その炎、天をも貫く。その速さ、光よりも速く。
【そして、運命の日が訪れる】
シエナは、ジャッジメントの中央にある処刑台の上に立っている。その前方に集まった人々約700人。その中には、グレイヴ達ブレイブハートのメンバーや、ティファをはじめとする天使の宴のメンバーもいる。もちろん、ラルフもだ。
そして、シエナの演説が始まる。
「本日はお集まりいただき誠にありがとうございます」
「発表っていったいなんだ…………」
「知らねーよ。何かあったのか?」
「何かあったから発表なんだろ」
「まぁ、そりゃそうか」
集まった人々はそれぞれが、今か今かと待っている。
「それでは、今日集まってもらったのは他でもありません、私達ジャッジメントが遂に、勇者とよばれる人物を確保いたしました。」
「勇者?」
「勇者って魔王を唯一倒せる存在だろ?それを確保ってどー言う事だ?」
「ジャッジメントも魔王討伐に手を貸すって事じゃね?」
「お静かに!皆さんが、戸惑う気持ちもわかります。なぜ、私達が勇者様を確保したかと言うと、魔王と呼ばれる存在は私達にとって脅威の存在です。今まで、何人もの勇者が現れましたが、魔王を倒せた勇者は存在いたしません。
それはなぜか?
そうです、魔王たちが強すぎるのです。最近では、魔王にすらたどり着けず、その部下である四天王にやられるという、なんとも情けない勇者も存在したと聞いています。五大聖人も勇者パーティに参加して戦ったと聞いております。しかし、五大聖人が集まっても魔王を倒せた試しはありません。
きっと今回もそうなのでしょう…………」
すると、集まった人々の一部がシエナに問う。
「だとしたら、どうだって言うんだ?」
「今、いい質問がとんできました。皆さんは、どうすれば魔王の手から逃れることが出来ると思いますか?そこの方、わかりますか?」
シエナは、一番前で聞いていた女性に問いかける。
「それは…………魔王を倒せばよいかと…………」
「半分正解です。では、残りの半分は何か…………?それは、勇者がこの世界から消滅する事です。そうすれば、魔王は再び眠りにつき、次の勇者が現れるまで復活しません。
同時に、勇者が現れれば魔王は再び目覚めます。今回も、勇者が現れたことにより、この世界のどこかで魔王は長い眠りから覚めたはずです」
「おいおい、マジかよ…………」
「俺達は魔王たちに殺されるのか?」
「嫌よ、私この前結婚したばかりなのに…………」
「ですが、皆さまご安心ください!私達は、決してあなた達を見捨てたりは致しません!」
「どうするっていうんだよ!」
「今までの勇者だって倒せなかったんだろ?お前達は、魔法が使えるから自衛が出来るからいいが、俺達はただの農民だ!自分達を守るすべなんてないんだぞ!」
「そうだ、そうだ!」
「ですから、先程も言いましたが私達は決してあなた達を見捨てません!私にも考えはあります!どうすれば、皆さまを救えるか…………」
「もったいぶらないで早く言えー!」
「そうよ、早く教えなさいよ!」
「皆さんは、魔王を倒さないと自分達が助からないと強く思い過ぎなのです!先ほど私は言いました、勇者の存在がこの世界から消滅すれば魔王も眠りにつくと…………」
「それがどうした!?」
「勇者は、お前達が守っているんだろ?なら、魔王が攻めてくるのも時間の問題じゃないか!」
「おい、ちょっと待てよ…………」
「何だよ!」
「勇者の存在が消滅すれば魔王は眠るんだったよな…………」
「あぁ、そうらしいぜ!それがどうした?」
「まさか、シエナ様は…………勇者を殺す気か?」
「はぁ?んわけあるか!勇者は魔王を倒せるんだぞ!それをわざわざ殺すなんて…………」
「だが、今までどの勇者も倒せなかった…………しかし、ここしばらく魔王軍の被害をうけたって聞いていない。ってことはだ、はなから魔王討伐は諦めて、今までみたく勇者が死んで、魔王が眠りにつく…………それをやるのか…………」
「どうやら、私の考えを理解してくれた人が居るみたいですね♪そうです、魔王がこの国に現れたら、即刻我々がこの手で勇者を殺します♪そうすれば、魔王は眠りにつき皆様もいままで通り普通の生活がおくれます」
「「「うおぉぉぉぉぉぉぉ」」」
「いいぞ!」
「よくやった!ジャッジメント!」
「シエナ様最高!」
シエナの言葉に村人たちは、大きな歓声をあげる。
「皆様、ありがとうございます。ですが、一部の方は勇者が逃げだしたらどうする?などお考えでしょう、ですがその辺も我々ジャッジメントに抜かりはございません!その証拠を今からお見せします!さぁ、連れてきなさい」
すると舞台の上にアギトが現れる。首輪には鎖がつながれており、誰が見ても奴隷と言わざる得ない格好だ。
「さぁ、ポチ始めるわよ♪」
そう言うと、部下たちは強引にアギトを地面に押し付ける。
「これから、私は『どうして勇者が逃げないか?』と言う疑問にお答えします。過激な内容も含まれるため、ご覧になりたくない方はこの場で退場していただくことをお勧めします。」
しかし、シエナの気づかいに誰も反応する者は居なかった。皆が、『何が始まる?』と期待に胸を膨らませていた。
「それでは、始めていきましょう!皆さま、瞬きせずご覧ください☆」
【パチンッ】
シエナが指を鳴らすと、何処からともなく現れた鎖はいつものようにアギトの両手と首を絞めつける。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
アギトの悲鳴が敷地内にこだまする。何が起こっているのか理解できない者ばかりだ。そんな者達に、シエナは説明を始める。
「ただいまご覧いただいてるのは、私が禁忌の魔法で勇者を奴隷にして、罰を与えた行為によるものです。今、勇者は両手と首の鎖が締め付けている状態です。それと同時に、彼の体には恐ろしいくらいの電流が流れている痛みを伴っております。ですから、ご覧の通り身動きが取れません。」
【ヒール】
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
「しかし、痛みがあるだけで直接傷ついているわけではないので死ぬことはありません。これは、私の命令を聞かなかった場合や、逃げようとした時に自動で発動いたします。ですので、勇者は逃げることはおろか、私に逆らう事さえできないのです」
「「「うおぉぉぉぉぉ」」」
「すげーぞ!シエナ様!」
「いいぞ!よくやった!」
「これで、俺達の生活は安泰だ!」
「それとさらに、勇者が完全に私に屈服したところをお見せいたします」
すると、シエナは靴を靴下を脱ぎ右足をアギトの顔の前に差し出す。
「さぁ、お舐めポチ!」
アギトは、自らの手でシエナの足を取り舐めはじめる。
「ご覧ください♪この勇者は、抵抗もせずに私の足を舐めております!これは、私に対しての服従の合図です。プライドも勇者としての尊厳も、たった今この場でなくなりました!」
【パチ、パチ、パチ、パチ】
一斉に、会場から拍手が鳴り響く。
「最後に、この国に居る皆様の頭の中に映像を流します。今から見せる映像は、私が勇者を奴隷にしてから一週間の映像です。毎日、どのようにして勇者の心を折ったのかご覧ください。それと、性欲丸出しの猿に落ちるまでの映像です。ではどうぞ」
【パチンッ】
再びシエナが指を鳴らすと、ジャッジメントのメンバーの固有スキル、共鳴により人々の頭の中にアギトがシエナにされてきた仕打ちが流れる。すると、会場がざわつく。
「うわっ!何だ!?」
「あぶねっ!」
「きゃっ!ちょ、ちょっと何するのよ!」
突如、群衆の中の二か所が混乱する。一つ目の場所からは、鬼の形相をした1人の幼き少女が泣きながら物凄いスピードでシエナ達にむかって走り出している。もう一つの場所からは、天にも昇る勢いの炎が立ち込めていた。




