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トア・リア物語~双子の妹は姉を助けるため無自覚に無双する~  作者: 河童紀心
第六章

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第17話 フル結界

 

 とりあえずフルに説明して納得してもらうと、再びトアはフルを連れて校長室へと転移する。トアたちが戻って来るのは予想済みだったにもかかわらず、突然現れたトアとフルに、校長テリウスはお気に入りの紫の椅子の上でぴょこんと飛び上がった。


「はぁ、びっくりしたわい……ふむ、その様子だとフル殿にも理解してもらえたようじゃな」

「はい、テリウス殿。それよりもまずは謝罪させてください。私たちの国の者たちが大変なことをして、大変申し訳ございません」

「よいよい、頭を上げられよ。もう同志なのじゃ。それに、お互い被害者でもあるのだ」

「はい……私も精一杯力になります」

「校長先生、やっぱりフルも弟が人質に取られていました」

「そうか……」

「ゴウミはすごく残虐な奴で、このままフルが一人で帰ったら、そのうち酷い目に遭うのは確実だと思います。だから、一度ルーラルに相談してみようと思っています」

「うむ、良い案が出るやもしれんな。あぁ、儂もついて行きたいんじゃが、これから会議でな……」

「あ、大丈夫です。フルを連れて行ってきますから!」

「うむ……」


 心なしか校長がしょんぼりしたように見えたが、時間が惜しいこともありトアはすぐにフルを連れて転移したのだった。


「はぁ、行ってしもうたか……儂も会議よりそっちに一緒に行きたかったのじゃ……会議つまらん……」


 校長の声は虚しく部屋に響くのだった。



**

「ルーラル!」

「「「うわぁ!」」」


 魔法連合に用意されたルーラルの部屋へ転移すると、そこにはミードルとピーコロもいて皆が同じ反応をするので、それを見たトアがクスクス笑う。


「あ~、びっくりしたぁ。トアかぁ!」

「トアとルーラル以外にこんな風に驚かす人いないよね~」

「本当に心臓に悪いよ」


 ピーコロとミードルが頷き合っていると——。


「うわっ、本当に本当にオドアイ様なんですね!!!」

「……あっ、君がデイン大陸から来たっていう使者??」

「はいっ、フルって言います! まさか伝説のオドアイ様にお目に掛かれるとは、光栄の至りであります!!」

「あはははは、もう、やめて、普通でいいから! 僕はそんな大したことはしていないし、君たちからすると大昔のことでしょ? いいから、僕のことはルーラルって呼んで」


 コチコチに緊張しているフルは、しばらく時間がかかったが、ようやく普通に話せるようになった。それまでの経緯を話したトアが締めくくる。


「……そういうわけでね、何か良い案がないかってルーラルに聞きに来たの」

「う~ん、フルを帰しても帰さなくても危険で、敵がどんな魔法や魔道具を使うかも分からないと……そうだね……僕だったらどうしたいかなぁ……ああ、フルに成り代わって近くで様子を探りたいかな。で、弟のリルに危険が及びそうだったら、それとなく阻止するとか……」

「それ、いいね!!」

「でも、フルに成り代わるのは難易度高いんだよね~」

「ルーラルの手記から学んだ、物の形を変化させる魔法とかでフルになるとか??」

「ああ、あれかぁ~でも人間を変化させるのは難しいな……結界ならいけるかも」

「結界? あっ、結界を纏って、その結界の形をフルにするの?」

「うん、それだけじゃなくて、フルに見えるようにそっくりの色を付けないといけないかな。絵を描くみたいにね。あと、声は無理だから魔道具かな。昔、記憶録の魔道具を作った時に、その記録した声から製声機っていうのを作ったことあるから、また作ってみるよ。フルにはここに残ってもらうけどいい?」

「はい! あ……うん、ダイジョブ!」

「あ~あ、また変になってる。ルーラル、よろしくね! 私はまた牢に戻らないといけないけど、こっちでもフルの形の結界作れるかやってみるね!」

「うん! じゃあ、また!」


 牢に戻ったトアは、まず結界をフルの形にすることから始めた。しかし——。


「フルを思い浮かべて結界の形状を変形させてみたけれど、誰かに見てもらわなくちゃ似てるかどうか分からないや……ルオの所に行こう……」


 そうしてルオの所へ転移すると、状況を説明して見てもらうことにした。


「どうかな?」

「トア……致命的なことがある。結界が見えないんだ……」

「あ……。ちょっと待って、頑張ってみる!」


(ルーラルは、私たちの魔法は創造魔法だって言ってた。だから多分、ルーラルもそうやって色も作り出すんだ。ええっと、フルの顔は……こんな感じ……あれっ、髪の色ってこんなだっけ??)


「ふふふ、トア! すごい、すごいんだけど、フルの髪はそんな黄色じゃなくて薄茶色だよ!」

「あっ、そっか!」


 そうして、試行錯誤しながらフルの形を作った結果——。


「うわぁ、話さなければ、本当にフルがいるみたい……ツンツン」

「ひゃっ、なに? 何か触られたたような感覚があったよ?」


 見た目はフルなのにトアの声がするのが面白くて、ルオはつい触りたくなった。


「結界だから、叩かれたりつねられたりしても痛くないし、触れられたのが分かるだけなんだよね」

「へぇ~、フル結界は便利だね。触れた感じの質感もほぼ分からないと思う」

「うん、さすがにフルの服の素材とかは分からないから、私が着ているものの素材の感触しか再現できてないと思うけど、多分そこまでは誰も分からないかなって」

「これで、声までフルになったらもう僕でも分からないかも……でも、トアはデインには行かないよね?」

「うーん、そのつもりだったんだけど、もしかしたら私が行くことになるかも」

「えっ、なぜ?!」


 ルオはとんでもないといった困惑の表情でトアを見た。



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