結ばれし絆と、迫る暗雲
何はともあれ、修行を再開したステラ達。
「いいか、ステラ闘気という物はちょっとやそっとじゃ、練れるもんじゃない。まずは、己の闘気の最大量を増やすことだ。それには、体力をつけるのが一番早い。」
「…………体力をつける?筋トレでもすればいいんですか?」
「まぁ、そうなるな。だが、今はそんな悠長な事をしている時間はない。でだ、お前には常に体全体に闘気を纏いながら生活してもらう」
「…………全身に?今の状態じゃ纏えていないのですか?」
「今の状態は、ただ闘気を外に出しているだけだ。それを体内に閉じ込めるんだ」
と、ここで雪がステラに対して疑問に思っていたことを聞く。
「ねぇ、そーいえばステラちゃんは転生者なんだよね?もしかして、元の世界で空手やってた?」
「…………はい。3歳からやっていました。どうしてわかったんですか?」
「ん?えーっと、さっき木を殴ったでしょ?その時の構えが、空手の正拳突きにそっくりだったから」
「…………まさか、雪さんも元の世界で空手を?」
「まさか!こっちに来てから空手の事は知ったのよ」
「…………そうだったんですか」
「それなら、意外と早く闘気を練れるかもしれないよ?」
「……………それは、どうしてですか?」
「あのね、闘気を体内にとどめるには物凄く集中力が必要なの。でも、ステラちゃんはさっき物凄く集中できてたでしょ?あの状態で、体で闘気を感じてそれを押し込めるのよ。闘気は、どうしても外に出たがるからね」
「…………体で感じる」
「うーん、何か熱っぽさを感じるに近いかな。神経を研ぎ澄ませて体の隅々まで、心の目で見るような…………」
「…………神経を研ぎ澄ませて心の目で見る」
そう言うと、ステラは目を瞑り、神経を研ぎ澄ます。体の力を抜き、全ての音をかき消し、雑念を捨てる。すると、
【ブォォォォン】
ステラの体を、薄っすらと白いオーラが包む。すぐにやり遂げてしまったステラに2人は感心する。
「おぉ!こいつはたまげた」
「おぉ!それそれ、出来たじゃん!すごいね!」
しかし、ステラの体からはすぐにオーラが消えてしまい、物凄い疲労感が襲う。
「………はぁ、はぁ、はぁ。体が重い」
「まぁ、最初のうちはそうなるよね。でも、少しずつ練習すれば、いつでも纏える状態になるよ」
「…………2人は常に闘気を纏っているのですか?」
「ん?あぁ、纏っているぞ!必要最低限だがな」
「私も纏ってるよ!いつどこで襲われるかわからないからね」
「…………なるほど」
「まずは、常に闘気を纏っていられるようにするぞ!」
「………あれを常に纏っていられる状態まで」
「あぁ。その為にはまず、体力の底上げだ!走り込み、筋トレをメインにやっていく。そして、夜は闘気を纏う練習だ」
「…………わかりました」
こうして、ステラが自身の体にオーラを纏わせ続ける修行をして2週間が経った。そしてステラ達は今、デイズから少し外れた西の森にいる。普段は、人気が無く魔物も少ない。修行の場所にはもってこいの場所だ。
「よし、だいぶ様になってきたな」
「…………はい、師匠のおかげです。ありがとうございます」
「えぇ!?私は~?」
「……………もちろん、雪さんにも感謝しています。的確なアドバイスは助かりました」
「でしょ?でしょ?やっぱ、私って天才かも!」
「そしたら次は、次は俺と組手だ!本気でかかって来い!」
「もぉ~、何で無視するのよラルフ!怒るわよ!プンプン!」
「あー、わかった、わかった!雪は凄い!間違いなく誰もが認める天才だ!」
「でしょ~!もっと褒めていいのよ?」
「じゃ、始めるぞステラ!」
「………えっ?あ、はい!」
「こらー!だから無視するなー!」
そして、ステラは実戦形式でラルフと組手を始めた。
「………ハッ!」
【ガッン】
「フン…………」
【ガッ】
「………このっ!」
【ダンッ】
「この程度か?」
「………くっ!」
【ドンッ、ドンッ】
「…………当たらない」
「こんなんじゃ、いつまで経ってもアギトのお荷物だぞ!?」
「…………そんなの分かってる………このっ!」
【ガンッ、ドンッ】
「そらよ…………」
【ドッ―ン】
【ダンッ】
「……………くっ。はぁ、はぁ、はぁ」
「よし、少し休憩だ」
「…………はい」
ステラは、その場に座り込み息を整える。
(…………これが拳聖の力…………まるで攻撃が当たらない……。どうしたら当たるの…………)
30分の休憩を挟み、再びラルフとの組手が再開される。しかし、ここで予期せぬことが起こる。
「大変です、雪様!」
1人の吹雪のメンバーが慌ててやってきた。
「どうしたのそんなに慌てて?」
「東部の森に、大量の魔物が現れました。現在、手の空いているメンバーが対処していますが、手に負えません。このままではあと1時間もすれば、魔物の達の群れがデイズへ押し寄せてしまいます」
「わかったわ、すぐに私も現地へと向かいます。ラルフ、悪いけど手伝ってくれる?」
「あぁ、もちろんだ!」
「…………私も行きます」
「ダメよ!ステラちゃんはデイズへと戻って」
「…………でも」
「悪いけど、今のステラちゃんじゃ足手まといよ」
「…………そんな…………」
「雪の言う通りだ。ただでさえ人が足りていない状態だ。ここでお前が行っても邪魔になる。わかったなら、急いでデイズに戻れ!いいな!」
「あなた、この子をデイズまで連れて行ってあげてくれる?」
「ハッ!お任せください」
「じゃ、行くわよラルフ!」
「あぁ!」
そう言って、雪とラルフは魔物の群れが居ると言う東部の森へと走って行った。




