↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤高の狩人はやがて皆の希望に   作者: 白狐 緋宵
後日談

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
47/48

神速の狩人、次なる獲物を定める



スタンピード終結後、街のギルドでは戦闘記録の整理や被害状況の確認が続いていた。


そんな中、雫と澪のもとにギルドから正式な呼び出しが届く。


二人はギルドマスターのバルトに呼ばれ、スタンピードでの戦闘について事情聴取を受ける。


特に確認されたのは、次の三点だった。


・雫が使用した、通常の魔術体系では説明しきれない血の矢。

・澪がスタンピードの最中に発現させた、レアスキル『紅蓮の闘志』。

・二人の身体に起きた、吸血鬼への変異と覚醒。


バルトは二人を疑っているわけではない。街を救った功労者である二人に、今後の安全管理や能力の把握に必要な情報を聞いているのだ。


ただし、雫の説明は相変わらず天然で、バルトを困らせる。


「つまり、雫。お前はボスの攻撃を受けて、薬を飲んだら吸血鬼になったと?」


「……うん」


「……そうか」


「……だめだった?」


「いや、そういう問題じゃねえんだよ!」


深刻な事情聴取の中にも、雫の天然さによるコミカルなやり取りを挟む。


事情聴取が終わった頃、バルトは二人に一枚の依頼書を提示する。


依頼内容は、スタンピードの影響で不安定になったダンジョンの調査と、深層に出現した高危険度魔物の討伐だった。


スタンピードによってダンジョン内部の魔力環境が変化し、これまで確認されていなかった魔物の反応まで検出されている。


通常の探索者では受注すら難しい、特別な高難易度依頼である。


バルトは、雫なら単独でも対応できる可能性があると考えていた。


しかし、依頼書を見つめた雫は、隣に立つ澪へ視線を向ける。


以前の澪は、雫との実力差に悩み、剣聖ガルガのもとで必死に修行していた。


今は違う。


『紅蓮の闘志』を覚醒させ、スタンピードでは雫と肩を並べて戦い抜いた。


さらに、吸血鬼の真祖としての力まで手に入れている。


では、今の澪はどこまで戦えるのだろう。


雫はそれを知りたかった。


「……受ける」


「おい、雫。まだ説明が終わってねえぞ」


「……大丈夫」


「大丈夫かどうかは、こっちが判断するんだ!」


バルトの制止をよそに、雫は依頼書へ手を伸ばし、受注の意思を示してしまう。


澪が何かを言うよりも先に、雫は独断で依頼を受けることを決めたのだった。


ギルドを出た後、澪は雫に問いただす。


「ちょっと雫!? さっきの依頼、受けるって勝手に決めたよね!?」


「……うん」


「うん、じゃないよっ! あれ、かなり危険な依頼だったじゃん!」


「……澪なら、大丈夫」


「……え?」


雫は、そこで初めて自分の考えを口にする。


「……澪が、どれくらい強くなったか。見たい」


澪は一瞬、言葉を失う。


雫に認められたい。雫の隣で戦える存在になりたい。そのために、これまで何度も剣を振ってきた。


だからこそ、雫が自分の成長に関心を持ってくれていることは嬉しかった。


しかし、勝手に依頼を受けられて嬉しいわけではない。


「……それでも、先に相談してよ」


「……ごめん」


素直に謝られてしまうと、澪も強く言い続けられない。


それでも、澪は雫の手を取って、まっすぐに告げる。


「私の成長を見たいなら、ちゃんと隣で見てて。私だって、雫と一緒に強くなりたいんだから」


雫は小さくうなずく。


「……うん。一緒に行こう」


愛情と信頼があるからこそ、相手の意思を確かめることも大切なのだ。


今回の出来事を通して、二人は互いの気持ちを改めて理解していく。


出発の準備を整える二人。


雫は弓の状態を確かめ、血の矢を扱う感覚を静かに確認する。


一方の澪は、剣を握り、体内に宿る紅蓮の魔力を巡らせる。


以前なら、雫の背中を追いかけるだけで精いっぱいだった。


けれど、今度は違う。


自分も真祖となり、スタンピードを乗り越えた探索者なのだ。


澪は雫の隣に立つ。


「今度は、私がちゃんと役に立つからね!」


「……うん。期待してる」


「そこは『絶対に大丈夫』とか言ってよ!」


「……澪なら、大丈夫」


「~~~っ! もうっ! そういうところだよ、雫!」


二人のやり取りを最後に、物語は新たなダンジョンへと向かう。


深層へ続く巨大な門。


その向こうから、まだ見ぬ魔物の気配が、静かに二人を待ち受けていた。

最後まで見てくださりありがとうございます

よかったら評価くれると嬉しいです


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。