表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トア・リア物語~双子の妹は姉を助けるため無自覚に無双する~  作者: 河童紀心
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/23

第6話 魔法開花の秘密

 

「トア、トア!」

「……? う、うん? どうした……の、マリー?」

「ああ、よかった気が付いて。あなた、ここで倒れてたのよ。どうしたの? うわっ、熱があるわ、大変!」


 どうやら、魔法を使った後から身体がホカホカしていたが、熱があったようだが、魔法の発動に興奮していたトアは気付かなかった。


「あ、大丈夫、多分寝てたら治るから。そんなにしんどくないし!」


 大事になって、もしも魔法のことが知られたら大変だと思い、トアは咄嗟にそう言った。

 それから数日寝ていたトアは、すっかり良くなったので、寝ている時からやりたくてうずうずしていた魔法を色々試してみることにした。寝込む前に体内の魔力を感じて動かすことはできていたので、その動きを思い出しながら手に魔力を集中させる。


「部屋には誰もいないけれど、いきなり火とかは危ないから……う~ん、水のイメージでやってみよう……水のイメージ……水、水……水っ!」


 ジョボボボボ


「う、うわぁ、出た! 本当に出た!」


 掌からチョロチョロと流れた水を見て、トアは狂喜乱舞する。


「私にもやっぱり魔法使えたんだ!」


 改めて魔法が使えることを確認したトアは、リアに会うために一歩近づけたような気がして嬉しくなった。


(でも、この後、どうしたらいいんだろう。何をすればいいのか分からない。キゾクサマがどれくらい強いのかも分からないし)


 途方に暮れかけたところで、ふと頼もしい兄ちゃんの顔がよぎった。


「あっ、アンドール兄ちゃんなら!」


 次にアンドールが来る時に相談してみることに決めたトアは、それから数日部屋に誰もいない時を見計らっては魔法発動を色々試してみた。


 部屋の中では試すことができなかった種類の魔法を教会の裏手でこっそり試してみた所、火も出すことが出来たし、土で壁を作ることもできた。なんちゃって~と軽い気持ちで植物に魔力を放ったら、ニョキニョキ成長を始めて焦ったり、枯れかけていた花が元気になったりもした。


「う~ん、魔法ってなんか色々出来すぎてなんかズルイな! こんなのをキゾクサマだけが使っているなんて、ほんとにズルイ。これじゃあ魔法を使えない人達が勝てるわけないよ!」


 一人プンスカプンスカ腹を立てていると、教会の入り口の方でキャッキャとはしゃぐ声が聞こえてくる。


「あっ、兄ちゃんが来たのかも!!」


 トアが教会の入り口に行くと、いつもの通り大柄なアンドールがニコニコしながら皆に声をかけていた。トアに気がつくと手を振ってくれる。


「兄ちゃん!」

「元気にしてたか、トア?」

「うん! あのね、大切な相談があるんだ。だから、後で暇になったら教えて」

「ははは、珍しいな、真面目な相談とみた。おう、後で声をかけるからな!」

「うん!」


 しばらく経った頃、部屋で大人しくしていたトアの元にアンドールがやってきた。


「トア、やってきたぞ、なんだなんだ? いつになく神妙にしてるじゃないか」

「う、うん……あのね……あっ、そうだ! 一緒に裏庭に来て」


 裏庭にやって来ると、見回して誰もいないことを確認したトアは意を決して息を吸い込む。


「あのね、私も魔法使えるようになった」

「えっ……魔法……それは、本当か?!」

「うん、本当本当、見てて!」


 トアは掌を上に向けると水が出るように意識する。


 ピュージョボジョボジョボ


 最近魔法の練習をしていたせいか、ちょっと威力が上がっているなと思いながら水を出す。


「うわっ、水?! トア、それは水魔法か? 水魔法が使えるのか!」

「えっと、こうかな……えいっ!」


 ボウッ!


「おわっ! えっ、火?? まさか二属性も……うおっ、土壁……はっ?」


 次々と繰り出される違う属性と思われる魔法に目を白黒させていたアンドールは、トアが最後に風魔法で空中をスイーっと移動して見せる頃には、何も反応せずトアが動き回った後の空中をぼーっと見ているだけになった。


「アンドール兄ちゃん、私の魔法何かおかしかったかな……?」

「???」

「ねえ、兄ちゃんってば!」

「え? おかしい……? (は? いやいや待て待て、そんな一言で片づけていいのか、これは? 色々やばすぎるだろう……いや、本当にどうなってるんだ? こんなの俺も見たことな……) い、痛っ!」

「に・い・ちゃ・ん!!」

「うわっ、聞いてる聞いてるさ! だから足踏むな!」

「じゃあ、どうだった? ね、これ魔法だよね?? 私もリアと同じ魔法使いだよね?」


 にっこり嬉しそうにするトアを見て我に返ったアンドールは、自身を落ち着かせるためにふぅ~っと息を吐いた。


「トア、このこと誰にも言ってないんだな?」

「うん、言ってないよ。だって、知られたら私もキゾクサマに連れていかれるでしょ?」

「ああ、そうだ。だからこれからも絶対に知られちゃいけない」

「うん、分かった。でも、どうしたらいいんだろう? この魔法、せっかくだからもっと練習したいし、リアに会える方法を探したい」

「そうだな……俺もどうすればいいのかちょっと考えてみるけど、一回騎士団の魔法訓練室を見てみるか? 練習している騎士がいたら、ちょっと魔法練習の参考になるかもしれないしな……」

「え、いいの?!」

「ああ、子供の見学はたまに皆やっているからな。ただ、絶対に魔法を使っちゃダメだぞ。あと、魔法訓練をしているのは、もちろんキゾクサマだけだから、話しかけないこと」

「うん、わかった!」


(この前リアの魔法はあっという間で、よく分からなかったし、他の人の魔法をじっくり見られるの、すっごい楽しみ!)


 誰にも言えなかった秘密をアンドールに話したことで楽になったトアは、騎士団に行くのが楽しみで楽しみで、その日はなかなか眠れなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ