それをきいたみんなはいいこになるようにがんばります
「ねえ、ネーヴェ。あの剣はもう白くなってきてるかな」
ジェーロはネーヴェに尋ねました。ジェーロは人間の街に行けないので、剣のことはネーヴェに聞くしかできないのです。自分で剣を見れないのは少し残念だけれど、ネーヴェが教えてくれるのでジェーロは何も困りませんでした。
「そうね、この前見た時にはもうまっ黒ではなかったわ。少しずつ白くなっているみたい」
ネーヴェはほんとうは嘘を言いたかったのです。白くなんてなってないと、だから諦めようと言いたかったのです。でもそうしたらジェーロが哀しむのをネーヴェはよくわかっていました。だから嘘をつけませんでした。ネーヴェはどうしたって哀しい顔したジェーロを見たくなかったのです。それが自分の痛みであってもジェーロの幸いは壊せなかったのです。
「そっか。それはうれしいな。きっとこのまま戦争もなくなってくれるよね」
どう終わらせればいいのか誰もわからなかった戦争は、悪魔という口実であっさりと終わりを迎えました。悪魔の被害を広げないためと、誰もが戦争の終わりを願ったのです。奪わずとも恐れずともいいのだと、人間は今ここにある幸福に気がついたのです。
「ええ、少しずつ減っているみたい」
人間は悪魔のために手を取り合いました。にせものの悪魔はほんとうの敵になりました。にせものの天使が言うとおりに、みんなはいいことを続けていきます。そのすべてをジェーロが考えたことはネーヴェしか知りません。人間は誰も知りません。
「よかった。だって誰かが死ぬのは嫌だもんね」
ジェーロは優しく笑ってそう言いました。けれどそんなこと言うジェーロなのに、自分が死ぬのは気にしないのです。
「そうね、とても哀しいわ」
この先の未来を言祝ぎました。
この先の未来を呪いました。




