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26歳までを綴る2

ひろくんとの交際は順調だった。


ひろくんはちょっとぬけているところがありハプニングもたくさんあった。


デート中、車を砂浜に詰まらせてレッカー車を呼ぶことになったり、財布を落として大騒ぎになったりした。

ひろくんはそのたびに私に深く謝罪をしていた。

私は付き合ったことのないタイプだったのでとても新鮮に感じた。


私がその分しっかりしなきゃと思っていた。


付き合って3ヶ月でお互いが結婚を意識しはじめた。


でも、私にはもう一つひろくんに言っておかないといけないことがあった。


自分の病気のことだった。


今までうつ病とカミングアウトしてドン引きされたことや理解されなかったことが沢山あった。


実の母親でさえ理解できないのに、ひろくんに言っても大丈夫なのかとても悩んだ。


そのころ、体調もあまり優れず仕事を休みがちになっていた。

理由は分からなかった。

ただ、どんどんうつが酷くなっているのが、分かった。


こんなに幸せな環境ははじめてだったので、どこかに甘えがあるのかもしれないと思った。


生まれてはじめて、そんな自分が嫌になり死にたいと思うようになっていた。


そして、ある日カッターで手首を切った。

私は気持ちがスーッとしてそのまま笑っていた。


傷は浅く傷跡は残らなかった。

でも、それからはリストカットする気力もなくなり寝てばかりになった。


誰かが用意をしてくれないと食事をしない。

お風呂もひろくんに会う時のみしか入らない。

トイレに行くのも辛くて大人用のオムツを買って使った。


その後、ひろくんに簡単にうつについて打ち明けた。

ひろくんは、俺どういう病気なのかよく分からないから本とかネットで勉強する。

一緒にゆっくり治していこうね。

と震える私の手を握って言ってくれた。


ひろくんはドジで頼りないけど、人に無償で優しくできる力があった。

私は、頑張れ!じゃなくて頑張らないで!と言うひろくんが好きだった。


そして5月、仕事を休みがちだった私は職場を解雇された。

うつの薬を店長に見られてしまったのも要因の一つだったと思う。


ニートになってしまったことをお母さんは激怒して、甘えてないで早く仕事見つけてきなさい。

と毎日言った。


私は、お母さんはひろくんと正反対だと思った。


お母さんに何かを言われるたびにうつがヒドくなり死にたくなる。


でも、ひろくんといるとうつに効く言葉を言ってくれるから逆にポジティブになっていた。


ひろくんは、急いで仕事見つけなくていいから。

頑張らないでね。ゆっくりだよ。といつも言ってくれた。


だからこそ、次の仕事を探そうと決意できた。



次の仕事はすぐに見つかった。おばちゃんだらけの工場だった。私は出勤一日目にして過呼吸を起こして早退した。二日目からはいけなかった。


お母さんやひろくんには仕事に行っているフリをして、コンビニなどで時間を潰した。


だが、それも長くは続かずまた次の仕事を探すことになった。


心療内科で症状をいうたびに、薬の量はどんどん増えていった。


私はもう普通じゃないんだという感情が芽生えてきて、自分が怖かった。


どうしたら良いのかも分からず、悩んでは寝てを繰り返した。


だが、とうとう怒りが頂点にまで達したお母さんが私を叩き起こしてこう言った。


働くのは人間の当たり前なことでしょ。

そんな当たり前をしないなんて、あんたはお父さんと同じでしょ。


それを言われた時、心が乱れた。とても死にたくなった。

その夜自殺をしようとした。

靴箱を開けた。昔、お父さんが自殺しようとして買ってきていた大量の練炭。お母さんが昔没収したっきりアパートに置いたままだったのだ。


これを使って消えたい。消えたい。消えたい。


頭の中はそればっかりだった。


私もあの最低なお父さんと同じなんだ。


もう、お母さんにも弟にも捨てられる。


夜中にアパートをコッソリ抜け出そうとした瞬間、弟の部屋の扉が開いた。


弟は眠そうに、何してんの?と言った。


私は靴箱の整理してた。と答えた。


弟は、暇なんだったら俺のゲームでオススメあるからしなよ。とゲームを私の部屋に置いていった。


私は、肩の力が抜けていくのを感じた。

もう自殺への概念はなくなり、ゲームはせずそのまま寝た。


弟はいつもそうだ。

タイミングのいいときに人を助けてくれるのだ。


あとから、お母さんが言っていた。


お母さんはあんたの様子全く知らなかったけれど、

後で弟がご飯やお風呂ができていないと知らせてきたりしたと。


弟は休みの日は友達と飲みに行ったり、遠出したりしていたのになんで分かるのだろうと不思議だった。


お母さん曰わく私の洗濯物の量などを確認してお風呂に入っているか見ていたらしい。


私は、弟が妙に食事を一緒に取りたがるようになっていたので食事を取るようになっていった。


ある日デートでひろくんが言った。


無理して仕事探さなくていいよ。

仕事見つけたって嫌ならすぐ辞めていいんだよ。

俺は君の笑顔が好きだから、笑顔でいてくれるならそれでいいよ。


私はその言葉で心がスーッと落ち着いていくのを感じた。


ひろくんはいつもジョークばかり言ってふざけているのに、たまに凄く心に効く言葉を言う。


それが私の生きる活力になっていた。

付き合ってまもないのにひろくんは私にとってかけがえのない存在になっていた。


だが、やはり心の中ではどうしても不安があった。


前の結婚の失敗からか、結婚に対してはとても慎重だった。

ひろくんの両親のことを事細かに聞いたり、ひろくんの実家に伺う時も凄く気を張ったりしていた。


それが、重荷になっている自分もいた。


子どもはいらないから、結婚する必要はない。

また苦しむくらいなら独身のままでいい。


そう思う私がいた。


そして、新たな仕事を見つけた。

スーパーのレジのアルバイトだった。


お母さんにアルバイト見つけたよ。と報告すると、ああ、そう。と興味無さそうな返事が返ってきた。


お母さんは、きちんと正社員として仕事をしている弟とアルバイトでさえ続かない私を比較していた。


弟が、ほとんどアパートの家賃や生活費を負担してくれていた。


私の目の前でお母さんが平然と10万頂戴。と弟に言っているのを見たときは流石に引いてしまった。


そのころ、お母さんの方のおばあちゃんが白血病で余命を宣告されていた。


私は、おばちゃんが大好きだったのでお見舞いに沢山行った。

おばあちゃんはとても喜んでくれたが、弟が一度もお見舞いに来ないことに不満そうだった。


実は弟は弱っているおばあちゃんを見るのが辛くてお見舞いに中々行けずにいた。


そして、いつものクールな様子で、今仲良くしたらあとから辛いし俺忙しいから。と言った。


おばあちゃんは程なくして亡くなった。6月某日のことだった。


まだ、亡くなったばかりのおばあちゃんを触った。

まだ温もりがあって生きているかのようだった。


私は外孫だったけれど、おばあちゃんの発言がいつもコミカルなところがとても好きだったのでとにかく泣いた。


不思議なことに、子どもの頃に人の死に直面していた時の感情と、大人になってからの感覚は全く違った。


大人になってからの方が、とてもつらかった。


葬儀はしめやかに行われた。


私は、親戚に離婚していることを内緒にしろとお母さんに言われていたので元旦那と連名でお金を包んだ。


そのころ、久しぶりに元旦那から電話があった。

私の様子を逐一聞いてくるものだから、私は大丈夫だよ。仕事してる。うつも良くなった。と言った。


元旦那は、離婚していることを内緒にするなと言った。

おばあちゃんが亡くなった今がチャンスだ。

皆そっちに目がいくから葬儀の時に言えと言った。 


私は、そういう言い方をされたことがとても悲しかったので失礼します。と電話を切った。 


ひろくんには元旦那とごくたまに連絡を取っていることは言っていた。

ひろくんは本当は嫌だったはずなのに何も言わなかった。


葬儀が終わり家に帰ると、お母さんも弟もクタクタだった。親族が少ない中動きまくったので、疲れがピークに達していたのだと思う。


逆に私は悲しみで何も手伝いができなかったので、ただ喪失感だけが心に残っていた。


ただ、おばあちゃんは長生きして自分の人生を全うしたんだと思うと少し救われた。

おばあちゃんを送り出そうという気持ちになった。


その後、ひろくんから連絡が来て、会おうと誘われた。

私は、ひろくんはきっと心配してくれているんだと思い会おうと思った。


だが、ひろくんが私を迎えに来て向かったのはラブホテルだった。

身近な人の死に直面したことのないひろくんは常識が全くなかった。


私は、ひろくんに対して少しウンザリした気持ちが沸いていた。


その後、スーパーでの初出勤の日が来た。

緊張はピークに達していた。

とにかく過呼吸やパニックにならないように自分を押さえつけてアルバイトへと向かった。


短時間の研修がありのちに一人の先輩が付いてレジをした。

仕事はすぐに覚えられそうだったが、気持ちや身体が追いついてこなかった。


身体はヘトヘト。心はグチャグチャだった。


家に帰ると、風邪を引いて仕事を休んでいる弟がいた。

弟は楽しそうにワールドカップの話をしていた。

でも仕事に行きたいと弟は何度も言っていた。

責任感の強い弟は、仕事を休むことを嫌がって高熱の中仕事をしていた。

私は、心配になり仕事を休ませて病院へと連れて行ったら風邪だと言われたのでしばらく休むことになったのだ。


私は次の日の朝仕事の時間が早いからと寝ているお母さんと弟を置いて、ひろくんの家へと向かった。


アルバイト一日目のストレスか、理由は分からないが家にいるのがとても怖く感じたのだった。


ひろくんに会うと、心が癒やされた。

心療内科の薬よりよく効いた。


次の日、ひろくんが水着を買ってあげるよ!と私に言ってくれたので二人で水着を見に行って水着を買って貰った。

その後も色々なところに出掛けた。


私たちはよく公園に行くことが多かったので公園でブランコを漕ぎながらたくさんのことを話した。


ひろくんといると心は元気になったが、何か心がザワザワしていた。

変な罪悪感が芽生えてきていた。


その後、私は人生最大の悲しみと試練に立ち向かう。


今は書くのが辛くて正直うまく書ける自信がない。

 

勇気を出して次の章で書かせてもらいたい。

 

続く。



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