無邪気なチビっ熊レッドと、絶望のアリス
【2日後】
ティファ達は今、ブレイブハートの拠点に来ている。そんな中、何も知らない1人だけテンションが爆上がり中だ!
「おぉ!かえってきた!クマピンクにざんねんおっぱい、いるかなぁ?」
この単語は、今いる中ではステラ以外わからない。そんなツッコミ満載のルナにラルフ問う。
「何だ、そのクマピンクにざんねんおっぱいってのは?」
「ふふふっ!これだ!」
そういうと、ルナは得意げにアギトに買ってもらった戦隊もののお面を被ってジャンプし、決めポーズをとる!
「とぅ!」
【シュタッ】
「ちびっくまレッド、おかんじょう!」
「お勘定?」
「…………違う。参上と言いたいだけ」
「いやお前、ルナの言いたい事わかるのか?」
「…………ルナは馬鹿で単純だからすぐわかる」
「なに?ステラ、いまルナのことをバカにしたな!ゆるさないぞ!」
「……………かかって来なさいよ!弱っ熊!」
「なっ!いったな!かくほしろ!」
「…………はいはい、覚悟しろね」
「…………ステラ、お前スゲーな!」
「いくぞ!とぅぉぉぉ!」
ルナは、自分をバカにしたステラへと攻撃を仕掛けるが、ステラに返り討ちにあう。
「…………フンッ」
【ゴンッ】
【バタンッ】
「ぐへっ」
「………口ほどにもないわね」
「……………一撃かよ」
そんな事をしていると、ティファ達の後ろからクエストを終えたガイとメイが現れる。
「何、そんな所で寝てるんだチビ助?風邪ひくぞ?」
「おっ!そのこえはクマピンクだな!ちょうどいい、そこのあくのてした、ステラおにをたおせ!」
「……………誰が鬼よ」
「あら?ルナちゃんじゃない、どうしたの?」
「げっ!でたな、ざんねんおっ…………」
【ドッーン】
「ぐへっ」
またもや、前回と同じでルナが言い切る前にメイのファイアーボールがルナに直撃する
「学習しねーやつだな、お前はよ………」
「ルナちゃん?今、皆さんの前で何か言おうとした?」
「べつになにも………」
「そう。なら、よし!」
この始めて見るやり取りをラルフがツッコミをいれる。
「容赦ねーな、あの魔法使いの女の子…………こえーんだけど」
「…………いつものこと」
「いつもこんなやり取りしてるのかお前達…………」
「…………ルナが居る時は大体いつもこんな感じ」
「あ、そ、そう…………」
「んことよりよぉ、おっちゃん達誰だ?何で、ルナ達と一緒に居るんだ?それに、アギトの兄ちゃんの姿がみえねーけど、どした?」
「……………」
ガイのアギトと言う単語を聞いたティファ達は黙り込む。
「アギトはいま、おつかいちゅうだ!わかったか!」
「おつかい中?何処に?」
「そ、それは………。どこだ?」
「んだ?知らねーのかよ!」
「うーん、しらない!」
「その事で少しお話があります。どなたか、此処の責任者の方はいますか?」
ここで、ようやくティファが口を開いた。
「責任者かぁ………アリスさん居るかな?俺達も、今帰ってきたばかりだしよ」
「アリスさん?」
「あぁ、この国の第三王女のアリスさんだ。その人が兄ちゃんの代わりにこの拠点を切り盛りしているんだよ!」
「何ですって!」
「何だ、ねーちゃんアリスさんの事知ってんのか?」
「知ってるも何も、あいつはアギトに最低な事をしたから、今後一切関わるなと忠告したのよ!」
「忠告?ねーちゃん、一体何者なんだ?」
「あ、そうね。自己紹介がまだでしたね。私は、アギトの婚約者で剣聖エリスの妹のティファです。」
「婚約者!?嘘だろ?」
「何、本気にしてるのよお兄ちゃん!アギトさんそんな事一言も言ってなかったわよ!」
「なーんだ!嘘かよ、焦ったぜ!」
「う、嘘じゃないわよ!本当なんだから!」
「はいはい、もういいでしょ!次は私ですね。初めまして皆様。私はクラン天使の宴のサブリーダ、戦乙女のユイです。よろしくお願いいたします」
「そして、俺は拳聖ラルフだ!ユイも俺もSランク冒険者だ!よろしくな、坊主!」
「ふふふふっ!そして、ルナがちびっくまレッドだ!わかったか!クマピンク!」
「いや、オメーの事はよく知ってるよ!バカ親分!」
「なんてことをいうんだ、クマピンク!なかすぞ!」
「泣かしてみろよ、雑魚親分よ!」
「むむむっ」
「はいはい、そこまでよルナちゃん!今度は私達ね!私の名前はメイ、一応見習い魔法使いやってます。つい先ほどCランクになりました!」
「そんで、俺が…………」
「クマピンク!ルナのこぶんだ!」
「うるせー、ちゃんと自己紹介させろ、アホ!」
「ちっ!」
「リアルに舌打ちをするな、舌打ちを!」
「わかったからはやくしろ!クマピンク」
「くそー!随分上からだな!んじゃ、気を取り直して俺の名前はガイ見習い剣士やってる。ちなみにメイは俺の妹だ!そして、俺もさっきCランク冒険者になった!よろしく!」
「ちなみに、そこのメイっていうのが、ざんねんおっぱい2号だ!わかったか!」
【ドッーン】
「はーい、ルナちゃんは向こうでお姉ちゃんと遊ぼうね!」
「いやだぁぁぁぁ!いきたくない!たすけてくれ、クマピンク!」
「知らん!」
「あぁぁぁ………アギトたすけてくれー!」
ルナはメイに引きずられ何処かに行ってしまった。
「……………」
「さて、バカはほおっておいて、アリスさんの所に行くか?」
「えぇ!言いたい事が山ほどあるからね…………」
「頼むから、アリスさんとの揉め事はしないでくれよ…………」
「あいつ次第ね」
「トホホ………勘弁してよ」
そして、屋敷へとやってきたガイ達。ガイが、恐る恐るドアを開けてアリスを呼ぶ。
「ただいま、アリスさん居るか?(頼むから居ないでくれよ)」
「あら、ガイじゃない?お帰り、早かったわねっ!」
(居るんかよー!)
「こんにちは、久しぶりねアリス第三王女様」
「………………」
「何で、あんたがここに居るのよって顔してるわね?」
「あら?そう?だとしたら、そのついてる目をドブで洗った方がいいんじゃない?」
「あなたこそ、アギトに治してもらったと言うその顔、治ってないんじゃないかしら?鏡見たら?酷い顔よ?」
「あなたこそ、鏡見たら?歳の割には、胸が垂れ下がっているんじゃない?アギトも良くこんな女とつるんでいるわね。見る目がないにも程があるわっ」
「言わせておけば、あんたねぇ…………」
「なによ?本当の事じゃない?」
「あわわわわっ」
「ティファ、その辺にしておけ!俺達はアギトについて話をしに来たんだろ?喧嘩をしに来たわけじゃない」
「ちっ!」
ここで、ラルフを皮切りに一同は自己紹介を始めた。そして、核心に迫る話を始める。
「ブレイヴハートのメンバーは、これで全てなのですか?」
部屋の中を見渡したユイがそんな事を言った。
「違うわよ!後4人居るわ!多分、村作りの手伝いしてると思うけど」
「……私が呼んでくる。そして、ルナは私が引き留めておく」
「お願いね、ステラ!その間、私達はこのクソ王女と話を進めているわ!終わったら呼びに行くから」
「……うん」
そう言うと、ステラは残りのメンバーのメイとグレイヴ、レーナ、ハツネを探しに行った。
【10分後】
ステラから事情を聞いた残りのメンバーは、次々に屋敷へと向かった。そして、皆が集まった所でティファが話を始める。
「まず、皆さんはジャッジメントというクランはご存知ですか?」
「……話は聞いた事はある」
「ライザ近郊で、診療所的な事をやっているクランですよね?」
この国に亡命をしたグレイヴや、最近冒険者となったハツネは噂程度の知識しかなかったため、ティファがジャッジメントについて説明をした。レーナは、各地を旅していたのでもちろんその存在を知っていた。
「……なるほど、そこまでのクランか。凄いなっ」
「で、クランがどうしたんですか?」
ティファ達に緊張が走る。なんせ、シエナが禁忌の魔法を会得して、それを使いアギトを奴隷にしたと言わなければならないからだ。
「実は、ジャッジメントのリーダーである、賢者のシエナが禁忌の魔法を使って、アギトを奴隷にしたわ」
「「「!!!」」」
その一言で、部屋の空気が凍りつく。真っ先に口を開いたのはもちろんアリスだ。
【ドンッ】
テーブルを、叩き興奮した様子のアリス。
「ちょっと、どういうことよ!説明しなさい!」
「だから、これからちゃんと説明するわよ!」
「事によっては、どうなるかわかっているんでしょうね!」
「お、落ち着けってアリスさん!」
「こんな話を聞いてどう落ち着けっていうのよ!」
「…………何があった?なぜ、アギトは奴隷になどならなければならなかった?」
「落ち着いて聞いてください実は…………」
ティファはこれまでの流れを全て話した。何一つ誤魔化すことなく淡々と。
【ガンッ】
「な、何でよ………。何であなた達がいながら…………どうしてよ!意味が分からないわよ………う…………うぅ………ううぅ」
アリスは、ティファの話を聞いて大粒の涙を流しながらその場に崩れ落ちてしまう。
「………信じてたのに…………あなた達なら………あの双子をちゃんと守ってくれるって思っていたのに…………どうしてよ」
「…………ごめんなさい」
「謝らないでよ!あんた達がいくら謝ったって、アギトは帰って来ないんだから………うぅ…………うぅぅ…………」
「アリスさん、場所を変えて少し落ち着きましょう…………」
メイは崩れ落ちるアリスに手を貸しリビングを出て行く。残ったメンバーも何も言えずただ立ちすくむしかなかった。そして、ガイが
「んじゃ、知らないのはルナだけなんだな?」
「…………はい」
「ぜってぇに言えねーな、こんな事…………」
「取り乱して何するかわからないものね…………」
「なぁ、ハツネさんの巫女の力でどうにか出来ないのか?」
「私の力は、あくまで回復、身体強化だから奴隷の解除とかは難しいかも…………」
「そっか…………」
「それで、今後の事なんだけど…………」
ティファが、ブレイブハートのメンバーに対して問いかけるが、ガイが声を荒げて言う
「今後の事なんてわかるわけねーだろが!!!」
【【ビクッ】】
ユイ以外の女性メンバーは、突然のガイの返しで体がビクついた
「わりぃ、ちと頭冷やしてくる…………」
「…………すまん、俺も突然の事で頭が回らない。少し外の空気をすってくる」
グレイヴもガイに続き、リビングから出て行ってしまう。
「……………」
「これから。どうなっちゃうの私達…………」
レーナの発言は、部屋に残る者の心に深く突き刺さるのであった。




