22歳までを綴る
そして馴染みのある音楽が流れた。
私が、好きだと言っていた曲。
いたるが、その日はスタジオ練習だったので、私にこの光景を見せたかったのだそうだ。
お客さんは私一人。
ライブハウスではなくてスタジオ。
そこで流れる曲のメドレーたちは私を大きく感動させるものだった。
最高にまた私の一番好きな曲が流れた。
曲の内容は別れた人を今でも忘れられないという内容だった。
女性ボーカルの感情のこもった歌声に私は、涙を流した。
クリスマス。春くんは何をしているのかな?そう思いながら。
歌が終わり引き続き、練習があるとのことで私は、軽くバンドの皆さんに挨拶してお礼を言った。
そして、再び本店まで、いたるに送ってもらった。
いたるに何度もありがとう!と言った。
いたるは今度こそライブ来てねー。とひょうひょうとした様子で答えた。
そして、本店に着いた。
駐車場でいたるが、お前の座っているところの下見てみ。
と言った。
下には袋が置いてあった。
開けるとそこにはバラの花束とメッセージの彫ってあるワインボトルがあった。
メッセージは筆記体で全ては読めなかったが、メリークリスマスと私の名前が彫ってあるのだけは確認できた。
なぜ、付き合ってないのにここまでできるの?と疑問に思いながらも素直に嬉しかった。
最高のクリスマスプレゼントだった。
いたるにありがとうと伝えて私は、一度本店へと戻った。
あまりにテンションがあがってしまっていて休憩室に入ると健さんがいたので、とにかく起きた出来事を話して花束とワインボトルを見せた。
それを見た、健さんは良かったなー。と言ってくれた。健さんはワインボトルに書いてある英語を全て理解できていたらしいが、内容を聞くとまあクリスマスっぽいこと書いてあるだけだよ!と笑って言った。
そのあと、健さんに夕飯に誘われた。
実はその日は中居さんにも夕飯に誘われていたが、中居さんには香奈さんがいるだろうにと断っていた。
しかも断った理由もお腹を壊したからと言っていた。
中居さんはもう仕事を終えて先に帰っていたので、まあいいか。と軽い気持ちで健さんとご飯を食べに行った。
健さんの車に乗ったのははじめてで少し緊張したが、いつものまったりした話し方を聞いていると徐々に安心してきていた。
焼肉店に行き、二人でモリモリ食べた。
その後、帰ろうとした私に一緒にDVD見ようよ!と健さんは誘った。
そのDVDは当時私が凄く見たいと思っていた映画だった。
私は、何も深く考えず見ますと答えると、健さんは嬉しそうに車を走らせた。
私は、てっきり車の中でDVDを見るものだと思っていたものだから、車を走らせてどこかへ向かっていく健さんの行動が不思議だった。
そして、着いたのは健さんの家だった。
家には健さんのお父さんと健さんが二人で住んでいるそうだった。
私は、家で見るのかーそういうの言わないところが、健さんらしいな。と何も警戒せず、健さんの部屋へと向かった。
部屋にはほとんど物は置いてなくて、暖房器具と布団とテレビとゲーム機くらいしか置いてなかった。
そして、DVDを二人で見た。内容がとてもコミカルなものだったので、私はかなり笑ってしまった。
物語が終わるころにはすぐ隣に健さんがいて、それも妙に落ち着いた。
そのあと、健さんに苦手なパソコンを教えてもらって過ごした。
とにかく仕事一筋の私は、パソコン技術を向上させるために、パソコンマスターの健さんの指導を受けたかったのだ。
気がつくと時間は夜中になっていた。
私は、遅番出勤だったので、平気だった。
しかし、早番出勤の健さんはすごく眠そうにしていた。
そして、私にごめん!送っていけない!眠いから明日でもいいかな?と言った。
私は、ためらいなく良いですよ。と答えた。
健さんが用意した布団は一つだったので、私は心配になり健さんに切り出した。
健さん!何もしないですよね?
健さんと私は、上司と部下の関係でありなにかが起こってしまうと会社的にヤバいことですよね?
健さんは、ちょっと引き気味にああ。と答えて横になった。
私も恐る恐る健さんの隣で横になった。
この頃くらいから、私は内科で睡眠剤を貰い飲んでいたので眠りやすくなっていた。
隣で健さんが何度か私のお腹に手を置いた。
私は、ピクリと反応した。
その手は段々下半身へと伸びていったので、手を振り払った。
無言の攻防が何度か続き、健さんは諦めた様子だった。
私は、そのまま眠りについた。
朝7時頃目が覚めた。健さんは起きていた。
全然眠れなかったと健さんは言った。
私が後で起こすのでもう少し寝てていいですよ。と言うとやっとスヤスヤと眠りについた様子だった。
何となくお互いの中で気まずい空気が流れていた。
私は、健さんの漫画を読んで過ごした。
そして、健さんを再び起こし、眠そうな健さんに本店へと送ってもらい家に帰った。
仕事の支度をして、本店へ向かうと健さんは挙動不審な動きをしながら軽く挨拶して去っていった。
それからしばらくはお互いに気まずく、挨拶以外で言葉を交わすことなく休憩室へ健さんが来ることもなくなった。
仕事を終えた、中居さんがニヤニヤしながら私に近づいてきた。
健さんと朝帰り。と私に耳打ちした中居さんは私に言い訳させる余裕も与えずに帰って行った。
勘違いされてしまった。どうしよう。
と私は、悩んだが近々中居さんとしっかり話そうと思い機会を狙った。
それから少したった頃、中居さんにマンガ喫茶へと誘われた。これはチャンスと思い着いていった。
そこで中居さんは、率直に質問を投げかけてきた。
お前、健さんとセックスした?
私は、思いっきり首を振ってその時の経路を話した。
すると中居さんは、あーなるほどね。セックスさせてくれる女の方へ行ったわけね。と意味深なことを言った。
だが、私は誤解が解けたことでホッとしていてその言葉のことはすっかり忘れてしまっていた。
これが、のちの騒動の引き金になるとは思いもしなかった。
クリスマスからしばらく経って、克也さんと洋子さんが仕事を辞めた。
私たちは、大々的に送別会を開き、写真付きの寄せ書きを書いた。
送別会には本店の皆はもちろん来ていて、初めて小春さんと正式に話をした。
かなりの酒豪で横にしたシンちゃんの前髪の分け目を逆にしたりしていたのが楽しかった。話をしてみるとしっかりと人の目を見て話す姿が印象的だった。私はその時アネゴ肌の小春さんの目が私の全てを見透かされてるんじゃないかと怖かったのを覚えている。
そして、洋子さんは、こそっと私の隣にきて、太郎と別れたよと私に耳打ちした。
ええ!と驚く私に洋子さんはそれ以上何も言わなかった。
帰り道、かなりお酒を飲んでしまっていたので代行で帰ろうと思っていた。
するとそのタイミングで、いたるから電話がかかってきた。皆から離れて電話にでた。
いたるは、なにしてる?と言ったので説明すると俺が迎えにいく!と言って迎えにきた。
いたるは祖母から貰った、アパートの管理人をしていて、そのアパートの一室に住んでいた。
そして、すぐ近くにいたるの実家があり、いたるはほとんど実家で生活していると言っていた。
いたるのアパートから本店へは歩いて10分くらいの距離にあった。
いたるのアパートに着くとパジャマを私に渡して、いたるはすぐに実家へと帰っていった。
私は、シャワーを借りてそのパジャマに着替えて寝た。
次の日の朝、いたるがアパートを訪ねてきて、こう切り出した。
お前、家に帰るの嫌みたいなこと言ってたよな?
なら、ここしばらく貸してやるから住めよ。
たまに飯食いにくるから作ってくれればそれでいいから。
私は、少し迷った。いたるに悪いと思って一旦は断ったが今の家の現状も相変わらず荒れていたのでいたるのアパートを借りることになった。
もちろんお金も少し負担した。
それからしばらくは私といたるの奇妙な暮らしが始まった。
いたるはたまに友達を連れてきてくれて、皆で鍋を食べたり、たこ焼きを焼いたりして食べた。
ただ、たまにいたるがアパート使うから出てってと言った時は、マンガ喫茶や車中泊などをした。
いたるが連絡を取る回数、電話の相手の声などから、いたるは複数人のセックスフレンドがいることが分かった。
だが、私は、それに対して何かを言うことはなかった。
私は、いたるにセックスを誘われたりしたことはなかったので安心しきっていた。
そのころ仕事では、異動した太郎さんが仕事を辞めることになった。
一応、寄せ書きの用紙を用意したのだが、人数がどんどん減っていき忙しかった私たちはそれを完成させることはできなかった。
私は、太郎さんの最後の出勤の日を聞いて、その日に太郎さんにメールを送った。
太郎さんと働いたのはたった3カ月だったけど、太郎さんの人柄がとても私を元気にさせてくれたから。
太郎さんと仕事している時が一番楽しかったから。
とにかく感謝の気持ちを送った。
太郎さんの返事は短く、ありがとー。メール送ってくれたのお前だけ(笑)
と返ってきた。
その後、中居さんが異動して、もう一つの店舗の店長になった。
前任の店長だった、哲也さんは再びエリアマネージャーへと変わった。
どうやら、哲也さん、太郎さん、格さんの三人の社員の意見がバラバラでお店のバランスが取れなかったそうだ。
格さんは本店にアルバイトとして来ることになった。社員からアルバイトに降格した理由は遅刻の多さだと聞いた。
そして、本店の店長は、長友さんがすることになった。念願の店長で長友さんはさらに気合いが入っていて、私も嬉しかった。
本店のスタッフは
店長の長友さん
契約社員の私と麻里ちゃん
フリーターの格さんと由美さん
主婦スタッフの川さん
学生アルバイトの誠さん、シンちゃん
となった。
大幅に人数の減った本店での仕事は過酷さを増していき、私もそれにつれて悩みが出来始めた。
一つ目は由美さん。由美さんは遅刻が多く、仕事は全くできなかった。そのため由美さんが残した仕事を私と麻里ちゃんで負担しなくてはならず疲れが溜まっていった。
二つ目は格さん。店長だったプライドを捨てられない格さんは、もちろん私よりはるかに仕事ができた。そして、私に上から目線で命令したり、セクハラギリギリのボディータッチをしたり、何度も怒りをぶつけられたりした。
そして、格さんは人当たりの良い麻里ちゃんと私を比べては、麻里が二人だったら良かったのにと言った。
私は、堪えきれず泣いてしまうこともあった。
そのたびにヘルプに行っているお店の店長、香奈さんが悩みを聞いてくれた。
香奈さんの仕事ぶりは相変わらずムラがあり、仕事中も誰かと何回も連絡を取っていて時には泣いていたりもした。
だが、格さんのことを聞いてくれるのは香奈さんだけだったので、とにかく香奈さんに頼っていた。
私はかなりグロッキー状態だったが、本店には支えてくれるスタッフもたくさんいた。
店長の長友さんは、相談によく乗ってくれた。香奈さんが長友さんに格さんのことを話したからだった。長友さんは、麻里と自分を比べることなんてしないで。麻里には麻里の明るく、人当たりのいいところがあって、君には勤勉で誰よりも努力する力がある。二人ともそれぞれ違うからいいんだよ!
と長友さんは言ってくれた。
学生アルバイトの誠さんはよく夕方からの時間帯でシフトが被っていた。私と格さんと誠さん三人で働く中、必死に仕事をする私に肩の力を抜くことを教えてくれた。
いつもヘラヘラしてるなあと思っていたけれど、誠さんは本当は心の強いひとだった。
私と格さんの険悪ムードの中、それを毎回和ませてくれていたのだった。
そして、同じく学生アルバイトのシンちゃんは、年が私より下にもかかわらずしっかりしていた。
私が仕事を詰め込みすぎて泣いてしまったこともあった。
シンちゃんは、裏に私を連れて行き、こことここは分担してやればいいんですよ!一人でやらなくてもみんなでやれば終わりますから!
と言ってくれた。
誠さんもシンちゃんも私よりも断然仕事ができたし、しっかりしていた。
私は、この二人もリスペクトしていた。
それとは異なり、いつも笑顔で明るく接してくれる麻里ちゃんが私とあまり会話をしにくなった。
二人で仲良く話しているときに、格さんにメチャクチャ怒られたのが原因だったのだと思う。
その時も元気のない私と麻里ちゃんをフォローしてくれたのは長友さんだった。
長友さんは、何も聞くことなく私たちに飲み物おごるから、一旦休んでおいでと笑顔で言った。
そんな長友さんを本当に尊敬していた。
ある日、仕事終わりが長友さんとシンちゃんと被った。長友さんが牛丼を食べに行こうと言い出して三人で牛丼屋へ言った。
最初は和気あいあいと三人で仕事の話をしていた。
実はこの三人の共通点は異常な真面目さだった。
すると途中でシンちゃんが、ニヤニヤしながら話し出した。
俺、この前見ちゃったんですよ!格さんと麻里ちゃんが手を繋いでファミレスに入っていくとこ!
あの二人ー、どうなんですかねー!
長友さんはそれは、ビッグニュースだね!これから俺たちは探偵にならないといけないね!と言った。
そして探偵三人組は、格さんと麻里ちゃんの仕事場での様子を思い返して色々話をした。
結局付き合っているかどうかは分からなかったし、私も長友さんもシンちゃんの冗談として受け取っていたと思う。
そのあと、由美さんの話になった。
シンちゃんが、あれだけ遅刻されると休憩回せないですよ!長友さんしっかり言ってくださいよ!
と言った。シンちゃんは上司にも言いたいことをハッキリ言える性格だった。
長友さんも時間にルーズな人が許せないそうで、その頃由美さんのシフトは大幅に減り週3回になっていた。
その頃由美さんは付き合っていた彼氏に振られ、同棲していたアパートを追い出され路頭に迷っていた。
そんな由美さんはかけもちで水商売を始めたらしく、遅刻はどんどんエスカレートしていた。
私は、堪えきれず由美さんの仕事ぶりについても言ってしまった。
由美さんがシフトに入っている日は仕事が進んでません。いったい由美さんはその時間何をしているのか不思議です。
お客さんと接客しているなら構わないんですが、やるべき雑務もやっていただきたいんです。
私?間違ってますか?
由美さんの仕事ぶりが会社にとって必要なら、私も何もせず接客しかしません。
店の掃除や商品の管理などの仕事はそうしたら、全て麻里ちゃんへ行きますけどいいですか?
長友さんもシンちゃんも困った顔をして黙って聞いてくれた。
私は、それ以上言葉が出ず涙がこぼれた。
長友さんは、今まで辛かったね。とそれだけ言った。
シンちゃんは、泣かないでくださいよー。と困り顔で私を慰めた。
私は、ある提案をした。
由美さんって昔は、香奈さんのお店にヘルプ行ってたんですよね?
そこの方が接客重視してるんで、由美さんにピッタリだと思うんですけど?
すると、長友さんはそれはできないんだよねー。と言った。
由美さんがヘルプに行くと全く仕事が進まないと香奈さんから苦情がきて、由美さんは本店勤務となったらしい。
由美さんはそれからも遅刻が治らず長友さんから解雇を命じられた。
女性スタッフは私と麻里ちゃん二人きりになった。
相変わらず、私と麻里ちゃんはギクシャクしていた。
格さんも相変わらず、私と麻里ちゃんを比べては私を責め立てた。
お前も麻里みたいになれ。それと、香奈から聞いたけど俺のこと好みなんだろ。
が格さんの口癖になっていった。
たまに、麻里ちゃんと格さんが私の悪口を言っているのが聞こえてくるようになった。
そのたびに胃がとても痛くなった。
それから、しばらく経ち麻里ちゃんはもう一つの店舗に異動になった。
それに伴い女性スタッフの募集をしてアルバイトスタッフを雇った。
だが、一人目は1ヶ月で辞め
二人目はなんと一週間で来なくなった。
その度に私の新人スタッフへの指導が悪いと、格さんは責め立てた。
私が、私はダメ人間です。すいませんでした。と言うまで許してはくれなかった。
誠さんが大学卒業となり辞めたので、新しい男性スタッフも入れたが、すぐに辞めてしまった。
主婦スタッフの川さんはとても優しい人でその様子をハラハラしたように見ていた。
川さんは朝から14時までの勤務で、キッズ服の専門スタッフだった。みんなに温かく接してくれていた。たまに本店で働く、同じく主婦スタッフの小春さんと仲がいい様子だった。
その頃シンちゃんが、小春さんの接客見ておいたほうがいいですよ。と何度も言っていたので、本店で働く小春さんの姿を見るようになった。
とにかく小春さんはお客さんの心を掴むのが上手くて私の接客とは天と地ほどの差があった。
私は、相変わらず仕事はできなかった。特に接客は下手なままだった。
それもよく、皆に指摘されていた。
私は、どちらかというと雑務に向いていた。服のセンスはイマイチだったが、仕事を素早く終わらせることについてだけは自信があった。
それを認めてくれたのは、長友さんだけだった。
また新しい女性スタッフが入った。
次こそ絶対に辞めさせたくない!この仕事の良さを伝えたい!そう私は、思い気合い十分でそのスタッフと対面した。
そのスタッフは社長の高橋さんと長友さん一押しのスタッフだった。
以前に高橋さんと長友さんが居酒屋へ食事へ行った時に、凄く接客の素晴らしいスタッフがいたと言っていた。
面接に来たのが、まさにその子だったのだ。
面接は即決で受かり勤務となった。
結城という名前で、見た目もかわいらしくおっとりした感じの女の子だった。
私は、苦手だったフレンドリーに接することを率先して行った。初出場で緊張している結城をなるべく世間話でほぐして、休憩も二人で取った。近くのお店でご飯を食べた。
結城は、たくさんのことを話してくれた。
彼氏の話や、居酒屋に働いていたときの話などたくさん聞いた。一つ気にかかったのは結城がストレスに弱いのではないか?と思わせる部分があったことだった。
結城は緊張をすると眠れないと言っていた。
私は、結城に自分の不眠症も伝えた。
なんでも相談に乗ろうと思った。
しばらくたって、結城は仕事をすぐに覚えた。
そして、接客も結城のほがらかな性格からうまく行っている様子だったので安心した。
だが、それもすぐに変わった。
一緒に仕事を終えた時、私に話があると結城が言った。
私は、どうしたの?と聞くと
結城は、辞めたいです。と泣き出した。
結城?どうしてかな?良かったら話してくれないかなあ?
と私は、結城の背中を撫でながら聞いた。
結城は、格さんが原因で仕事を辞めたいと言った。
格さんの横暴な接し方や、閉店後も閉店準備は全て結城に押し付ける。簡単な仕事は人任せだが、社長に認められる仕事だけをやるというのが格さんのスタイルだった。
私は、すぐに長友さんに電話して、事情を話した。
長友さんは、結城と話したいと言ったので電話を代わった。
結城は少しほっとした様子だった。
そして、再び私が長友さんと話した。
長友さんは格さんのことはこちらでなんとかするから安心して。と言っていた。
次の日、長友さんの大きな雷が、格さんへと落ちていった。
お灸を据えられた格さんはしばらくは大人しくしていたが、あることがきっかけでまた元に戻ることになる。
この頃社内異動があり、長友さんが3店舗の店長をすることになった。
なので、本店は私と契約社員となった格さんに任されていた。
私が仕事ができないことで、みんなの目は冷たかった。
長友さんは急に態度が変わり、それくらい契約社員ならやれるでしょ?と私にさじを投げたりした。
シンちゃんも、それくらいできないのおかしいですよ!と呆れていた。
その中で唯一私を誉めてくれていたのは川さんだけだったと思う。
私は仕事ができず川さんにたくさん迷惑を掛けているにも関わらず、仕事の戦略について誉めてくれたりしたのが嬉しかった。
だが、この頃二つの大きな事件が起こる。
一つ目は、いたるの話になる。いたるとの奇妙な生活は続いていた。
だが、その頃急に連絡が取れなくなり、3ヶ月ほど、私は、マンガ喫茶や車中泊をして過ごした。
3ヶ月後連絡が来た。アパートに私の荷物もたくさんあったので、追い出されるなら持って行かなくちゃと思った。
アパートに着くと、いたるは神妙な面持ちで切り出した。
俺、未成年とセックスして捕まっちゃったんだ。
18歳って言われて信じてアパートに連れ込んだら、その子が捜索願がでてる家出中学生でさ、しかもその子なぜかお金結構持ってたらしいんだわ。
それで、俺が援交?してたみたいな感じになって警察つれてかれた。
はあ~。と私は、ため息をついて、それは自分が色んな女の子捕まえてセックス遊びしてたのが悪いんじゃないの。
と言った。
すると、いたるは本当にショックだったのは、ここからなんだ。
捕まった時、戸籍見たいなやつ見せられて俺は親と血がつながっていないことが分かったんだ。
と、言いいつもひょうひょうとしていたいたるは泣き出した。
私は、いたるが可哀想だと思いいたるの背中をさすり続けた。
そして、いたるに私もうアパート出て行くね。と言った。
すると、いたるは想像つかなかった返事を返してきた。
俺らつき合っているのになんで?
私は、びっくりして最初は言葉がでなかった。
すると、いたるは俺の浮気も許してくれるし、料理も旨いし俺にはお前の支えが必要だ。
お前も俺の彼女としてアパートに暮らしてたんだろう?
と言った。
私は、全然付き合っているつもりはなかった。
お互いに好意を持つような話をしたことはなかったので、てっきり友達だと思っていた。
すると、いたるは私を無理やり突き飛ばして押し倒した。
そして、必死に抵抗する私をレイプした。
いたるはその内にウトウトしだしたので、私は、いたるを蹴り荷物を持って逃げ出した。
その後、婦人科に行くと妊娠はしてませんが、性病に掛かってます。と言われた。
薬を出され飲んだらすぐに治ったが、心の傷は治ることはなかった。
その時から私の様子はおかしくなっていく。
そして二つ目の事件は仕事についてだった。
香奈さんは、店長を降格になり中居さんのお店で働いていた。
だが、香奈さんはよく中居さんが嫌だ。と私に電話をしてくるようになる。
そして香奈さんは高橋さんにとんでもないことを言った。
私は、中居さんと付き合っていた。別れてからも中居さんがしつこいのでどうにかしてください。
今は健さんと付き合っているので。
というものだった。
職場全体が大混乱となった。
社長は3人への減俸と社員から降格させると言った。
結局、その条件を飲んだのは香奈さんのみ。
中居さんと健さんは退職することになった。
私は、今までおかしいと思っていたパズルが全て一致した感覚になった。
健さんは香奈さんのお店へ行くとなかなか戻ってこなかったこと。
そして、香奈さんが揉めていた電話の相手は中居さんだったこと。
健さんの最後の出勤日、健さんと話しをした。
中居さんと付き合っていた香奈さんはかなり乱暴な態度を取る中居さんに別れたいと言っていた。
だが、中居さんは応じなかった。だから俺が寝取った。と健さんは言った。
もう香奈以上に人を好きになることはない。と健さんの想いは真っ直ぐだった。
私は、かなり説教をした。それはどうでもいいんですけど、仕事に支障をきたすことをしてしまったことは反省してください。と言った。
そして、ある晩小春さんに電話をかけた。
小春さんは高橋さんと仲が良く内部状況に詳しい。だからこそ本当の真実を知っているのでは?
そう思ったからだ。
小春さんは、中居さんと話しをしたそうで、
中居さんが言うには、付き合っていたらいきなり社員の飲み会で健さんに呼び出されて、最低だな。中居は。俺、香奈とセックスしたよ。
と言われたそうだ
そこから、健さんは香奈さんに凄まじい暴力を受けたそうな。それから、健さんと中居さんは険悪なムードとなった。それから、香奈と別れてようやくスッキリしたところでいきなり暴露されたそうだ。
私は、小春さんの話を信じた。香奈さんは自己保身のためにたくさんうそをついていると思った。
私は、たくさん相談して頼っていた香奈さんをもう信用できなくなった。
その事件を引き金に私は、ある病に掛かっていることが発覚することになる。
続く。




