かしをした。
「そっそんな」という御神に対して、成神は「御神さん、僕に”弱点看破”を使ってみてよ」とまた予期しない依頼をした。
言われた通りに御神が成神に”弱点看破”を使ってみると、 ”弱点は見当たらない、ただし、思いを寄せる御神の存在が弱点になろう”という結果を見て「うん、わかった」という御神の瞳に涙が溢れ出た。
そんな御神に成神は「まだまだ、やることは沢山あるんだ、いつも一緒にいるんだから、二人のことは落ち着てからだよ」と言う言葉に、自分の思いが伝わっていたことて、御神は声を上げて泣いた。
二人が落ち着きを見せたころ、榊と神原は戻ってきた。
いきなり神原は御神に、榊は成神に「何かなかったか?」と尋ねたが、以外にも二人の答えは「別に!」だったことに二人は落胆した。
成神はおもむろに「前回のミッション、つまりは試練に行く前に、僕たちはそれぞれ意思を引き継ぐものに託した訳なんだけど、戻ったからって終わりにしたくないと思っている。」
「博士と康美がいない中、博士の代わりの笹川さんが仕切れるまでは、僕たちはあらゆるサポートに、つまりは黒子に徹する方がいいと思うんだ。地球はもう、助けてきた異星の仲間たちの物でもあるし、人間が一番という世界には、したくもないからね」
「でも、私の引き継いだタルトさんとQクロウさんは、行っちゃったので、私は成神さんと行動を共にしますね」と言ったときの赤い顔をした御神を、榊と神原は見逃さず二人は「そうね、それがいいわ。おおーそうだな」という答えで応援した。
「それじゃ、今までの作業の担当を無しにって言うんだったらよー、やっぱり俺は、防衛力、つーか戦力の発展に力を注ぐぜー、まだまだ、未知の力がありそうだからな、それから参謀役を育てるってーことで、センタとミディムを連れてくぜ、いいだろう?」と榊はみんなの了承を取り付けた。
「なら、私は榊の後を継ぐわ、テラホーミングとかオートニアースのことで資源管理はほっとけないし、榊には管理はどうせ無理だったんだし、人を使うもの私の方が適任だしね」と神原が言うと、榊からのいちゃもんはあったが、みんなは合意した。
「僕はこの間のミッションで、神具 という情報に触れたんだ、だから御神さんとセラフィとでその辺を探ってみるよ」という成神の横で、神原は御神に「ちょっと、アンタそれ大丈夫なの?」と心配の声をかけると、以外にも御神の返事は「平気ですよ」と元気だった。
「それじゃよー、この旅の成果として、組織図を作って帰ろうじゃねーか」という榊の提案に、全員が ”めずらしく、いいこと言う”と、言いながら作業を始めた。
「まずは、社長はよー、ネ甲念博士だろう、副社長は・・・」という榊に神原は「あんた馬鹿なの?うちらは会社じゃないのよ、秘密の組織なのよ、わかっているの」と楽しそうにからかった。
4人の楽しい組織編成は夜を徹して行われたが、決して笑いが絶えることはなかった。




