ねぇ、アギトはどこ?
【話の舞台はティファ達へと戻る】
シエナ達が去って一時間。まだ誰もその場から動けずにいた。そして、遂にルナが目を覚ます。
「…………う…………うぅ…………うーん」
「…………ルナ!」
ステラはすぐに両手でルナの右手を握りしめた。
「…………ん?ス………ステラ?」
「…………そうよ!私よ、わかる?」
「…………よ、よかった………ぶじだったんだね」
「…………えぇ。あなたのおかげよ!ルナ!」
ステラは大粒の涙を流しルナにお礼を言った。
「えへへへへっ。よかった」
「…………大丈夫?どこか痛いところある?」
「…………うんうんないよ」
「…………そう。なら良かった」
「…………ルナね…………ゆめをみたの」
「…………どんな夢?」
「んとね、ルナとステラとアギト、それとひげと…………それからいっぱいのおともだちとゆうえんちにいくゆめ」
「「「!!!」」」
「でね、ルナがまいごになったら、アギトがむかえにきてくれたの…………やさしくあたまをなでて、『いなくなるなよ!』ってルナをしかるの」
「……………そう」
横たわるルナは辺りを見渡す。視界に入ったのは、ステラ、ユイ、ティファ、エリス、それから初めて見たラルフだった。
「…………ねぇ、アギトはどこ?まいごになっちゃったから、ごめんなさいしないと」
「………………」
「…………ステラ、どうしたの?アギトはどこ?」
「…………アギトはね…………」
すると、ラルフが口を開く。
「あいつは、ちょっと用事が出来て出かけちまった」
「…………おじさんだれ?」
「俺か?俺はラルフって言うんだ!エリスの古いダチさっ!」
「………おっぱいけんしのおともだちか!」
「ふはははっ!そうだ!この、おっぱい剣士のお友達だ!」
「ちょ、ちょっとラルフ?」
「何だ?俺は別に間違った事は言ってねーぞ?」
「そ、そうだけど…………」
「…………ねぇ、アギトはすぐにかえってくる?」
ルナの問いに誰もが目を逸らし、言葉に詰まる中、爪が肉に食い込むほど拳を握りしめていたティファがルナに歩み寄る。
「…………すぐに帰ってくるわよ!だから、ルナちゃんはなーんにも気にせず待ってるといいわ!」
「わかった!はやくかえってこないかなぁ!」
何も知らないルナは無邪気に笑いながら足をバタバタさせている。
「あっ!そうだ!夕飯の買い物に行かないと!私としたことが忘れてたわ!ラルフ、荷物持ちで付き合って!」
「何で俺が!?オメー1人で行けよ!」
【ドンッ】
ラルフの足をおもいっきり踏むエリス。
「つっ!」
「行くって言ったら行くのよ!」
「あ、あぁ。ったく、しょうがねーな!わーったよ!行きゃいいんだろ!チッ…………」
「あはははっ!おじさん、おこられてやんの!」
「誰がおじさんだ!お兄さんだ!アギトと歳だってそんなにかわんねーよ…………たぶん」
「さっ、とっとと行くわよ!わかった?」
「わかったか!」
「何で、チビ助まで言うんだよ!」
「早くしなさい!馬鹿ラルフ!」
「いててててっ!耳を引っ張るな!みみを…………」
エリスは強引に部屋からラルフを連れ出した。そして2人は拠点の庭へと来てエリスがラルフに問う。
「そう言えば、あなたはどうしてここに来たの?」
「あっ!そうだった、すっかり忘れてた!」
「もう、しっかりしてよね!」
「うっせーよ!クソが!」
「ほんと、あなたのそーいう所嫌い!」
「今に始まったことじゃねーだろが!」
「はぁ、初めて会った時はそんなんじゃなかったのにねぇ」
「人は変わるんだよ!」
「はいはい、そうでか!で、何しに来たの?」
「あぁ、実はな最近よく変な魔物を見るんだよ!今まで見たことない魔物をな………。まぁどうってことなかったがな」
「あなたも戦ったの?」
「あなたも?って事は、お前も戦ったのか?」
「えぇ。少し前にティファのAランク昇格クエストで異様な魔物と戦ったわ!私達の場合は、ドラゴンだったけど。攻撃しても、直ぐに傷が回復しちゃうから厄介だったのよ!」
「げっ!マジかよ!よく生きてたなぁ………」
「まぁ、こっちは最強の布陣で挑んだからね!ユイも居たしネロも居たから撃退できたようなものよ」
「あの、マッチョ女も居たのか…………。そりゃ勝てるわな!」
「今の発言、ユイに聞かれたらあなた殺されるわよ?」
「おっとあぶねー。危うく命を粗末にするところだったぜ。あいつ、キレたら容赦ねーからな!」
「それはわかる気がする…………。本気でキレたユイは、私でも勝てるかどうか…………」
「お前がそこまで言うとわな…………」
「本当の事よ。だから、ユイだけは怒らせないでよね!私でも止められる自信ないんだから」
「き、気をつけます…………」
「私達は、一応王様には報告したけど、あなた達は?」
「勿論したさ!ただ事じゃねーからな…………」
「まっ、お互い気を付ける事ね」
「そうだなっ!」
「こんな事になるなら、アギトの能力で調べてもらうんだったわ…………」
「能力?あいつの固有スキルか?」
「えぇ。アギトの固有スキルは、対象を調べてその情報を得ることが出来るのよ!」
「情報を得る?」
「簡単な話しが、アギトの固有スキルであなたの個人情報がわかるって事!」
「なんだそりゃ…………」
「対象が何なのか、弱点は何なのかとか、色々よ」
「そ、そっか…………」
「いまいち分かってないようね。アギトの能力で、その魔物を調べたら色々分かるのよ!」
「あーなるほど!そーいう事か!」
「はぁ、ほんと馬鹿ねあんたは!」
「うっせー!」
「それで、これからあなたはどうするの?」
「そうだな………一応、お前には忠告できたから用事は済んだが」
「相変わらず、クランには所属してないの?」
「あぁ。俺はそーいうのは嫌いでね!」
「あなたさえ良かったら、私達のクランに来ない?」
「あのマッチョ女が許さねーだろ…………」
「私が説得するわ!」
「いい!そーいうのはお断り!後々、めんどくさいことになるから。今まで通り、1人でフラフラするわ!それのが俺の性に合ってる!」
「そう、残念ね」
「まぁ、何かあったら力になってやるから、今はそれで許せ」
「絶対よ!」
「おう」
「んじゃ、みんなの所に戻りましょうか。今後の事も話し合わないといけないしね」
「あぁ」
エリス屋敷へと戻り、今後どうするかを皆で考えようとしていた。リビングで何やら話し声が聞こえるのでそちらへ向かうエリスとラルフ。
「ただいま」
「あ、お姉ちゃんおかえり!丁度良かった、今みんなで今後について話をしてたの?」
部屋には、ステラとルナ以外のメンバーが揃っていた。聞く話しによると、あの後ルナは疲れてまた眠ってしまったらしく、ステラはルナの側にいるという事だ。
「そう。丁度良かった、私もその事についてみんなの意見を聞こうと思っていたところよ。で、話はまとまっているの?」
「うん、一度ステラちゃんとルナちゃんを連れてブレイブハートの拠点に戻ろうって事になったの。残っている人たちにも事情を説明しないとならないしね」
「そうね、それがいいかもね!で、いつにするの?」
「ルナちゃんの体調も考えて、明後日にしようかと。もちろん、転移水晶での移動で!」
「わかったわ!行くメンバーは決まっているの?」
「うん、私と、ユイさんとステラちゃんとルナちゃんの4人で行くわ!お姉ちゃんは、ここに残って!またいつあいつが来るかわからないしね」
「わかったわ!お願いね!」
「俺も行ってもいいか?」
「え?ラルフさんも来てくれるの?来てくれるなら、是非お願いします!」
「おう!俺も、ちと興味あるしな!あいつのクランに」
こうして二日後にティファ達は、アギトの拠点に向かうのであった。




