全てを焼き尽くせ!託された想いとティファの決意!
ルナは、物凄いスピードで処刑台の前まで来ていた。そして、ここでルナの分身の影がルナを掴み上へと放り投げる。宙に浮いたルナは、シエナとアギトを視界に捉えた。そしてそのままの勢いでシエナへと斬りかかる。
「アギトをがえぜ―――――!」
「ちっ!」
「お下がりください、シエナ様!ここは私が!」
【ガキンッ】
【ジャキキキキキ!!】
【パキィッン】
「何だと!」
【シュタッ】
ルナは、シエナの前に立ちはだかり怒りをあらわにする。そして、ルナの横には黒いもやの人影が現れる。大きさは、ルナと同じぐらいの身長をしており、ゆらゆらと揺れている。そして、ルナのすぐ後ろにうっすらと鬼の姿をした何かがはっきりと見える。
「アギトをがえぜ、ぐぞやろう…………ギリッギリッギリッ」
「な、何なのこの不気味なガキは…………。マホ、相手しなさい!」
「かしこまりました!」
一方、ティファ達は
【ジャリッ】
ティファは、レーヴァテインに炎を纏わせジリジリと処刑台に向かっていた。それを止めるジャッジメントのメンバー。
「殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す」
そう呟きながら、押し寄せるジャッジメントのメンバーを蹂躙していく。
「ぐあぁぁぁぁぁ」
「うわあぁぁぁぁ」
ある者は、レーヴァテインに斬られたところから炎に包まれ焼死、またある者は、ニヴルヘイム斬られた所から一瞬にして凍り付き凍死する。その凄まじい攻撃に、ジャッジメントのメンバーは後ずさりをした。その様子を遠くで見ていた大輔は、
「あの炎は…………レーヴァテインか…………?」
「まさか、ティファさんもここに?」
「あぁ、居てもおかしくはないな…………」
「あら?これじゃ、お母さんが目立たないじゃない!」
「いや、母さんは何もしないでよ!あそこまで強くないでしょ?」
「そうね…………。でもさ、あそこを飛んでるの、ルナちゃんじゃない?」
「何!?」
大輔は、愛華が指さす方を見た。
「あぁ、間違いない…………ルナだ…………。あいつもここに居たのか?てことは、ステラも居るのか?」
「たぶん、いるでしょうね…………。あの二人はいつもセットで居るし…………」
「マジか…………」
「お父さんあれ!」
「こんどは何だ?」
大輔は今度は、雫の指さす方を見た。そこには、レーヴァテイン炎を爆発させ、その勢いで空中を飛んでいるティファの姿があった。
「もう、何でもありだなあいつら…………」
ティファも、シエナ達の前にやってきた。
「あんたの相手は私よ、クソ女………。お前だけはここで殺す」
「クソッ!どいつもこいつもゴキブリみたいに湧いてきやがって…………。こうなったら、少し早いけどあいつらの出番ねっ!出てきなさい、お前達!」
すると、処刑台に上がってくる四人の人影…………。
「久しぶりだなティファ。会いたかったぜ…………」
「あんた達は…………」
そこに居たのは、昔アギトがティファを助ける事となったきっかけを作った、エマ、ジェニス、トーマスのパーティ、それから元天使の宴のサブリーダーのカイトだった。
「お前のせいで、俺はずっと檻の中に居たんだぜ?まぁ、送ったのはエリスだがな」
「そんな奴らがどうして今頃?」
「まぁ、そんなことはどうでもいいんだ!死ぬ覚悟は出来てるな、ティファ?」
「私があなた達に負けるとでも?」
「この人数に勝てるわけねーだろ?あのチビも…………」
「力の差ってやつを教えてあげるわよ」
「マホさんはその餓鬼を、俺達はティファをやります」
「随分と余裕なのね?私は5人がかりでもいいけど?」
「フンッ!またあの時みたく、ピーッピーッ泣かせてやんよ!」
「減らず口が…………行くわよ!」
「こい、クソ女!そして、今度こそ殺してやる!」
(あのクソ女も殺らなきゃならない…………。ここは、体力を温存しておかないと)
「静かに燃えろ炎王剣・レーヴァテイン」
ティファは、この後に控えるシエナとの戦いに備えて最小限の魔力消費でジェニス達と挑むことにした。それでも、全く負ける気がしなかった。アギトの力となるべく、別れてからエリス達と凄まじいほどのクエストをこなし、今ではFランクからAランクまで昇格している。そして、Sランク冒険者の資格も最後の試練を残すのみとなっていた。
【ダッ!】
まずティファは、魔法使いのエマを狙う。一気にエマとの距離を詰めるティファ。しかし、エマも黙ってはいない
「小賢しい!ファイアーボール!」
アリスやメイよりも大きなファイアーボールがティファへと向けて飛んでいく。
「凍てつけ、氷王剣・ニヴルヘイム」
そう言うと、ティファの左手に持つニヴルヘイムの刀身が一瞬にして凍る。そして、ニヴルヘイムでファイアーボールを斬る。すると、ファイアーボールが二つに割れ爆発する。
「なっ!ありえないわ、ファイアーボールを斬るなんて!」
「言ったでしょ?あなた達がいくら束になってかかろうとも、私には絶対に勝てないと!終わりよ!」
エマは、とっさに杖を構えティファの攻撃備える。
「甘いわよ!」
【ガンッ】
「残念、惜しかったわね!もう一歩で私を斬れたのに!」
「何を言ってるの?これで十分よ?」
すると、ティファの攻撃を受け止めたエマの杖に傷が入り、そこからレーヴァテインの特殊能力によって杖が燃え始める
「ちょっ!どー言う事?何で私の杖が燃えるのよ!」
【カランッ】
エマは、燃える杖を投げ捨てた。ガードしただけなのに杖が燃える。その原理が分からず混乱するエマ。
「教えてあげる。私のレーヴァテインは、傷さえつければそこから一気に燃えるの。今は、『静かに燃えろ』と言ったから、少しずつ燃えるけど、本気の『激しく燃えろ』と言えば、そんな杖1秒かからず灰になるわ!」
「なっ!」
「さて、まだやる?」
ティファは、その場にへたり込むエマの首元に剣先を突き付け言った。
「こ、降参よ…………。こんなの勝てるわけないわ」
「賢明な判断ね。さて、残りはあと3人!次は誰がやる?私は3人同時でもいいわよ?」
そう言うと、ティファはジェニスの方を向き剣を構える。しかしここで、思いもよらないことが起こる
「その餓鬼は、俺がやる…………俺の手で殺す」
「なっ!」
うっすらと聞こえたアギトの発言。ティファは動揺せずにはいられなかった。これまでルナは悪戯をしている時以外は、いつもアギトにベッタリだったからだ。当然アギトもそんなルナに優しく接していた。そして、
「お前は誰だ?」
その言葉は、ティファの心を深くえぐった。まさかのルナに対しての『誰だ?』発言。それを聞いた途端ティファはキレてしまった
「アギトォォォォォ!」
ティファがアギトの方へと行こうとするが、ジェニスがティファの前に立ちはだかる。
「おおっと、何処に行こうって言うんだ?お前の相手は俺達だぜ?」
「どけ、クソ野郎ども。本気で殺すぞ?」
「上等だ!やってみろよ!」
「くそがぁぁぁぁぁ!」
一刻も早くルナの所へと行かないと取り返しのつかない事となる事を察したティファが本気を見せる
「全てを焼き尽くせ、炎王剣・レーヴァテイン!!!」
もう、魔力の温存など気にしていられない状況でティファは、アギトの仕打ちを見せられた時に使った天にも届く炎をレーヴァテインに纏わせる
【チリッチリッチリッ】
周りの水分がどんどん蒸発していく。そしてティファは、ジェニスへと特攻する
「そこをどけぇぇぇぇぇ!」
と、そこへティファとジェニスの間に、カイトが割って入ってくる。
【ガキンッ】
【ギシッギシッギシッ】
カイトは盾を構え、ティファの攻撃を防ぐ。ティファのレーヴァテインは何百度の熱を発しており、カイトが手にする鋼製の盾が溶け始める。
【シュッ】
すると、カイトの後ろに居たジェニスが、援護するようにティファに向けて弓を放つ。
「くっ!」
ジェニスの攻撃を避けるため、ティファは後ろに下がりカイトと距離をあける
「ナイスだ、ジェニス!」
「援護は任せろ!」
すると、アギトが大声でティファに言う
「おい、そこの女!こいつがどうなってもいいのか?ここから落としたらどうなるだろうな?落とされたくなかったら、剣をしまえ!」
ティファはアギトを睨みつけて
「そんなハッタリ、私に通用するとでも?」
「なら、試すか?」
アギトは、目でティファに合図する。一瞬の出来事を見逃すほどティファは馬鹿ではない。アギトの考えに気づき、あえて剣をしまわない。
(なるほど。そういう事ねアギト…………。わかったわ、後の事は私達に任せて。必ずあなたを助けに来るから)
「やって見なさいよ!」
「フンッ」
【バッ!】
「なっ!」
「アギトォォォォォォォォォ!」
ティファは急いで、剣をしまい落ちていくルナを追い、処刑台から飛び降りる
【バッ!】
ティファには見えていた。ラルフがジャッジメントのメンバーを蹴散らし、ルナを捕まえようとしている姿を。ティファは体を捻らせ着地に備える。それと同時にラルフがルナを抱きとめる。
「撤退だ!ここは退くぞ、ティファ!ユイ、援護を頼む!」
「「えぇ!」」
ユイはラルフの前を走り、行く手を阻むジャッジメントのメンバーを薙ぎ払っていく。
「止まらねーぞこいつら!」
「何としてでもそいつらを逃すな!全力で止めろ!」
ジャッジメントのメンバーも負けじとティファ達を止めに入る。しかし、相手はSランク冒険者の戦乙女!止められるはずがない。その状況を見ていた大輔家族も移動を開始する。
「俺達も行くぞ、ブレイブハートの拠点へ!」
「うん」
「そうね…………」
こうしてティファ達は、ジャッジメントの拠点を離れ急ぎブレイブハートの拠点へと帰る事にした。




