二人の再会 其の1
「と、まぁこんなもんだ…………」
「…………で?」
「………『で?』とは何だ?ステラ…………」
「…………この終わり方だと、雪さんがここまで師匠に執着する理由がわかりません…………続きありますよね?」
【ジ――――ッ】
「えっ?あ、あぁ?」
「…………続きは?」
「わ、わかりました…………」
【ラルフの孤児院暴力事件から8年後】
勇者歴248年11月。ラルフ19歳、雪18歳。
【デイズ近郊の森林】
「テメー等みてーなクソ雑魚が、俺を殺ろうなんて100年早ぇんだよ!」
【ドガッ】
「た、隊長………に……逃げましょうよ…こ……こいつ……やばいっすよ…………」
「馬鹿を言うな!ここで逃げたら、我がクラン業火旅団の名が廃るぞ!何としても、こいつを捉え吹雪の奴らに一泡吹かせてやるんだ!わかったなら、さっさとこいつを捉えろ!」
「チッ!まだやんのかよ、だりーな…………」
「突撃―――――!」
「「「うおぉぉぉぉ」」」
【ガンッ】
「ぐはっ」
【ドゴッ】
「ガハッ」
【バンッ】
「ぐあぁぁぁ」
「ば……化け物だ」
「人を魔物みてーに言うんじゃねーよ、カス野郎…………」
「こ………この盗賊風情が!うぉぉぉぉぉぉ!」
ラルフと業火旅団が刃を交えている後方で木と木を飛び移りながら進んでくる一団が居た。
「雪様、見つけました!あいつが例の【赤き暴君】です!」
「わかったわ!あいつは私が殺るから、みんなは援護してちょうだい!」
「「「かしこまりました」」」
「ついに見つけたわよ、赤き暴君!覚悟しなさい!」
雪は、木の枝の上から弓矢を構えラルフを狙う。そして、雪の構えている弓矢に白く輝く闘気が満ちる。
【無慈悲な一撃】
【キュィィィィン】
【ズバッ】
【ドドドドドッ】
雪の放った無慈悲な一撃が目にも止まらぬ速さで木々の間を縫いながらラルフへと向かっていく。
「!!!」
【ズドッ―――ン】
ラルフは間一髪の所で雪の無慈悲な一撃を避ける。そして、そのまま矢は木々をなぎ倒しながら消えて行った。
「クッ!あれを避けるの!何て洞察力してんのよ!」
「クソッ!ありゃ、噂の吹雪の連中か?面倒なのが来たもんだぜ…………」
「何処を見ている!お前の相手はこの業火旅団の隊長のゾーイだぞ!」
「うっせー野郎だな、テメーは引っ込んでろ雑魚が!」
【ゴンッ】
ラルフはゾーイには目もくれずその顔面に渾身の一撃を加えた。そんなゾーイは数メートル吹き飛んで気絶した。
「た………隊長………に…………逃げろ…………」
「「「うわぁぁぁぁぁ」」」
業火旅団のメンバーは、隊長のゾーイがやられた事で怖気づき逃げてしまう。
その間も雪達、吹雪の攻撃は続く。
【シュッ、シュッ、シュッ】
ラルフの周囲からい幾本の矢がを飛んでくる。
「しゃらくせ―――――!」
【ガッ、ガッ、ガッ、ガッ、】
ラルフはその場で両手、両足に闘気を集め、次々に襲ってくる矢を捌いていく。そんなラルフを見た雪は…………
「な………何よあれ?化け物なの?」
「クソが…………。これじゃキリがねー!」
【ドサッ】
「なっ!」
突如、何かが落ちる音がしてそちらを見るラルフ。そこには、森で薬草でも探していたのか、1人少女が立っていてラルフが矢を次々と落としていくのを見て、手にしていた籠を落とした。そして、狙いの外れた矢がその少女へと飛んでいく。
「しまった!避けて―――――!」
「きゃ、きゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
「クソがァァァァァ―――――!」
【ダツッ】
直ぐにラルフが少女を覆うように庇う。そしてラルフの背中に矢が刺さる。
【グサッ】
「チッ!」
そして、ラルフが怯んだ隙を逃すまいと、雪が無慈悲な一撃を放つ。
「こんな事はしたくないけど、今は仕方ない…………」
【無慈悲な一撃】
【キュィィィィン】
【ズバッ】
【ドドドドドッ】
「しまっ…………」
【ドンッ…………】
「ぐはっ…………」
「………………」
「お、お兄ちゃん…………」
少女がラルフに駆け寄る。
「け、怪我はないか…………」
「う、うん。お兄ちゃんが守ってくれたから平気…………」
「そ、そうか…………」
そしてその場を雪をはじめ、吹雪のメンバーが取り囲む。
「な、何でお兄ちゃんを虐めるの!」
「ち、違う…………。こ、これは仕方なくだな…………」
吹雪の1人の男が説明するが少女は聞き入れない。
「ひ、酷いよ…………。寄ってたかってお兄ちゃんをこんな大人数で虐めて…………。最低だと思わないの!?」
「………………」
少女は知らない。本来なら、賊であるラルフを捕縛するために動いていた吹雪のメンバー。あろうことか、賊であるラルフが少女を助けてしまい、そんなラルフを大人数で攻撃していた雪達が悪者になってしまった。そして、そんな少女に雪が説明する。
「ごめんね、お嬢ちゃん…………怖かったよね…………。でもね、このお兄ちゃんは悪者なの。お姉ちゃん達はね、そんな悪者のお兄ちゃんを捕まえに来たの」
「悪者じゃない!私を助けてくれた、いい人よ!あなた達のほうがよっぽど悪者じゃない…………」
一向に言う事を聞かない少女。雪はこの状況をどうしたものかと考えていると…………
「隊長…………ここは私たちにお任せください」
ラルフは薄れゆく意識の中、隊長と呼ばれる白髪の少女を見る。そして、胸のペンダントが目に入りすべてを悟った。
「…………………………雪なのか?」
その一言を言って、ラルフは意識を手放す。
「えっ?」




