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【第2部】勇者に転生したがスキル【調べる】しか使えず、全然強くないけど、頼れる仲間と魔王を倒します!~シエナの野望の章~  作者: 雨のち晴れ
ルナが出会った盲目の女性と黒鬼編~ルナ&ユイ視点~

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『しゅぎょうなんか、ぜったいにしないぞ!』 其の3

結局その日ルナは、月音に貰ったお金でジュースを買いに行き、月音に会うのが恥ずかしくなり、屋敷へと帰って行った。そして次の日、今日もまた修行をサボって街へと繰り出したルナ。街の中を探検しつつ、昨日月音と別れた広場へとやって来た。そこには、フルートを演奏している月音の姿があった。


立ち止まって聞いている人はまばらで、決して多くは無い。だが、通り過ぎる人々はフルートのケースの中にお金をカンパしていく。その様子が不思議でルナは食い入るように見ていた。『あの人たちは何でお金を入れていくのか?』と不思議でしょうがないルナ。そして、月音が休憩を始めたタイミングで近寄るルナ。


「おい、つきね!なんでみんなして、このなかにおかねをいれていくんだ?」


ルナは結局、恥ずかしさのあまり『月音ちゃん』とは言えなかった。それでも、『お前』じゃなくちゃんと『月音』と呼ぶことは忘れていなかった。


「あら?その声はもしかして、小さな熊さんのルナちゃんね?」


「ちいさなくまはよけいだ!ルナはルナだ!わかったか!」


「わかりませーん!ルナちゃんは、小さな熊さんだよ!」


「むむむぅ…………」


完全に会話のペースを月音に握られているルナ。いつもなら、自分のペースに持ち込めるのだが、月音相手だとどうにも調子が出ない。


「それで、このお金の事ね?これはね、いわゆるお駄賃ってやつかしら?」


「おだちん?」


「そう、良い曲だったよとか、演奏が上手だねって意味でお金をくれるの」


「なるほど!じゃ、ルナも…………」


しかし、いつもの事ながらルナはお金を持っていない。どうやって稼ぐのかも知らない。困ったルナはしばし考える。しばらくの沈黙の後、ルナが出した結論はと言うと、自分が持っていた木製の手斧を月音に差し出した。


「ルナはおかねをもっていないから、このきのおのをつきねにあげる!」


そう言って、ルナは木製の手斧をケースの上に置いた。ハッキリ言って、月音からしたらこれほどまでにない迷惑な品だ。売る事も出来ず、自分で使う事もなく、ただのゴミだ。


「あ…………あの…………ルナちゃん?」


「なんだ!これじゃたりないのか?ちゅうもんがおおいやつめ!」


「いや、そうじゃなくて……。これを貰っても私困るんだけど…………」


「なんでだ!こうしてふれば、まものだってたおせるぞ!」


ルナは木製の手斧を取り、その場で素振りした。


「私、目が見えないから魔物と戦うことなんて出来ないんだけど…………」


「そうなのか!じゃ、どうすればおかねをもらえる?」


「うーん。そうだね、ルナちゃんの年齢だと冒険者にはなれないから、家族のお手伝いをしたらお駄賃としてもらえるんじゃないかしら?」


「なるほど………。でも、ルナのかぞくはステラしかいない。そのステラもいまはいないし………おかあさんもいない………」


ここで、月音は自分が失言してしまった事に気づいた。昨日、ルナから母親を探す旅に出る為修行をしていると聞いていたのに…………。焦る月音を他所にルナはブツブツと何か言っている。


「………だとすれば、ユイちゃんのおてつだいを…………いや、ダメだ。きっとそんなことをしてるひまがあるなら、しゅぎょうをしろというにちがいない…………。あとは………いつもそとにたっている【こんばん】おじちゃんか……。うーん………」


「あの…………ルナちゃん?」


「よし!きょうはこれでかえる!またあしたくるからな!おぼえてろよ!」


そう言ってルナは屋敷の方へと走って行った。


「まるで、返り討ちに合った人みたいに帰っていったな、ルナちゃん…………」


そして、屋敷まで戻って来たルナは早速門番の二人に話かける。


「おい、おまえたち!」


「おっ?誰かと思えばルナじゃねーか!どうした?今日はやけに帰ってくるのが早いな?腹でも痛いのか?」


「うるさいぞ!ルナをバカにしてるのか?」


「うーん………まぁ、馬鹿にしてるな、あははははっ!」


「キィィィィ!」


「冗談だ、そう怒るなよ!んで、俺達に何か用事があるんじゃないか?」


「はっ!そうだった!おい、なにかおてつだいをするからかねをよこせ!」


「おっ!これは、新しいカツアゲだな!何処で教わったんだ?」


「【からあげ】じゃない!おてつだいだ!」


「カツアゲな!手伝いか………。お前は何かあるか?」


「んー、これと言って特にないな」


「だとよ、ルナ。悪いな、お前に手伝ってもらうことは無いみたいだ」


「チッ!つかえない【こんばん】だ…………」


「んだと!」


「おいおい、本気で相手するな。ストレスが溜まるだけだぞ」


「確かに…………」


「なぁ、ルナよ!」


「なんだ!?」


「エリス様なら何かあるんじゃないか?あの人、いつも忙しいからな…………」


「おぉ!あのおっぱいのおねえちゃんのおねえちゃんか!」


「何かややこしい言い回しだな…………」


「うるさいぞ!もうおまえたち【こんばん】にようはない!」


「あーそうかよ!だったらとっとと失せろ、チビっ熊!」


「いわれなくても!じゃぁなっ!あばよ!」


ルナは走って屋敷へと入りエリスを探しに行った。その様子を見ていた門番の二人は………


「あいつ、本当に五歳か………?」


こうして、ルナはお金を稼ぐために屋敷に居る天使の宴のメンバーに手伝える事は無いか?と聞きまわったのだった。

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