表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トア・リア物語~双子の妹は姉を助けるため無自覚に無双する~  作者: 河童紀心
第六章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/130

第8話 ローヤー

 

 不思議そうに首を捻ったルーラルだったが、更に話を続ける。


「ともかく、その当時の皇帝バゼロアがそうやって魔道に秀でた皇子を次期皇帝にしようなんて言い出したものだから、皇帝になるはずだった長兄のガゴウ・ダーガ・ブラザリアが焦ったんだ。僕は権力には全く興味がなかったのだけど、魔道に関しては一番成績が良かったし、魔力も多かったんだ。だから、ガゴウ兄さんに狙われた……もちろん僕は皇帝になるつもりはないと伝えたんだけど、兄さんにとっては僕の意思なんて関係なかったんだ。とにかく自分の地位を脅かす存在を排除しようとした。なぜ今までこの世界に干渉がなかったのかは分からないけれど、少なくとも今来ている異界はガゴウ兄さんに繋がる者の可能性が高い」

「何百年も経ってるのに、お兄さんに関係しているって分かるの?」

「うん、トアが記憶しているドルクはゴウミという人物に仕えているっていうことだったよね?」

「うん、ルオがそう言ってた」

「僕が見たトアの記憶の中で、ドルクはゴウミの名前を呼んでいた。『ゴウミ・ダーガ・ブラザリア』ってね。ダーガというのは五大公爵家の一つダーガ家を表しててね、ガゴウ兄さんもダーガ家出身なんだ。だから、ゴウミはガゴウ兄さんの子孫だと思う」

「そうなんだ……でも、目的は何なんだろう……ルオの国の人たちに酷いことをしてるし……」

「ダーガ家は呪術を得意としていた。今もやり方が同じだとすると、彼らは最低限の呪詛の『制約」を掛けた相手を使って目的を達成しようとする。呪詛は解呪されると術者に返るからね、だからダーガ家の者は高度な使い手ではあるけれど、通常実践で直接攻撃に関与する呪詛は自分たち自らはほとんど使わない」

「卑怯だよ、自分で戦わないなんて!」

「そうだね、でもそういうやり方をしているから、生き残っているんだろうね。でも、トアが説明してくれたような呪詛を発する機械は知らないな……」

「前は無かったの?」

「うん、昔はなかった……悪い意味で発展を遂げているんだと思う。僕がいるこの世界にダーガ家が来たのは偶然じゃない。ドルクは会話の中で『ダーガ家の悲願のために』と言っていた。この世界で異界と関係があるのは僕だけだからね。恐らく僕に関係しているんだと思う……ごめんね、君たちを巻き込んでしまって……」


 トアは否定しようとしたけれど、それではルーラルは納得しないだろうと考える。


「私だったら……自分は悪いことしてないのに一方的に嫌われて、逃げても追って来たら腹が立つ! 今だって怒ってるんだよ、私たちは何もしていないのに! 勝手にやって来て傷つけたり盗もうとしたり……だから、そういうことをしたらダメだってことを教えよう! 皆で力を合わせたら、その呪術にも対抗できるよ。でも、あくまで守ることが目的で、傷つけることじゃない。これが大切だと思うんだ」


 トアがプンプン怒りながらもそう言うと、ルーラルは目を瞬いた。


「守るために……力を合わせる……。うん……うんうん、そうだね、そうしよう。今度は僕も逃げない。皆と守る!」

「ワォオオオン!!」

「ははは、ギンも一緒にね!」


 そう言ったルーラルの顔からは先ほどの後ろ向きな表情は消え、覚悟とやる気に満ちた顔つきになっていた。


「トア、有難う。君が一緒だと、きっとやり遂げられるというふうに思えるよ」

「良かった……」


 ルーラルは何となく、ゴウミたち異界が侵攻してきているこのタイミングでトアという存在が誕生し、自分を結界から解放したことは偶然ではないように感じるのだった。


 その後、三人は今後について更に話し合った。その中で、ルーラルはギンことローヤーについてトアに詳しく説明した。


「ローヤーは元々、僕が生まれて間もなくアラキス家を出て、城に上がった時に一緒に付いて来てくれた従者だったんだ」

「そんなに前から一緒だったの?」

「うん、ローヤーは三歳くらいだったのかな? 城に上がる際には各家が従者となる者を付けるんだ。僕にとってローヤーは、従者というより兄弟みたいなものなんだけどね。でも、そのせいでこんな姿にさせられてしまった。本当はこの呪詛は僕が受けるはずだったんだ……」

「え……」

「皇帝バゼロアが魔道に秀でた者を次期皇帝にしようと、色々な法整備に向けて動き出した頃、早速ダーガ家出身のガゴウ兄さんの刺客が送られてきた。僕はそんなこと気づきもしなくて、呑気に魔道の研究に勤しんでいたんだ。だから刺客が研究室に入って来たのにも気づかなかった。振り向いた時には、先に気付いたローヤーが刺客と揉み合ってて、その際に刺客が放った呪術が込められた液体を浴びたんだ。それでローヤーの肉体はシルバーウルフに変えられてしまった。でも、呪術は魂までは変容できないみたいで、思考はローヤーのままだった。その後すぐに、治癒や浄化や薬を試したんだけど、どれも効かなかった。ただ、幸い僕はローヤーの言うことが分かるから、意思疎通は問題なかった」

「あれっ、私も理解できてるよ。何でだろう?」

「ああ、さっきトアの記憶を読ませてもらう時に、トアも似たようなことをやってるって言ったのは、そのことなんだ。トアはローヤーの脳を見ているんだよ。さっき僕は記憶を覗いたでしょ? 脳のどの場所に意識を集中して見るかの違いでしかないんだ」

「そうなんだ!」

「うん。ね、魔法って面白いよね?」

「うん、面白い!」

「それにしても、同じ創造魔法の使い手に会えて嬉しいよ! トアの協力があれば、魔法研究が各段に進む!」

「ワフ……ワォーン……」

「「あっ、ローヤーが呆れてる!」」


 思わず重なったトアとルーラルの声に、ローヤーはやれやれというふうに鼻を鳴らした。


「いずれ、ギンもローヤーに戻れるといいね。黒い靄も見えない呪いなんて初めて……呪術って厄介だね」

「うん、とても複雑な呪術だけど、必ず解けると思ってる」

「私も協力する」

「有難う。その為にも、まずは早くダーガ家をこの世界から追い出さないといけない」

「じゃあ、まずは……皆と協力するためにも、相談かなぁ?」

「うん、最初は魔法連合のベージェルさんに会いたいな。案内してもらえるかな?」

「分かった! じゃあ、ギンと一緒に三人で転移するね」


 そう決まると、三人は魔法連合のベージェルの元へと転移することにしたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ