忠告は届かず。破滅へのカウントダウン
【ブゥゥゥゥン】
マホの次元跳躍で、テレシアの街へと戻って来た。結局、出撃した200人近くの部隊はアギト、シエナ、マホ、カイル、そしてアギトが助けたアンディーを含め、たったの5人だけが無事に帰還できた。
(ん?あれは…………シエナ様達?)
街の警護に当たっていた一人のジャッジメントのメンバーが帰還したアギト達に気付き近づいてくる。
「シエナ様!」
その男は、血だらけのシエナを見て呆然とする。
「シエナ様…………?」
「ゲホッ、ゲホッ。あなた、デトックスとヒールは使えるわね?」
「使えますけど…………マホ様、大丈夫ですか?」
「私は平気よ…………ゲホッ。それより、急いでシエナ様にデトックスとヒールをお願い」
「あ、はい。わかりました」
事態は一刻を争う。男は、すぐさまマホに言われた通り魔法をかける。すると、シエナの青ざめていた顔色は元の色に戻り、傷口も塞がっていく
【シュゥゥゥゥ】
「良かった…………。あなた、直ぐにシエナ様を休ませたいわ…………ゲホッ…………何処か空いている民家に案内して……」
「そ、それよりもまずはマホ様の回復も………」
「私の事はその後でいいわ…………。まずはシエ…………ゲホッシエナ様を…………」
「……………わかりました。では、私について来てください」
そう言うとアギトはシエナを抱え男の後について行く。
【一時間後】
シエナは民家で休み、護衛にはカイルが就いていた。アギトとマホは、別の民家のリビングで今回の事を話していた。
「おい、勇者!お前は今回の事をどう思う?」
「どう思うとは?」
「なぜ、魔法は使えず私の固有スキルは使えた?」
「………………」
「答えろ!貴様、何か知っているのだろう?」
「…………恐らくだが、固有スキルは魔力を使わないから使用できたのかもしれない?」
「んなっ…………。馬鹿な、少なからず固有スキルは魔力を使うはずだ。私達はそう教わってきた!」
「それが間違いなんだ。俺は魔力が少しだけあるが魔法は全く使えない。そして、固有スキルなら何回でも使える!」
「何だと…………」
「そして、俺の固有スキルであの鏡のような物を調べた」
「調べる?固有スキルで?お前の固有スキルとは何だ……」
「………………」
【バンッ】
「答えろ!」
マホは勢いよくテーブルを叩きアギトを睨みつけた
「………俺の固有スキルは、対象の情報を知ることが出来る」
「知ることが出来る?それはつまり、【わかる】ということか?」
「少し違う…………。対象を【調べる】事が出来る。対象が人なのか、物なのか…………そして、それらの詳細を細かく知ることが出来る」
「…………つまりそれは、対象の情報がお前には【筒抜け】ということなのだな?」
「あぁ、そうだ。それに俺は、お前やシエナの情報も知っている。名前、性別、年齢…………。それからどんな固有スキルを使うのかも…………」
「なっ!」
「そして俺は、自分の固有スキルであの鏡のような物も調べた。それで、なぜお前達が魔法を使えないのかも知っている」
「それはなぜだ!教えろ!」
「あの鏡は、魔法反射鏡という物だ。あらゆる魔法を反射して、回復魔法も意味をなさない。攻撃魔法も、反射され使用したものへと突き返されるということだ」
「そんな物がなぜバイス王国に…………」
「それはわからない。だが、このままだと俺達は完全に詰みだ。魔法使いが多いジャッジメントでは分が悪すぎる」
「…………確かに。私達のクランは、光属性に特化した者達ばかり…………。剣士など決して多くはない」
「マホ、ここは退くべきだ。このまま侵略を続けても全滅する未来しか見えない」
「だがしかし、シエナ様がそんな話、信じるかどうか………」
「お前がどうにか説得しろ。俺が言ったところであいつは聞く耳を持たないだろう…………」
「………………」
「この状況をどうにか出来るのはお前だけだ。さもないと、シエナも死ぬぞ?」
「…………わかった。言うだけ言ってみる。だが、期待はするなよ?」
「あぁ…………」
結局、その日はシエナが目を覚ますことは無かった。そして次の日…………
【コンッ、コンッ】
アギトとマホは、シエナの休んでいる民家へ行き、昨日アギトから告げられたことをマホはシエナに話すのだが…………
【パチンッ】
「ぐぁぁぁぁぁぁ」
シエナがアギトに向かって指を鳴らす。すると、奴隷化による鎖と電流がアギトを襲う
「ポチ?あまりおかしなことをマホに吹き込むと、もっと酷い目に遭わすわよ?わかった?」
「…………シエナ…………今すぐエリュシオン王国へと引き返せ。今ならまだ間に合うはずだ…………」
アギトは地面に這いつくばりながらシエナに言った。しかし、まったくアギトの話を信用していないシエナは
「はぁ………。そう、ポチは怖くなっちゃったのね。しょうがない子ね…………そんな臆病な子にはもっとお仕置きが必要かしら?」
【パチンッ】
再びシエナが指を鳴らす。すると、先程より強い電流と鎖による締め付けがアギトを襲う
「ぐぁぁぁぁ…………」
「もういいわ。誰か、ポチを何処かの民家に監禁しなさい。そして、マホ!今すぐ他の村や街から全ジャッジメントのメンバーをここに呼びなさい。全軍で首都を攻めるわよ!」
「はぁ、はぁ、はぁ…………よ………よせ、シエナ…………」
「もういいわよ、ポチ。さっ、早く誰かポチを連れて行きなさい」
「ハッ!」
近くに居た男達が、アギトを別の民家へと移動させる。そして…………
「マホ、準備が整い次第攻めるわよ!いいわね!」
「シエナ様…………」
こうして、時は過ぎシエナ達がバイス王国に侵略を始めて1ヶ月と少しが過ぎた。そして、いよいよバイス王国に居るジャッジメントのメンバー全軍で首都落とすべく進軍が始まる。




