↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トア・リア物語~双子の妹は姉を助けるため無自覚に無双する~  作者: 河童紀心
最終章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

165/191

第28話 柔らかな温もり

 

「トア…………えっ、トーマス……」


 トアの顔を見たフローリアの目が大きく見開かれ、トーマスの名前が零れる。


「あ、トーマスさんの奥さんですよね!」


 トアは「そうだった!」と思い出しながらそう言ったのだが、なぜかフローリアの瞳から大粒の涙が流れてきて、トアは不思議そうにフローリアの顔を見る。


(何か……リアに似てる……)


 リアが涙を流していた時を思い出したトアは、フローリアの銀髪に緑色の瞳を見てリアに似ていると思うのだった。そして、フローリアはトアの顔にトーマスの面影を見て、涙が止まらなくなっていた。フローリアの隣に来たトマリもトアを見て驚き、開いた口を手で覆う。


「お、奥様……このお嬢様は……」


 不思議そうに見つめるトアの手を優しく取ったフローリアは、震えそうになる声をなんとか絞り出し、トアに優しく尋ねる。


「トア、教えてほしいのだけど…………貴女は双子かしら?」

「え、知ってるの? うん、リアっていうお姉ちゃんがいるよ! あっ、そうかハシルさんかフロイスさんから聞い……」


 トアの言葉は、フローリアに抱きしめられ、その肩口に消えていった。まるで宝物でも扱うかのように、優しく大切そうに抱きしめられたトアは、その柔らかな温もりの中、なぜか心がきゅっとなり、涙がどんどん溢れてきた。


「あれ……どうしたんだろう……涙が出る……」

「ああ……こんなことが……トア……私の大切なトアとリアが…………」


 その後は言葉なくトアをしばらく全身で抱きしめていたフローリアは、しばらくすると身体を離し、トアの涙を指で拭った。


「見せてちょうだい、貴女の顔を……うふふ、やっぱりトーマスに似ているわ……」


 事態を悟ったトマリが、涙でぐしゃぐしゃになった顔で笑う。


「私から見たら、奥様にそっくりですよ……」


 トアの顔は今度こそ崩れ始めた。


「もしか……して……お母さん?」

「そうよ! トア!! 可愛いトア!」

「本当に、本当に、お母さん? 私とリアの?」

「うんうん、そうよ……こんなにトーマスにそっくりなのだもの」

「トーマスさんが……お父さん?」

「あらっ、トーマスにもう会ったの?」

「うん……あ、じゃあ、おじいさんは本当のおじいちゃん!?」

「もしかして、お父様のこと?!」


 二人は泣いたり笑ったりしながら、トマリも入れて話し始めた。牢にいるトーマスやウィズダブラの様子を知って、二人が再び安堵の涙を流していると、部屋のドアがノックされた。


 トマリがドアを開くと、心配そうな顔のフロイスとハシルが立っていた。


「あっ、フロイスさんとハシルさん!」


 トアがそう言うと、フローリアが「うふふ」と笑って言う。


「トア、フロイス叔父さんと呼んであげて」

「「えっ!」」


 これに驚いたのはフロイスとハシルの方だった。


「義姉上、ご無事でしたか! それにしても、今のは一体……」


 そう言いながら、トアを抱きしめるフローリアの姿を見たフロイスは「もしかして……」と声を震わせる。


「ええ、そうなの。この子は私の子よ」

「なんということだ……そんなことが……まさか、本当に……」

「通りで奥さまに似ているわけですね……」


 ハシルも目を潤ませてフローリアとトアを見つめている。


「義姉上、トアがいつも物資を運んでくれていた魔法学校の救世主なんです」

「まぁ、トアが!?」

「えへへ、じゃあ、私、お母さんやお父さん、それにおじいちゃんに食料運んでたんだね」

「こんなに可愛いトアが救世主だったなんて……トア、本当にどうも有難う。トアは私に食料と希望を運んでくれていたのよ。お陰で元気になれたわ」

「えへへ、なんかくすぐったい。こちょこちょする!」


 嬉しそうに照れるトアを見て、フローリアはついさっき会ったとは思えないほどトアを愛しく感じるのだった。


「義姉上、色々聞きたいことはあると思うのですが、まず先ほどのことをトアに聞いてもいいですか?」

「ええ、もちろんよ。トア、さっきは何かと戦ってくれていたのよね?」

「うん、あれはね、異世界から来たガゴウっていうのの怨念なの」

「異世界の怨念?!」


 驚愕の表情となったフローリアとトマリに、トアやフロイスは現在起こっていることなどをかいつまんで話して聞かせた。


「まさか、ご先祖様が生きていらして、しかも異世界人だったなんて!」

「あれっ、ということは、ルーラルは私のご先祖様でもあるの?! あ、私も少しだけ異世界人?!」

「そうね、私もトアもちょっぴり異世界人ということね」


 ルーラルが先祖と聞いてまだ実感が湧かずにいるトアに、フロイスが心配そうに聞く。


「ところで、そのガゴウの怨念はどこに行ったんだろう? もう来ないのかな?」

「分からない。一応、屋敷の結界内を浄化魔法で満たしておくね。さっきは転移の直前にハシルさんに憑依して付いて来たから、屋敷の中に入って来たけど、ガゴウだけでは出ることは出来ても入ることはできないから大丈夫だと思う」

「まぁ! トアはそんなにすごい魔法が使えるの?!」

「義姉上、トアはすごいどころじゃないですよ。魔法連合の統括ベージェル様にも大切にされていますから」

「そんなに……どうしましょう、うちの子は世界一可愛いだけじゃなくて、世界一の魔法使いだなんて」

「でも、本当にそうして並ぶと本当にそっくりだ……」


 フロイスは感慨深そうにそう言い、皆も頷いている。


「ところで、リアはどこにいるの?」


 フローリアは何気なく聞いたが、その答えとそこに至る経緯を聞くと、美しい顔を真っ赤にして怒りを露わにし始めるのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。